86 / 107
95.ダン視点
しおりを挟む
私はこの国の護衛隊長である父の息子として生まれた。
父は誰からも尊敬される凄い人だ…私はそんな父を誇りに思い憧れていた。
そしていつか父の様な強い男になりたいと思うようになり、父と共に鍛錬を欠かさず行ってきた。
そして鍛える楽しさや自分に自信もついてきた頃、初等部に上がる10才の年に父に頼み込み騎士になる為の訓練所に入れてもらった。
物心つく頃から剣を握っていた事と父の息子である事に私は自惚れていた…
私の醜い心は訓練所にいた年上の先輩達にズタズタに打ちのめされた。
「はっ!護衛隊長のソルト様の息子だと言うからどんな奴かと思ったが大した事ないな!」
「調子に乗るからこういう事になる…これに懲りたら俺達の事に口を出すな!」
私は上の先輩達が下の者達に道具の掃除から準備までやらせていることに腹をたててつい楯突いてしまった…その事で目をつけられある時試合を申し込まれたのだ。
私の剣は年上の相手には届かなかった…
自分なら勝てると慢心した心が招いのだと思った。
それから私は人の事に口を出すことを恐れるようになった。
どうせ自分のような者が言ったところで何も変わらない。
最初は仲のよかった友人達も陰気な雰囲気の自分に嫌気がさしたのだろう徐々に離れていき、今では誰も寄ってこない。
そうしてるうちに人と剣を交わすことが出来なくなってしまった。
父はこの事を知らない…父にまで自分の醜い心を見られる訳には行かなかった。
そんな事情の知らない父は私にもっと他の者達と関われと言う。
わかってはいるが他の者のあの目が怖い…自分に向ける怪訝なあの瞳が…
そんな時に父からグレイ王子に会えと言われた。
グレイ王子は自分とは正反対で明るく活発で周りにいつも人が集まる、強い光のような人だ。
そんな自分とは年ぐらいしか接点のない王子がなんの用があるというのか…
しかしこの度中等部に上がり見習い騎士となれた自分に護衛隊長である父の命令に拒否権などない。
しかもあったこともないマリー様と言う方が自分に会いたいと言っていると言う。
父から知っているかと聞かれるがまるで身に覚えもない。
言われるがまま、とりあえず王子と会うと興味深く自分を観察するように見られて同行を許可された。
王子は私と言うよりそのマリー様に興味があるようだ…
なら私はいつも通り目立たないようにいよう、王子もそれを望んでいるようだった。
こんな人の様子を気にするあまり人の負の感情を読み取るのだけは上手くなってしまっていた…
いざ私に会いたと言ったマリー様と対面してまずはその小ささに驚いた。
てっきり同じくらいの年か年上だと勝手に勘違いをしていた。
そして彼女の向ける眼差しにも戸惑う…
今までに感じたことの無い熱い眼差しに私の胸はいつになくざわついていた。
父は誰からも尊敬される凄い人だ…私はそんな父を誇りに思い憧れていた。
そしていつか父の様な強い男になりたいと思うようになり、父と共に鍛錬を欠かさず行ってきた。
そして鍛える楽しさや自分に自信もついてきた頃、初等部に上がる10才の年に父に頼み込み騎士になる為の訓練所に入れてもらった。
物心つく頃から剣を握っていた事と父の息子である事に私は自惚れていた…
私の醜い心は訓練所にいた年上の先輩達にズタズタに打ちのめされた。
「はっ!護衛隊長のソルト様の息子だと言うからどんな奴かと思ったが大した事ないな!」
「調子に乗るからこういう事になる…これに懲りたら俺達の事に口を出すな!」
私は上の先輩達が下の者達に道具の掃除から準備までやらせていることに腹をたててつい楯突いてしまった…その事で目をつけられある時試合を申し込まれたのだ。
私の剣は年上の相手には届かなかった…
自分なら勝てると慢心した心が招いのだと思った。
それから私は人の事に口を出すことを恐れるようになった。
どうせ自分のような者が言ったところで何も変わらない。
