自分をさらった宇宙人が美しすぎて恋をした

サドラ

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自分をさらった宇宙人が美しすぎて恋をした

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地球侵略。そう彼らは言った。彼らと言っても地球人の前には姿を表さない存在であったが、巨大な宇宙船から響くその声は、地球人を震え上がらせた。「君たちは我々の捕虜だ」
と、彼らは言う。
「我々は宇宙の平和を守るものだ。だが、我々に敵対する者がいる。それが君たち地球人なのだ。君たちがどれだけの環境破壊を行い、宇宙に影響を与え続けていると思っている。」
そんな馬鹿な、と地球人は思った。彼らは空の彼方からやってきて、地球人たちの乗る船をあっという間に攻撃して沈めてしまった。そして、気がつくと彼らはもういなかった。後にはただ破壊された船と、その残骸だけが残されていた。
それ以来、地球人は彼らに怯えながら暮らしていた。しかし、彼らの言葉を信じたわけではない。ただ、あまりに非現実的な出来事だったので、信じたくない気持ちもあったのだ。それに、彼らが何のために自分たちを侵略しようとしているのかがわからなかった。
「我々の任務は、地球人を配下に置くことである。」
結局これが答えとなったのだが、地球人は軍事力の集中を間に合わせられていない。オーストリアへ侵略に入った宇宙船は激闘の末、制圧し、そのまま北上。この日本に攻めてきた。日本の自衛隊は必死になって抵抗した。それはもう凄惨な戦いであった。割と善戦していて、軍は無人の武器を出し、死者を最小限に抑えていた。
そこで、言わば軍師として作戦を練っていた僕が宇宙人にさらわれたというわけだ。
目が覚めると、宇宙人の基地内にいた。そこはまるでSF映画に出てくるような空間で、僕は大きなカプセルの中に寝かされていた。体には電極のようなものが取り付けられていて、よくわからない機械に接続されている。
「目が覚めたか。」
なんだこのおじさん。目つきが悪い。無精髭なんか生やしている。でも顔立ちはとても整っている。背が高い。180cmはあるだろう。
「私はこの星の最高責任者である。よろしく頼むぞ。」
なんだこいつ。偉そうだな。僕は少しムッとした。
「よろしく頼むとはどういうことだ。」
「君には、君たちの作戦や行動パターン、戦力を教えてもらう。必要ならば人質の役割も科してもらおう。」
「なんなんだ!」
「お父様、そんな強引な真似をしてはいけないわ。」
誰かが急に走ってきた。お父様、と呼んだところを見るに、このおじさんの娘だろう。
「君は?」
「私はこの星の科学者です。この責任者の娘でもあります。この度は手荒な真似をして申し訳ございません。」
随分優しい子だ。しかも、よく見ると可愛いじゃないか。特に下半身が魅力的だ。胸元が大きく開いたドレスを着ている。そして短いスカートの下からは太股が見え隠れする。僕の視線に気付いた彼女は顔を赤くして言った。
「ちょっと!どこ見てるんですか!?︎」
「いや、別に君のパンツを見てたわけじゃ……」
正直スカート短すぎる。タイトスカートだから少し裂けてて露出度上げ過ぎだ。見えてるって。彼女のパンチラ。
「とにかく、こちらに来てください!」
彼女に腕を引っ張られて連れて行かれた先は、薄暗い部屋だった。
「今から私の質問に答えてくださいね。」
「ああ。いいよ。」
向き合って座る。宇宙人にさらわれるなんていう奇怪なことをしているせいで、もう何もかも怖くなくなっている。頭が狂ったのだ。そこにこんな美女が現れたら魅力的に感じるしかないではないか。
彼女は脚を組んだ。や、やべぇ…パンツ見える……。あー、だめだ。やっぱり見てしまう。だって男の子だもん。仕方ないよね?
「あなたは何歳ですか?」
「27だよ。」
「地球では若者ですね。勉強は得意ですか?」
「まあまあかな。成績は良い方だったし。国から力を貸して欲しいと言われるくらいにはね。」
「す、すごい…。」
褒めてもらえた!!嬉しい!!!
「どんな仕事をしてたんですか?」
「ん~、教師かなぁ。教育関係の仕事についてたんだ。子供が好きだったからさ。」
「えっ!?先生なんですか!?︎」
「厳密には違うけど。どうしたの?」
