貧乏領主の娘は王都でみんなを幸せにします

三園 七詩

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ハルジオンがひと泣きして落ち着くと…

「ふふ、これでハルジオンの悩みは無くなったわね」

ローズが嬉しそうにする。

「で、でも…本当に私でいいのでしょうか?」

「ならハルジオンはクリスが他の人と付き合ったりしてもいいの?私はカイル様がもしそんな事したら…」

ローズは真剣な顔をするとグッと拳を握りしめた。

「クリス様が他の人と…」

ハルジオンはあのイブさんとクリス様が楽しそうに話し抱き合う所を想像すると…

「い、嫌です!」

フルフルと首を振って嫌な想像をかき消した。

「なら何も悩む事ないわね!」

「う、うう…でも…凄く恥ずかしいです。クリス様があんな風に思っていてくださったなんて…もうどうやって顔を見ればいいか…」

「わかるわ!ハルジオンさん!」

キャシーがハルジオンの手をギュッと握りしめた!

「そうそう!キャシーにも聞かないと…いつの間にロイ様とそんな事になってたの~」

ローズがキャシーの肩をつんつんと突く。

「そ、それがここに来る道で…それまでそんなにロイ様から来ることなんてなかったから…私てっきりそんな気はないのかと、婚約者になる為に仕方なくと思っていたの」

「キャシー!ロイ王子はそんな人じゃないわ!なんせ自分に正直な方だもの」

「ええ、この旅でロイ様の事を凄く知れた気がする」

そう言うキャシーの顔は幸せそうだった。

「嬉しい!大好きな人達が大親友達と一緒になってくれるなんて…」

ローズはキャシーとハルジオンの手を掴むと

「二人とも…よかったね!」

キャシーとハルジオンは幸せそうに頷いた。

「それじゃあローズ、次はあなたの事を教えて?」

キャシーはローズの手を掴んだままにっこりと笑う。

「え?わ、私?」

ローズがギクッと肩を跳ねると

「ええ、私達の先輩だもの!ハルジオンは知ってる?」

「もちろんです!もう本当にお二人共仲が良くて…よく二人で部屋で何かしてましたが…まさかそれって…」

ハルジオンはクリスにされた事を思い出してハッとする!

「私ったら知らなかったとはいえ、もしかしてお邪魔をしていたとか…」

サーっと顔を青くした。

「な、ない!ないわよ!ハルジオンが邪魔した事なんて!」

ローズが顔を真っ赤にして否定すると…

「ハルジオンが?」

「私が?」

ハルジオンとキャシーが声を揃えた。

「あら、それって彼女には邪魔された事がないって事よね?」

「ええ!そうだと思います!そういえば…この間、町の人達の様子がおかしかったんですよね…カイル様がプレゼントを渡した時です!私が皆さんに色々聞いても何も教えてくれなくて…」

ハルジオンが怪しむようにローズを見つめた。

「あ、あれは…そのカイル様とちょっと散歩に…」

「へぇ…部屋にいながら何処に散歩に行くのかしら?」

「あう…えっと…その~」

ローズは顔を真っ赤にすると…手で顔を隠した。

そしてその手にはキラリとカイルからの指輪が光っている。

「あーなるほど、ローズはもうかなり私達より先輩なわけね…」

「そうなんですか!?ローズ様!是非とも教えてください!」

ハルジオンが興味津々とローズに詰め寄ると…

トントン!

慌てた様子で扉がノックされた!

「「「きゃあ!」」」

三人は驚き声をあげると…

「キャシー!」

「ハルジオン!?」

ロイとクリスが駆け込んで来た!

そして二人の驚く顔をみて、三人は可笑しくて笑いだした!
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