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私は馬車が少し止まった隙にサッとアルフレッドの膝からおりた。
「あ」
するとアルフレッドから残念そうな声が漏れる。
私はキッとアルフレッドを軽く睨んだ。
そして隣に座り直すと耳元に近づく。
「これからは馬車が動いてる時は席を立たないようにするから、あんな事しないでね」
小声でアルフレッドを嗜めた。
「あんなこと?」
アルフレッドはなんの事かと首をかしげる。
「その、膝に載せるとかみんなの前で抱きつくとか」
「でもいつもしてたよね」
確かに小さい頃などよくしていたが、今のアルフレッドの見た目でそれをされるのは心臓に悪い。しかも気持ちを知っているなら尚更だった。
なんて言えばいいのかと頭を抱えて悩んでいるとアルフレッドはその手を掴んだ。
「ニケが嫌なら……寂しいけどもうしない」
手を握り締めながらジッと目を見つめてくる。
その瞳は本当に悲しそうでなんでも許してしまいそうになった。
たくましい成人男性の見た目なのに捨てられたような子犬のような垂れた耳としっぽが見えてくる。
「その嫌じゃないの、ただ恥ずかしくて」
顔を逸らして呟くとアルフレッドが顔を近づけてきて耳元で囁いた。
「ならこれからは人のいないところでするよ」
くすぐったくてバッと離れながら耳を押さえる。
アルフレッドは嬉しそうな顔で笑っていた。
その後は私はアルフレッドから少し離れてずっと外を見ていた。
なにか話しかけてくるが適当に相槌を打って顔は見ないでいた。
しばらくするとどこかの町に到着したようで馬車が止まる。
ペグさん達は寝ていたようで目を開けた。
「んー、着いたの?」
エドワードさんに声をかける。
「ああ、今日はこの町で泊まろう」
「早くない、いつもならもう少し進むでしょ?」
「ニケアインがいるから無理しないように進む」
「わ、私のせいですか! 私なら大丈夫ですから」
私は驚いて声を上げる。
「「「「それなら仕方ない」」」」
しかし私以外のみんなが聞く耳を持たない、慌てる私にニコニコと視線を向ける。
「いいのいいの、別に急ぐ旅でも無いもの」
「そうそう、それより泊まる場所探そうぜ」
私はいいのかなと戸惑っているとアルフレッドが自然に手を繋いできた。
「行こう」
「うん」
私は抵抗せずにみんなの後をついて行った。
馬車を預けると町を散策する。
私がいた町より大きくて珍しくキョロキョロとしてしまう。
すると町の視線が集まっていることに気がついた。
みんなが私達を見ているのだ。
コソコソと耳打ちしてこちらを見たり、声を上げたりしている。
その視線は悪意は無いが好奇に満ちていて向けられたことの無い反応に少し怖くなった。
無意識にアルフレッドと繋いでいた手に力が入る。
すると私の不安を感じとったのかアルフレッドが足を止めた。
「どうしたの?」
心配そうに眉を下げて私の顔を覗き込んだ。
「な、なんでもないよ」
私は平気だと無理に笑顔を作った。するとアルフレッドの眉間にシワがよった。
「ごめん」
アルフレッドはいきなり謝ると私の足をすくい上げて抱き上げた。
「わっ!」
びっくりした私はアルフレッドの首に腕を回した。
「そのまま掴まってて、みんな行くよ」
そしてニックスさんたちに声をかけると走り出した。
「あー!」
「待って!」
「あれ誰!」
すると後ろからは町の女性達から不満そうな声が上がっている。
しかしアルフレッド達はそんなもの無視して町の中を走り回る。そして人混みの少ない通りに入ると私を下ろした。
「アレクサンドラ、ニケの様子が変回復魔法かけて」
「わかったわ」
アレクサンドラさんが私に魔法をかけるが悪い所がないので変だと首を傾げた。
「だ、大丈夫ですから」
「でも気分悪そうだった」
アルフレッドが答えを聞くまで目を逸らしそうにない。
私は諦めて町での視線のことを話した。
「なーんだ」
「そんな事?」
ペグさんは私に何も無いとホッとして、ニックスさんは飽きていた。
「いつもの事だから気にしてなかった。ニケが嫌ならもう見ないように言う」
アルフレッドは先程の場所に行こうとするので慌てて止めた。
「だ、大丈夫! みんなと旅するなら私も慣れないとだし」
アルフレッドは立ち止まってくれたがクルッと振り返り私の手を握った。
「なにか思ったら隠さずに言って」
「そうよ、我慢する必要ない。何時でも回復させてあげる」
二人とも嬉しいことを言ってくれる。
