拾った子供は勇者でした。弟として接していましたが彼には姉ではないと拒否されてます。

三園 七詩

文字の大きさ
15 / 21

15.当たり前

しおりを挟む
「おはようございまーす」

「おはよう」

昨日はこの町の宿に泊まっていたニックスさん達が顔をだした。

そして私達を見るなり扉を閉めようとする。

「お邪魔しました」

「あー、待ってください」

私はアルフレッドを押しのけて扉の方へと走り出した。
帰ろうとする4人を慌てて引き止めて家へと引っ張り込む。
今は誰かいてくれる方が気持ちも落ち着いた。

「俺達居てもいいの?」

「もちろんです!」

「帰れ」

アルフレッドが私と真逆のことを言い出した。

「こら、アルフレッドお友達にそういう事言わないの!」

不機嫌そうにぷいっと横を向いてしまった。

「ご飯」

アレクサンドラさんはこんな騒ぎにも構わずに椅子に腰掛けると並べられた料理を凝視している。
なんだが口からヨダレのようなものが見えるが見間違えだろう。あんなに綺麗な人がヨダレなど垂らすとは思えなかった。

「みなさんも座って食べてください。今スープもお持ちします」

スープと聞いてアルフレッドがピクっと反応した。

「ニケ、あのスープ?」

私はニコッと微笑み頷いた。
今日作ったスープはシンプルなスープだがアルフレッドのお気に入りだった。

初めてこの家に来た時に私が作ってあげた物だ。

アルフレッドは機嫌も戻ったのか席に大人しく座るとスープを待っている。

私はみんなの分をよそうとテーブルに置いていく。

「どうぞ召し上がれ」

「「「「いただきます」」」」

「ニケも座って」

みなが食べ始めるとアルフレッドが隣の席をサッと指し示す。

私は頷き自分の分も用意して隣に座った。

「うん、やっぱり美味しい」

「そうだね、アレクサンドラが早く行こうって言う気持ちわかるよ」

「美味い美味い」

みんな美味しそうに食べてくれる。

「おかわりもありますよ」

「おかわり」

「おかわり」

「おかわり」

昨日と同じようにみんなおかわりをして朝から残らずに食べきってくれた。

「いやぁニケアインの料理を食べたら他のが食べられないって言う気持ちわかるわ」

「うん」

ニックスさんが満足そうにしながら嬉しい事を言ってくれる。
アレクサンドラさんもコクコクと何度も頷いていた。

「あのさ、昨日話してたんだけどニケアインも一緒に俺達と来ない?」

「え?」

ニックスさんの申し出に驚いて洗っていた食器を落としてしまった。
それを隣で拭いていてくれたアルフレッドが受止めてくれる。

「一緒に?  私冒険者じゃありませんよ」

「知ってるよ、俺達のお世話係みたいな感じで着いてきて欲しいな」

「わ、私が?」

他のみんなもウンウンと頷いて期待の眼差しを向けてくる。

「ですがみなさんはあの勇者御一行なんですよね?  私なんかより凄い人を連れていった方がいいんじゃないですか?」

そう答えるとニックスさんが気まずそうな顔をする。

「確かに俺達と冒険したいって声をかけてくる奴はたくさんいるよ。でもさなんて言うかみんな裏があるやつばっかりでね」

「裏?」

どういう意味かと首を傾げる。

 「とにかく俺達はニケアインがいいんだ、アレクサンドラもそうだろ?」

「ええ」

アレクサンドラさんがすごい目力で見つめてくる。

「それに決定権はアルフレッドだし、こいつはニケアイン以外は認めなそうだもんな」

アルフレッドの方に視線を向けるとこちらに近づいてきた。

「ニケが来てくれたら嬉しい、何があっても僕達が守る」

私が冒険・・・確かに父とアルフレッドが冒険に行くのを羨ましく思っていた事もある。

それに父がいない今、ここに一人でいるのは辛すぎた。

「私がいってもいいのかな」

「うん、もちろん」

嬉しそうなアルフレッドの頷きに私の心は酷く揺らいでいた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

王太子殿下の想い人が騎士団長だと知った私は、張り切って王太子殿下と婚約することにしました!

