仕事猫ニャゴロー

どてかぼちゃ

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第214話 吾輩はデルモデビューを果たしたのである!

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 「おっけーイイねー!」
 {パシャパシャパシャ}

 我輩は今、モデルの仕事をしている。
 メスでも引くほどブリッブリファッションでのカメラ撮影。
 ガラではないのだが、小織殿の願いで仕方なく……

 なんでも彼女の働く会社が格安スマホを始めるそうな。
 そこのイメージキャラクターへと我輩は抜擢されたのである。
 いい迷惑だな。

 そもそも猫は既に他のメーカーが使っておるではないのか?
 二番煎じも甚だしい!
 こんな企画しかできないのかね?
 他社の後追いばーっかりで……

 「一旦休憩はいりま~っす!」

 漸く撮影が終わったと見える。
 とはいえ、じっとしているだけで簡単な仕事だった。
 動物撮影に関しては大人しくしているのが奇跡に近いらしい。
 我輩の場合はじっとしていなければ小織殿にブッ殺されるからな。
 バミられた場所に少々オシッコを漏らしたが、それはご愛敬ってことで。

 「おっけーニャゴロ―! 最高だったわよ! この後夕方まで撮影があるから今のうちに食事をとりなさいね」

 マジか小織殿!?
 終わりと違うの?
 グヌヌ、なんかだんだん腹が立って来たぞ?
 しかし彼女に逆らえるはずもないし……
 
 ここで我輩あるものに気付く。
 カメラでパシャパシャする度、全員ある場所へ集まるのだ。
 なにかを確認しているのか、TVを指さしあーでもないこーでもないと。
 その機材にはイカの足よりも多くの線が生えている。
 きっと重要なものに違いないな。

 フゥ。
 仕方がない。
 我輩が手伝ってやるとするか。
 
 いつまでもダラダラとこんな仕事は他のスタッフも面倒だろうて。
 カチャカチャマシーンマスターの我輩にかかればこんなモノ……

 我輩はスクッと立ち上がり、その機材のある場所へ。
 しかしここで事件が!

 あり得ない程のヒラヒラピラピラがついた服を着せられていた我輩。
 立ち上がった瞬間、全部の足がそれを踏んでしまいすっ転んだのだ。
 と、ここまでは大したことなかったのだが……

 今回は首にマフラーのような物を巻かれていた。
 なんと転んだときにそれが顔面を覆ってしまったのだ!
 勿論我輩は大パニック!
 爪を立てた前足を闇雲に振り回し、未知との敵と対峙!
 尚且つ飛び跳ねるといった手が付けられない程の大暴れ!
 
 「ニギャアァァァァァァッ!」

 {ガッシャーン! ガランガランドカン!}

 我輩はピンポイントで配線が集中するPCへと突っ込んでしまった! 
 その線を伝って次々と倒れる機材!
 それ等に巻き込まれてメキバキャと他の高級そうな道具も大崩壊!

 あわわわ!
 わ、我輩のせいではないもんね!
 ふふふふ服なんて着せるからだかんね!
 
 こうして撮影は目出度く中止に。
 残念そうな小織殿はそっと優しく我輩を抱きかかえると、早々に帰宅。
 この日は風呂場でと~っても可愛がられた。
 それはもう、鳴き声一つ上げられない程に……

 
 数日後、三河家の玄関マットはなぜか起毛のハチワレ柄となっていた。
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