私は不安な気持ちが嘘のように薄れていた。
「あ」
するとアルフレッドから残念そうな声が漏れる。
私はキッとアルフレッドを軽く睨んだ。
そして隣に座り直すと耳元に近づく。
「これからは馬車が動いてる時は席を立たないようにするから、あんな事しないでね」
小声でアルフレッドを嗜めた。
「あんなこと?」
アルフレッドはなんの事かと首をかしげる。
「その、膝に載せるとかみんなの前で抱きつくとか」
「でもいつもしてたよね」
確かに小さい頃などよくしていたが、今のアルフレッドの見た目でそれをされるのは心臓に悪い。しかも気持ちを知っているなら尚更だった。
なんて言えばいいのかと頭を抱えて悩んでいるとアルフレッドはその手を掴んだ。
「ニケが嫌なら……寂しいけどもうしない」
手を握り締めながらジッと目を見つめてくる。
その瞳は本当に悲しそうでなんでも許してしまいそうになった。
たくましい成人男性の見た目なのに捨てられたような子犬のような垂れた耳としっぽが見えてくる。
「その嫌じゃないの、ただ恥ずかしくて」
顔を逸らして呟くとアルフレッドが顔を近づけてきて耳元で囁いた。
「ならこれからは人のいないところでするよ」
くすぐったくてバッと離れながら耳を押さえる。
アルフレッドは嬉しそうな顔で笑っていた。
その後は私はアルフレッドから少し離れてずっと外を見ていた。
なにか話しかけてくるが適当に相槌を打って顔は見ないでいた。
しばらくするとどこかの町に到着したようで馬車が止まる。
ペグさん達は寝ていたようで目を開けた。
「んー、着いたの?」
エドワードさんに声をかける。
「ああ、今日はこの町で泊まろう」
「早くない、いつもならもう少し進むでしょ?」
「ニケアインがいるから無理しないように進む」
「わ、私のせいですか! 私なら大丈夫ですから」
私は驚いて声を上げる。
「「「「それなら仕方ない」」」」
しかし私以外のみんなが聞く耳を持たない、慌てる私にニコニコと視線を向ける。
「いいのいいの、別に急ぐ旅でも無いもの」
「そうそう、それより泊まる場所探そうぜ」
私はいいのかなと戸惑っているとアルフレッドが自然に手を繋いできた。
「行こう」
「うん」
私は抵抗せずにみんなの後をついて行った。
馬車を預けると町を散策する。
私がいた町より大きくて珍しくキョロキョロとしてしまう。
すると町の視線が集まっていることに気がついた。
みんなが私達を見ているのだ。
コソコソと耳打ちしてこちらを見たり、声を上げたりしている。
その視線は悪意は無いが好奇に満ちていて向けられたことの無い反応に少し怖くなった。
無意識にアルフレッドと繋いでいた手に力が入る。
すると私の不安を感じとったのかアルフレッドが足を止めた。
「どうしたの?」
心配そうに眉を下げて私の顔を覗き込んだ。
「な、なんでもないよ」
私は平気だと無理に笑顔を作った。するとアルフレッドの眉間にシワがよった。
「ごめん」
アルフレッドはいきなり謝ると私の足をすくい上げて抱き上げた。
「わっ!」
びっくりした私はアルフレッドの首に腕を回した。
「そのまま掴まってて、みんな行くよ」
そしてニックスさんたちに声をかけると走り出した。
「あー!」
「待って!」
「あれ誰!」
すると後ろからは町の女性達から不満そうな声が上がっている。
しかしアルフレッド達はそんなもの無視して町の中を走り回る。そして人混みの少ない通りに入ると私を下ろした。
「アレクサンドラ、ニケの様子が変回復魔法かけて」
「わかったわ」
アレクサンドラさんが私に魔法をかけるが悪い所がないので変だと首を傾げた。
「だ、大丈夫ですから」
「でも気分悪そうだった」
アルフレッドが答えを聞くまで目を逸らしそうにない。
私は諦めて町での視線のことを話した。
「なーんだ」
「そんな事?」
ペグさんは私に何も無いとホッとして、ニックスさんは飽きていた。
「いつもの事だから気にしてなかった。ニケが嫌ならもう見ないように言う」
アルフレッドは先程の場所に行こうとするので慌てて止めた。
「だ、大丈夫! みんなと旅するなら私も慣れないとだし」
アルフレッドは立ち止まってくれたがクルッと振り返り私の手を握った。
「なにか思ったら隠さずに言って」
「そうよ、我慢する必要ない。何時でも回復させてあげる」
二人とも嬉しいことを言ってくれる。
私は不安な気持ちが嘘のように薄れていた。
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