奏音 美都
恋愛
 ソリティア男爵令嬢である私、イリアは舞踏会場を離れてバルコニーで涼んでいると、そこに王太子殿下の逢引き現場を目撃してしまいました。  そのお相手は……ロワール騎士団長様でした。  あぁ、なんてことでしょう……  こんな、こんなのって……尊すぎますわ!!

英雄の可愛い幼馴染は、彼の真っ黒な本性を知らない

百門一新
恋愛
男の子の恰好で走り回る元気な平民の少女、ティーゼには、見目麗しい完璧な幼馴染がいる。彼は幼少の頃、ティーゼが女の子だと知らず、怪我をしてしまった事で責任を感じている優しすぎる少し年上の幼馴染だ――と、ティーゼ自身はずっと思っていた。 幼馴染が半魔族の王を倒して、英雄として戻って来た。彼が旅に出て戻って来た目的も知らぬまま、ティーゼは心配症な幼馴染離れをしようと考えていたのだが、……ついでとばかりに引き受けた仕事の先で、彼女は、恋に悩む優しい魔王と、ちっとも優しくないその宰相に巻き込まれました。 ※「小説家になろう」「ベリーズカフェ」「ノベマ!」「カクヨム」にも掲載しています。

夫が勇者に選ばれました

プラネットプラント
恋愛
勇者に選ばれた夫は「必ず帰って来る」と言って、戻ってこない。風の噂では、王女様と結婚するらしい。そして、私は殺される。 ※なろうでも投稿しています。

婚約を解消したら、何故か元婚約者の家で養われることになった

下菊みこと
恋愛
気付いたら好きな人に捕まっていたお話。 小説家になろう様でも投稿しています。

とっていただく責任などありません

まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、 団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。 この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!? ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。 責任を取らなければとセルフイスから、 追いかけられる羽目に。

隣人の幼馴染にご飯を作るのは今日で終わり

鳥花風星
恋愛
高校二年生のひよりは、隣の家に住む幼馴染の高校三年生の蒼に片思いをしていた。蒼の両親が海外出張でいないため、ひよりは蒼のために毎日ご飯を作りに来ている。 でも、蒼とひよりにはもう一人、みさ姉という大学生の幼馴染がいた。蒼が好きなのはみさ姉だと思い、身を引くためにひよりはもうご飯を作りにこないと伝えるが……。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

幼馴染の勇者に「魔王を倒して帰ってきたら何でもしてあげる」と言った結果

景華
恋愛
平和な村で毎日を過ごす村娘ステラ。 ある日ステラの長年の想い人である幼馴染であるリードが勇者として選ばれ、聖女、女剣士、女魔術師と共に魔王討伐に向かうことになる。 「俺……ステラと離れたくない」 そんなリードに、ステラは思わずこう告げる。 「そうだ‼ リードが帰ってきたら、私がリードのお願い、一つだけなんでも叶えてあげる‼」 そんなとっさにステラから飛び出た約束を胸に、リードは村を旅立つ。 それから半年、毎日リードの無事を祈り続けるステラのもとに、リードの史上最速での魔王城攻略の知らせが届く。 勇者一行はこれからたくさんの祝勝パーティに参加した後、故郷に凱旋するというが、それと同時に、パーティメンバーである聖女と女剣士、そして女魔術師の話も耳にすることになる。 戦いの昂りを鎮める役割も担うという三人は、戦いの後全員が重婚の認められた勇者の嫁になるということを知ったステラは思いを諦めようとするが、突然現れたリードは彼女に『ステラの身体《約束のお願い》』を迫って来て──? 誰がどう見ても両片思いな二人がお願いをきっかけに結ばれるまで──。

処理中です...