貧乏領主の娘は王都でみんなを幸せにします

三園 七詩

文字の大きさ
169 / 318
連載

228.怒り

「遅いんだよ、君達…本当にこの娘が大事ならもっと早く来てくれよ、なぁ?」

ガブリエルはニヤッと振り返ってローズに笑いかけた。

「ガブリエルさん…王子達とお知り合いで?」

ローズが聞くと

「まぁね、じゃあ改めて挨拶を…私はガブリエル・ロンバート、隣国のロンバート国の第七王子だ」

「王子!?」

「ロンバート国の王子だと!」

ローズとボストンはわけがわからずに声をあげると、ガブリエルが二人の反応に笑った。

「ボストン、あんたの企みは国にバレてるよ。あんたがうちにこの情報を持ってきたけどうちの国はあんたと手を組むよりもこの情報を報告してクロフォード国との絆をもっと強めたいと考えたんだ」

「馬鹿な事を…私と組めばこの大樹の力を独り占め出来るものを…」

「そこもちゃんと調べたさ、でも今までずっと反応がなかった大樹の実の出現、これには何か理由があると思ってね…それでこっそりと裏で国同士連絡を取り合ってたんだ。この大樹の事が公になれば戦争になりかねない…隣国に挟まれる我が国もそれは望む事ではないからね」

ガブリエルはロイを見ると頷き合う。

「それにこの国の国境にはどうしても越えられない壁があるんだよね…」

ガブリエルが苦笑する…

「壁?そんなモノ無いはずだが…」

「タウンゼント領土を知ってるか?あの山を越えるのがこの国に入る一番の道なんだが…我が国であそこの山を越えた者はいない」

「タウンゼントだと!?」

「あれ?」

ローズはいきなり自分の名前が出てきて首を傾げる。

「あそこには魔物よりも恐ろしい門番達がいるって噂でね…そんなのを敵にはまわしたくないからね」

「お父様…達の事かしら?」

ローズはうーんと考えていると

「王子!ご無事ですか!?」

遅れて到着した兵士達が部屋になだれ込んできた…

「ま、待て!お前達部屋に入るな!」

ロイとカイルが慌てて兵士達に声をかけると

「ローズ様…」

スチュアートさんがサッとシーツでその姿を隠す。

抱きあげようとすると…

「いたっ…」

足枷がガチャと鳴った…

スチュアートはそれを見るとおもむろに足枷の鎖を手に取り…

ボキッボキッ!

片手で鎖を粉々にした…バルトとローズは口を開けてそれを見ていると、スチュアートは唖然と固まるローズを抱き上げた。

ロイとカイルはローズの乱れた姿が隠れてほっとすると…

「そこのクソ男を連れていけ!絶対に死なせるなよ…こいつには聞きたいことが山ほどあるからな!」

ロイはボストンの首元を掴むとギュッと締め上げる。

「ローズに手を出しやがって…本当はここで今すぐ殺してやりたいが…」

ロイはフーっと深呼吸して怒りを鎮めるとボストンを捨てるように投げつけた。

ガンッ!

カイルが落ちてきたそれを足蹴にすると

「グッヴォ!」

ボストンは床に足で押さえつけられる。

「逃げたら困るからな…足と腕を折っておこう」

カイルがボソッとボストンに呟くと足の膝を思いっきり踏みつけた。

ゴキッ!

「ぎゃあああ!!」

「反対側も…」

叫び声と共に骨の折れる音が鳴る。

「カイル様、気持ちは分かりますがローズ様に嫌な音を聞かせないで下さいませ」

スチュアートは顔を顰めるとローズにそっと声をかけた。

「ローズ様少し耳を塞いでおいて頂けますか?」

「えっ?あっはい…」

ローズは素直に耳を塞ぐと…

「では先に外に出ております」

スチュアートはローズを抱き上げたまま皆の間を抜けながら…

ボキッ!

ボストンの腕の上を通って扉を出て行った…
感想 1,399

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました

由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。 彼女は何も言わずにその場を去った。 ――それが、王太子の終わりだった。 翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。 裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。 王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。 「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」 ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

私が死んで満足ですか?

マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。 ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。 全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。 書籍化にともない本編を引き下げいたしました

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました

kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」 王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。

下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。 またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。 あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。 ご都合主義の多分ハッピーエンド? 小説家になろう様でも投稿しています。