最初は仲のよかった友人達も陰気な雰囲気の自分に嫌気がさしたのだろう徐々に離れていき、今では誰も寄ってこない。
そうしてるうちに人と剣を交わすことが出来なくなってしまった。
父はこの事を知らない…父にまで自分の醜い心を見られる訳には行かなかった。
そんな事情の知らない父は私にもっと他の者達と関われと言う。
わかってはいるが他の者のあの目が怖い…自分に向ける怪訝なあの瞳が…
そんな時に父からグレイ王子に会えと言われた。
グレイ王子は自分とは正反対で明るく活発で周りにいつも人が集まる、強い光のような人だ。
そんな自分とは年ぐらいしか接点のない王子がなんの用があるというのか…
しかしこの度中等部に上がり見習い騎士となれた自分に護衛隊長である父の命令に拒否権などない。
しかもあったこともないマリー様と言う方が自分に会いたいと言っていると言う。
父から知っているかと聞かれるがまるで身に覚えもない。
言われるがまま、とりあえず王子と会うと興味深く自分を観察するように見られて同行を許可された。
王子は私と言うよりそのマリー様に興味があるようだ…
なら私はいつも通り目立たないようにいよう、王子もそれを望んでいるようだった。
こんな人の様子を気にするあまり人の負の感情を読み取るのだけは上手くなってしまっていた…
いざ私に会いたと言ったマリー様と対面してまずはその小ささに驚いた。
てっきり同じくらいの年か年上だと勝手に勘違いをしていた。
そして彼女の向ける眼差しにも戸惑う…
今までに感じたことの無い熱い眼差しに私の胸はいつになくざわついていた。
27
あなたにおすすめの小説
【連載版】ヒロインは元皇后様!?〜あら?生まれ変わりましたわ?〜
naturalsoft
恋愛
その日、国民から愛された皇后様が病気で60歳の年で亡くなった。すでに現役を若き皇王と皇后に譲りながらも、国内の貴族のバランスを取りながら暮らしていた皇后が亡くなった事で、王国は荒れると予想された。
しかし、誰も予想していなかった事があった。
「あら?わたくし生まれ変わりましたわ?」
すぐに辺境の男爵令嬢として生まれ変わっていました。
「まぁ、今世はのんびり過ごしましょうか〜」
──と、思っていた時期がありましたわ。
orz
これは何かとヤラカシて有名になっていく転生お皇后様のお話しです。
おばあちゃんの知恵袋で乗り切りますわ!
【完結済】私、地味モブなので。~転生したらなぜか最推し攻略対象の婚約者になってしまいました~
降魔 鬼灯
恋愛
マーガレット・モルガンは、ただの地味なモブだ。前世の最推しであるシルビア様の婚約者を選ぶパーティーに参加してシルビア様に会った事で前世の記憶を思い出す。 前世、人生の全てを捧げた最推し様は尊いけれど、現実に存在する最推しは…。 ヒロインちゃん登場まで三年。早く私を救ってください。
ご褒美人生~転生した私の溺愛な?日常~
紅子
恋愛
魂の修行を終えた私は、ご褒美に神様から丈夫な身体をもらい最後の転生しました。公爵令嬢に生まれ落ち、素敵な仮婚約者もできました。家族や仮婚約者から溺愛されて、幸せです。ですけど、神様。私、お願いしましたよね?寿命をベッドの上で迎えるような普通の目立たない人生を送りたいと。やりすぎですよ💢神様。
毎週火・金曜日00:00に更新します。→完結済みです。毎日更新に変更します。
R15は、念のため。
自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)
魔法使いと彼女を慕う3匹の黒竜~魔法は最強だけど溺愛してくる竜には勝てる気がしません~
村雨 妖
恋愛
森で1人のんびり自由気ままな生活をしながら、たまに王都の冒険者のギルドで依頼を受け、魔物討伐をして過ごしていた”最強の魔法使い”の女の子、リーシャ。
