第二の人生正しく生きる

三園 七詩

文字の大きさ
5 / 6

5

しおりを挟む
「貴様!」

ケアルは剣を抜くと大振りに振り上げて俺に向かって全力で振り下ろしてきた。

俺はそれをナイフで受け止め力を下に流した。

すると剣は地面に突き刺さりケアルは衝撃に前のめりに倒れ込んだ。

「ケアル!」

仲間が心配して駆け寄るとキッとこちらを見つめてくる。

「お前……本当にルークか?」

このセリフ……会う奴会う奴に言われるんだが……

「どう見ても俺だろ?まぁ記憶が無くなったからお前らの事なんて覚えてないけどな」

「俺達はお前のせいで……」

何か言いたげに睨んできた。

「俺のせいで……って、まさか降格された冒険者ってのはお前らか?」

「そうだ!お前が足を引っ張るから……」

ケアルが叫び出したが途中俺と目があいビクッと言葉を止めた。

俺は自分でも気が付かないほどに恐ろしい顔でそいつらを睨みつけていたらしい。

そこからは少し記憶が飛んだ。気がつくと俺はそいつらを連れて裏の森に連れて行っていた。

森で見つけた誰も使っていない掘ったて小屋にそいつらを逃げられないように縛り、監禁すると一度家に戻った。

家に帰ると普通の顔でマリアにギルドでもらったお金を渡す。驚いていたが事故の補償だと言うとよかったと安堵して受け取ってくれる。

コレでしばらくは金に困ることはないだろう。

マリアが作ってくれた美味い飯をたくさん食べてその日は早く部屋に行き眠りについた。

マリアが寝床に入り寝たのを確認して俺はそっと家を出た。

あいつらの元に向かうと必死に逃げようとしていた形跡があった。

「無理だよ、その結び目はそっとやちょっとじゃ解けない」

俺は冒険者特有の特殊な結び方でそいつらの手足を縛っていた。

「お、お前……俺達をどうする気だ」

「お前らに話を聞く予定だったんだよ、いつかゆっくり探し出そうとしてたのにお前らの方から来てくれるなんて運がいい……」

俺はにやりと笑うと冒険者達はビクッと体を揺らした。

「お、お願い……謝るから許して」

すると一人いた女の冒険者が震える声で懇願してきた。

「謝るから?お前ら俺に謝らなきゃいけないような事をしたって事だよな」

「そ、それは」

四人は口を閉ざした。

「俺は記憶が無いから真実を知りたいんだ、別にみんな話してくれなくていい。誰か一人でも本当の事を言ってくれればいいよ」

そう言うと早速女の冒険者が口を開いた。

「あ、あの計画はケアルが決めたの!」

「おい!ホルン勝手に話すな!」

ケアルが止めようとするので足でケアルの頭を踏みつけ口を塞いだ。

「続けて」

俺が促すとホルンが怯えながら続ける。

「その、ルークがいれば何かあった時に囮にして逃げればいいって……だから無理やり依頼について来させたの……」

「ん!んーん!」

ケアルが何か言おうとするが口を塞がれて何を喋っているのかわからないから無視する。

「それをみんな黙って了承したってことだな」

「それは……」

ケアル以外の三人は気まずそうに下を向く。

「連れていった時点でお前らも同罪なんだよ。それでどうなった」

先を喋れと女を睨む。

「依頼の魔物がやっぱり強くて……みんなで逃げたけど一人が捕まってしまったの、それでルークのお腹を……」

ちらっとこちらを伺っている。

「なるほど、俺の腹を切って血の匂いで魔物の気を逸らしたんだな」

「は、はい……でもみんなで逃げて助けに戻ったよ!だけどもう意識も無くて助からないだろうって……」

だからなんで生きてるの?とでも言うように俺を見つめた。

ルークはあの時俺と同じような状態になったのだろう。

それでなんの因果か俺はルークの体に意思か移転した。

ルーク……お前は死んだのか?

ルークの最後を思うとあまりに可哀想になる。

俺がそばにいてやれば、冒険者としての生き方を教えてやっていれば……

後悔してもしきれない。

しばらく黙って考えているとケアルがどうにか俺の足から逃げ出していた。

「お前ら喋りすぎた!」

他の三人を睨みつける。

「うるさいんだよ。それでルークの……俺の腹を切ったやつはどいつだ」

すると視線がケアルに向かった。

「だ、だったらどうする!俺を殺すのか!やってみろ!お前も道連れにしてやる!」

今にも飛びかかりそうな顔で興奮している。

こいつらを今殺すのは簡単だ。
それに殺したいとも思っている。

でも……俺はルークの手を見つめた。

これは俺の体ではない、ルークの体でそんな汚い事をさせたくなかった。

「一番悪いのは……俺だよな」

ボソッとつぶやく。

一番許せないのは何も知らずに勝手に生き勝手に死んだ俺自身だった。

俺はナイフでこいつらの縄を切ると自由にしてやる。

「いいか、二度と俺の前に顔を出すな。次に見たら……殺す」

いつでも出来るんだぞと睨みつけると脅しは十分だったようで三人はコクコクと頷いた。

しかしケアルだけは反抗的な目で俺を睨んでいた。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

ざまぁされるための努力とかしたくない

こうやさい
ファンタジー
 ある日あたしは自分が乙女ゲームの悪役令嬢に転生している事に気付いた。  けどなんか環境違いすぎるんだけど?  例のごとく深く考えないで下さい。ゲーム転生系で前世の記憶が戻った理由自体が強制力とかってあんまなくね? って思いつきから書いただけなので。けど知らないだけであるんだろうな。  作中で「身近な物で代用できますよってその身近がすでにないじゃん的な~」とありますが『俺の知識チートが始まらない』の方が書いたのは後です。これから連想して書きました。  ただいま諸事情で出すべきか否か微妙なので棚上げしてたのとか自サイトの方に上げるべきかどうか悩んでたのとか大昔のとかを放出中です。見直しもあまり出来ないのでいつも以上に誤字脱字等も多いです。ご了承下さい。  恐らく後で消す私信。電話機は通販なのでまだ来てないけどAndroidのBlackBerry買いました、中古の。  中古でもノーパソ買えるだけの値段するやんと思っただろうけど、ノーパソの場合は妥協しての機種だけど、BlackBerryは使ってみたかった機種なので(後で「こんなの使えない」とぶん投げる可能性はあるにしろ)。それに電話機は壊れなくても後二年も経たないうちに強制的に買い換え決まってたので、最低限の覚悟はしてたわけで……もうちょっと壊れるのが遅かったらそれに手をつけてた可能性はあるけど。それにタブレットの調子も最近悪いのでガラケー買ってそっちも別に買い換える可能性を考えると、妥協ノーパソより有意義かなと。妥協して惰性で使い続けるの苦痛だからね。  ……ちなみにパソの調子ですが……なんか無意識に「もう嫌だ」とエンドレスでつぶやいてたらしいくらいの速度です。これだって10動くっていわれてるの買ってハードディスクとか取り替えてもらったりしたんだけどなぁ。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

過程をすっ飛ばすことにしました

こうやさい
ファンタジー
 ある日、前世の乙女ゲームの中に悪役令嬢として転生したことに気づいたけど、ここどう考えても生活しづらい。  どうせざまぁされて追放されるわけだし、過程すっ飛ばしてもよくね?  そのいろいろが重要なんだろうと思いつつそれもすっ飛ばしました(爆)。  深く考えないでください。

どうして私が我慢しなきゃいけないの?!~悪役令嬢のとりまきの母でした~

涼暮 月
恋愛
目を覚ますと別人になっていたわたし。なんだか冴えない異国の女の子ね。あれ、これってもしかして異世界転生?と思ったら、乙女ゲームの悪役令嬢のとりまきのうちの一人の母…かもしれないです。とりあえず婚約者が最悪なので、婚約回避のために頑張ります!

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...