仕事猫ニャゴロー

どてかぼちゃ

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第215話 吾輩は花粉症など跳ね返してやるのである

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 もうすぐこの寒い季節も終わる。
 一雨ごとに暖かくなると言われている昨今。
 まだかまだかと雨を待ちわびる猫達の姿があちらこちらに……

 「ヘッブニャン!」

 かの孔子曰く、
 〝黄色い悪魔の粉飛びてときに之を吸ふ また楽しく無からずや〟

 当時大陸全土を覆う黄砂で国民が苦しめられていたのを嘆いたのだろう。
 それが今この国に〝花粉症〟の形となって脈々と受け継がれておるのだ!
 ※コレは出鱈目です

 「へへへ……ヘッブニャン!」

 先程から煩いのう。
 ニャン吉も花粉症なのだろうか?

 「ブッシュッ!」

 ムムム?
 今度はニャン太郎がクシャミ?
 今年から急に花粉症となる者が増えたのか?

 せっかく駄菓子屋が看板を新調したから引っ掻こうと集まってもらったのに……
 これでは仕事に支障が出るではないか。
 いっそニャー吉と我輩で……

 「ハブニャッ! ハハ……ハッブニャッ!」

 お前もかニャー吉よ!?
 この中では一番花粉症が酷いはずの我輩ですら平気なのだぞ?
 もしや違う種類の花粉に反応しているのか?

 「ニギャギャ……」

 おいおいニャン吉よ。
 痙攣までしてなんだ?
 しかも涎全開で?
 新手のコントか?

 ―― その後ニャン太郎、ニャー吉も同じ症状に。

 おいおいキサマ等!
 我輩を謀ろうというのか?
 揶揄うのも大概にせんかバカモノが!

 不愉快だ!
 今日は臨時休業にする!
 よって本日は無給だからな!
 我輩もう帰るから!
 キサマ等もあんじょうせいや!


 実は彼等が患っていたのは花粉症ではなく新型猫インフルエンザ。
 伝染性が強く、抵抗力や体力の少ない小動物を死に至らしめる一種の疫病。
 幸い三匹は近くで犬の散歩していた病院マダムに見つけられ事なきを得た。

 ―― そして……

 「ちょっと垂香ちゃん大変!」

 「おろろ? 柄にもなく慌てて……どうしたんですか美也様?」

 「あまりにもニャゴローが鼻水垂らすから鼻の穴に粘土を詰め込んだの! そうしたら痙攣し始めて……」

 「えぇ? ヤツはそれぐらいでへばるタマではないですよ? もしややり方がぬるいのでは?」

 「やっぱり? じゃあちょっと手伝って!」

 「おっけー美也様! 確か部屋に瞬間接着剤が……」

 
 こうして彼は動物病院へ緊急搬送されるハメとなったのだった。
 無論猫インフルエンザではなく、二人が行った過剰な花粉治療法のせいで……
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