ある依頼の際に彼女は3匹の小さな黒竜と出会い、一緒に生活するようになった。黒竜の名前は、ノア、ルシア、エリアル。毎日可愛がっていたのに、ある日突然黒竜たちは姿を消してしまった。代わりに3人の人間の男が家に現れ、彼らは自分たちがその黒竜だと言い張り、リーシャに自分たちの”番”にするとか言ってきて。
半信半疑で彼らを受け入れたリーシャだが、一緒に過ごすうちにそれが本当の事だと思い始めた。彼らはリーシャの気持ちなど関係なく自分たちの好きにふるまってくる。リーシャは彼らの好意に鈍感ではあるけど、ちょっとした言動にドキッとしたり、モヤモヤしてみたりて……お互いに振り回し、振り回されの毎日に。のんびり自由気ままな生活をしていたはずなのに、急に慌ただしい生活になってしまって⁉ 3人との出会いを境にいろんな竜とも出会うことになり、関わりたくない竜と人間のいざこざにも巻き込まれていくことに!※”小説家になろう”でも公開しています。※表紙絵自作の作品です。
異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜
京
恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。
右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。
そんな乙女ゲームのようなお話。
処刑された王女は隣国に転生して聖女となる
空飛ぶひよこ
恋愛
旧題:魔女として処刑された王女は、隣国に転生し聖女となる
生まれ持った「癒し」の力を、民の為に惜しみなく使って来た王女アシュリナ。
しかし、その人気を妬む腹違いの兄ルイスに疎まれ、彼が連れてきたアシュリナと同じ「癒し」の力を持つ聖女ユーリアの謀略により、魔女のレッテルを貼られ処刑されてしまう。
同じ力を持ったまま、隣国にディアナという名で転生した彼女は、6歳の頃に全てを思い出す。
「ーーこの力を、誰にも知られてはいけない」
しかし、森で倒れている王子を見過ごせずに、力を使って助けたことにより、ディアナの人生は一変する。
「どうか、この国で聖女になってくれませんか。貴女の力が必要なんです」
これは、理不尽に生涯を終わらされた一人の少女が、生まれ変わって幸福を掴む物語。
【完結】転生したら脳筋一家の令嬢でしたが、インテリ公爵令息と結ばれたので万事OKです。
櫻野くるみ
恋愛
ある日前世の記憶が戻ったら、この世界が乙女ゲームの舞台だと思い至った侯爵令嬢のルイーザ。
兄のテオドールが攻略対象になっていたことを思い出すと共に、大変なことに気付いてしまった。
ゲーム内でテオドールは「脳筋枠」キャラであり、家族もまとめて「脳筋一家」だったのである。
私も脳筋ってこと!?
それはイヤ!!
前世でリケジョだったルイーザが、脳筋令嬢からの脱却を目指し奮闘したら、推しの攻略対象のインテリ公爵令息と恋に落ちたお話です。
ゆるく軽いラブコメ目指しています。
最終話が長くなってしまいましたが、完結しました。
小説家になろう様でも投稿を始めました。少し修正したところがあります。
ヒロイン気質がゼロなので攻略はお断りします! ~塩対応しているのに何で好感度が上がるんですか?!~
浅海 景
恋愛
幼い頃に誘拐されたことがきっかけで、サーシャは自分の前世を思い出す。その知識によりこの世界が乙女ゲームの舞台で、自分がヒロイン役である可能性に思い至ってしまう。貴族のしきたりなんて面倒くさいし、侍女として働くほうがよっぽど楽しいと思うサーシャは平穏な未来を手にいれるため、攻略対象たちと距離を取ろうとするのだが、彼らは何故かサーシャに興味を持ち関わろうとしてくるのだ。
「これってゲームの強制力?!」
周囲の人間関係をハッピーエンドに収めつつ、普通の生活を手に入れようとするヒロイン気質ゼロのサーシャが奮闘する物語。
※2024.8.4 おまけ②とおまけ③を追加しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる