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74.相手

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「チ、チビでひ弱だと…」

王子の顔がピクピクと引きつった。

「あっ!す、すみません!つい本音が!」

私は慌てて謝ると

「ぶっ…マリーそれって追い討ち…謝ってないよ」

シリルが顔を隠して吹き出し笑っている。

「え?あっ!ごめんなさい…」

口を押さえた。

「まぁしょうが無いですね、王子は私よりも背が低くて体も…うん、まだまだのようですね」

テオドールお兄様がそう言いながら王子の体を探るように触りだした…

はああぁぁぁ!!!

ま、まさかもう二人はそういう関係?

私はお兄様とグレイ王子を交互に見つめた。

「うるさいぞテオドール!見てろ…お前よりも必ず背が高くなってやる…」

王子はテオドールお兄様に挑むように睨みつけた。

「あはは!それは無理ですよね~」

だってテオドールお兄様の方が確か大きかったはず…二人がもう少し大きくなったらお兄様が王子をお姫様抱っこしてる姿が想像できる。

「王子はそのままでいいと思います。いえ!むしろそのままで」

私は力を込めて王子に声をかけた。

「そのまま…」

王子は私の言葉を噛み締めるように繰り返す。

そうです!王子が筋肉ムキムキにでもなったら大変!

もしかしたらお兄様はそういうのがタイプじゃないかもしれないもん。

うんうん、私はひとり頷いた。

「テオドール…お前の妹は変わっ…いや、面白いな、そんな事を面と向かって言われたのは初めてだ」

「グレイ王子?そんなにマリーを見つめないでもらえます?」

テオドールお兄様の顔がゆがんだ。

「もう、そろそろお帰りになった方がいいのでは?誰か!王宮に至急連絡を!」

「そうですね!僕もその方がいいと思います!王子はひょいひょいとこんなところに来るべきではありません」

急にお兄様とシリルが王子を帰らせようとする。

えーせっかくお兄様と会ったのに…あっ!なるほど…二人になりたいとかかな!

「ふふ、お兄様!私達の事は気にせずに何時でも王子様が来てくださって構いませんよ!」

もう邪魔者はすぐに消えますから!

「本当にまた来てもいいのか?」

グレイ王子が確認するように問いかけてきた。

まぁ私が了承してもお兄様がするだろうが…

「もちろんです」

私は笑顔で王子に微笑んだ。


「王子!迎えが来ましたよ!」

テオドールお兄様が私から王子を引き離すと帰らせようと玄関の方へと連れていく。

お兄様ったら…ヤキモチ?

もう私たっらしっかりと当て馬役をこなしちゃった?

私はご機嫌で部屋から出ていく王子を見送った。

二人が出ていくと…

「マリーは…王子様が好きなの?」

シリルが心配そうに聞いてきた。

「え?まさかシリルも?」

お兄様の相手だとばかり思っていたが、シリルが相手かもしれないって事?

「やっぱり…マリーも王子みたいなのが好きなんだ…」

シリルが残念そうに声を落とした。

「私は別に王子は好きじゃないよ」

シリルを安心させるようにそう言って笑った。

「え!本当に!?」

「うん、だから安心して」

シリルが好きなら応援してあげたい!お兄様ともう既に両思いかもしれないけど…

その時私はある事に気がついた!

「はっ!」

まさか…シリルが王子を好きになるが叶わず…そこを主人公が慰める的な!

なるほどね…

私は全てわかったと微笑みながらシリルの肩を優しく叩いた。
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