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369.

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ドサッ…

クリスはイブがこと切れる寸前でその手を離した。

「ふぅ…こんな簡単に死ねると思うなよ…」

クリスはやっと離せた震える手を握りしめて気絶する二人を見下ろした。

「スミス先生にいいお土産が出来たな…ちょうど実験に使える人体が欲しいって言ってたし…」

クリスは二人に良かったねと笑いかけた。



クリスが小屋から出てくると…

「すみません、一人は勢いあまって首を跳ねてしまいました…あまりに酷かったもので、あとの二人は王都に連れて帰ります。そこで尋問した後スミス先生に任せることにします」

「「えっ!スミス先生に!」」

ロイ王子とカイルが顔を顰めた。

「あの方に…まぁしょうがありませんね。ご愁傷さまです」

スチュアートさんも納得している。

「ではそのように手配しておきます。もう少しすれば王都から使者も来る頃でしょう」

「えー!な、なんでだ!?」

ロイ王子が聞いていないと大声をあげると、クリスが王子を睨みつけた。

「私が報告しておきました。いつまでも王都に王子不在でいられるわけないでしょう!キャシー様の事もありますし…使者が着き次第帰りますからね!」

「クソ…自由な時間もあと少しか…ハッ!こうしちゃいられない!おい!早くキャシー達のところに帰ろう!一緒に居られるのもあとわずかになるぞ!」

ロイ王子はクリスを急かした!

「俺はお前達が帰ればローズとずっと一緒にいられるからな…ここはしょうがない任せておけ、後処理はしておく」

カイルが行けと二人の背中を押してくれた。

「に、兄さん…」

クリスは初めてカイルを心から兄と 呼んだ!

「ありがとうございます!」

「カイル!恩に着る!」

二人は急いで愛しい彼女のいる屋敷に向かった!


       ◆

少しさかのぼってクリス達の去ったあとの屋敷では…

「ローズ、ハルジオン。私よキャシー…入ってもいいかしら?」

キャシーが二人に声をかけた。

「キャシー様?も、もちろんです!」

衝立のベッドからはハルジオンの慌てた声が聞こえてきた。

キャシーは中に入ると立ち上がろうとするハルジオンをローズと共にベッドに寝かせた。

「ほら、ハルジオンは寝てて」

キャシーは優しくハルジオンの手をとると落ち着かせるようにベッドに腰掛けた。

「お二人共…ありがとう」

ハルジオンはいつも通り接してくれるローズ様とキャシー様にお礼を言うと

「未来の妹だもの!当たり前でしょ」

「そ、そんな妹だなんて…私はクリス様の相手に相応しくないのに…」

悲しそうに顔を伏せた。

「あら、そんな事を言った人はどこにいるの?是非とも話を聞いてみたいわ。まさかクリス…なんてことはないわよね?」

「い、いえ!クリス様はそんな事気にしないと笑って下さいましたが…私が私を許せないのです」

ハルジオンの頬を悲しそうな顔にローズは何とかしてあげたいと思っていた。
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