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112.兄

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それからと言うものお兄様はお休みの週末は度々屋敷に帰ってきた。

そして1ヶ月に1、2回グレイ王子とダン様が一緒についてくるという日々が続いた。

相変わらず三人組は悪態をお互いつきながらも仲が良く、帰ってくる度に私の目を潤わせてくれる。

何度も会う内に私も気軽に名前を呼びあう仲になっていた。

まるで二人の兄が出来たような気がしていた。





そんな日々が1年ほど過ぎたある日…

「あれ?グレイ王子とダンさん今日もこっちに帰ってきたんですか?もう三人で寮でゆっくりすればいいのに…」

「なんだよマリー、学園で人気者の俺達にこうやって会えて嬉しいだろ!それに俺もグレイでいいって何度も言ってるの…」

「そこはさすがに…たまにグレイさんって呼んでるじゃないですか」

「たまにじゃなくて毎回でもいいんだぞ」

そこは丁寧にお断りしておく、それはお兄様とダンさんのものだから…

そんなダンさんも最初の堅い雰囲気は薄れてリラックスした様子を見せていた。

「そうだな…でもこうやってゆっくりとできるのはテオドールの家だけなんだよ」

そう言って優しい笑顔で見下ろし、子供扱いするように私の頭をぐしゃぐしゃと撫でた。

この一年で三人は背が伸びて急に男らしくなってきた。

私との身長差はみるみると広がっていった。

私だって成長しているのだが…

そう思いながら自分のぺったんこの胸元を見つめる…

いやいや!まだまだ成長期だからね!

私はブンブンと考えを払拭するように頭を振った。

「ていうか、グレイ王子達そんなに学園で人気者なんですか?」

ちょっと気になって聞いてみると

「こう見えても学園での人気の上位をしめてるぞ!」

グレイ王子がふんぞり返って自慢する後ろでヤレヤレとテオドールお兄様とダンさんが苦笑している。

「そんなことないよ、俺はこの二人のついでで少し注目されてるだけだ」

ダンさんがそういうと

「よく言うぜ、この前どこかのご令嬢に中庭に呼び出されてるの知ってるんだぞ」

「えー!」

私は驚いてダンさんを見つめた。

ご令嬢?ご子息でなくて?

私が驚くとダンさんが慌てて否定する。

「いや!ただちょっとお茶に誘われただけだよ!僕はそうそうそんなことないけどテオドールは毎日の様に呼び出されてるよな!?」

「お兄様は毎日!?」

「何度も断っているのに執拗いんですよね…そんなことに構ってる暇はないと毎回断るのに疲れました…」

お兄様が心底うんざりするようにため息をついた。

「お兄様モテモテですね!」

私は自慢の兄に少し誇らしくなる。

「でも好きでもない人に思われてもな…」

お兄様が優しい顔で私を見つめてきた。

確かにこんな顔で微笑まれたら男女問わずコロッと落ちちゃうかもしれない!

「お兄様は優しいし、かっこいいし、笑顔も素敵だから当然ですね!グレイ王子!?」

「なんで俺に聞くんだよ…テオドール、マリーってちょっとおかしくない?」

グレイ王子が顔をしかめた。

ふふふ、照れてる~

「マリーにおかしいところなど何もありません。完璧な妹で完璧なレディです」

お兄様はいつもそうやって私を大事に甘やかしてくれるのだ!
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