「すごい出世術…尊敬しちゃう…」そう言って頬を赤らめて上目遣いをする彼女。かわいい……。
「君の名前は?」
「私の名前……言っていいですか?」
「うん。」
「イーリス…」「へ?」
「私の名前はイーリス・アイレンベルクです!!」
「い、イリーナさん?」
「違います!イ、リ、ス、です!」
「ごめんなさい。間違えました。」
「わかればよろしいのです!質問続けますよ!」
甲高くない落ち着いた上品な声が麗しい。「はい。お願いします!」
「好きな食べ物とかありますか?」
「ハンバーグとグラタンが好きです!」
「へぇ、意外と子どもっぽいところあるんですね。」
「あっ、すみません。つい本音が。」
「じゃあ本題行きますよ。あなたの国は何と言うのですか。」「日本だけど。」
「ニホン?聞いたことありません。」
「えっと、アジアの小国なんだけど。」
「はぁ、そうなんですか。それで、そのニホンはなぜあんなにも強いのですか?」
「道具とエネルギーと作戦力があるからとしか…普段は平和な国家なので。」
いちいち疑問を抱く彼女がかわいい。仕草とか、表情とか、全てに魅力を感じる。
「そうですか。そのニホンはどうやって作ったのですか?」
「はぁ、日本は昔からあったんですよ。」
「そんなわけないじゃないですか。」
「いや、本当にあるんだよ。」
「そ、そうですか…では、今までどんな作戦を使っていたのですか?」
「あの…言いづらいんだけど、アメリカとか来たら終わるよ?今普通に準備しているらしいけど。」
「え?私たちが負けるの?」
驚きのあまり敬語が解けた。「いや、作戦自体は成功すると思う。ただ、圧倒的な戦力差の前には何もできないだろうね。」
「そんなに差があるの?」
「まず、兵器の質が違う。日本に苦戦する君たちじゃ、アメリカには勝てないよ。」
「えっ…」「そして、戦略だ。戦争において勝敗を決める要因は3つしかないと言われている。戦力、戦術、そして情報だ。この3つが揃わない限り、勝負にはならない。しかし、今のアメリカの状況を見てみろ。」
僕は彼女の肩を掴んで、真面目に言った。
「危ないから撤退した方がいい。僕がみんなを見逃してあげるから!」「ちょっ、ちょっと!痛い!離して!近い!近いってば!」
「あっ、ごめん。」
やばい、夢中になってた。彼女の顔を見ると、まだ赤いままだ。かわいすぎる。
「大丈夫?」
「だ、だいじょぶです。」
「もしアメリカとかが君たちを攻撃すれば、君たちなんてひとたまりもなく…」
「いやぁっ!!」突然悲鳴をあげて椅子から転げ落ちた。「ど、どうした!?︎」
「こわいよぉ……うぅ……」
泣き出した。やってしまった……。でも、可愛い……。なんか、興奮してきた……。
「ごめんね。ちょっと強く言い過ぎた。」
上から見ると、彼女の服装的に見えてしまうので、床に座って彼女を膝の上に乗せる。すると彼女は僕の胸に顔を押し付けてきた。そして、背中に手を伸ばし、ぎゅっと抱きついてくる。
「い、イーリスさん?当たってますよ?」「わざと当ててるんです!」
「何してんの!?︎」
「セクハラですよ♡」
「えぇ!?︎」
「ふふっ、冗談です。少し取り乱してしまいました。お見苦しいところを……。」
僕は我慢できずに強く抱きしめた。「えっ!?︎な、なんですか急に!?︎」
「もう我慢できません!!好きになってしまいました!!」
「えっ!?︎えっ!?︎えっ!?︎」
「僕があなたを守るから!」
ギュッ!
「ううっ…」「君を、守りたいんだ!!」
ギュウゥゥ……
「あ、あの……」「愛しています!!」
ギュー!
「も、もう無理です!離れて下さい!」
ドンッ!
「ぐへっ!」
ベッドに吹っ飛ばされてしまった。
「ごめんなさい……。」
彼女は俯いて謝ってきた。
数日後、ついに彼らはアメリカ、ロシア、中国軍に敗れた。「イーリスさん!早く逃げましょう!」
「はい!急いで!きゃっ!」
「イーリスさん?」
なんと自衛隊に捕らえられているではないか。
「や、やめてぇ…」
「宇宙人なのに日本語が使えるのか。」
「ちょっと待って!放してあげて!」
「あなたは、失踪した荒木さん!宇宙人にさらわれていたのですか!」
「そんなことはいいからさぁ、その人悪くないよ。放してあげてよ。」「悪い奴はみんなそう言うんですよ。」
「いや、だから違うって言ってるじゃん!」
「うるさいなぁ!あんたが黙れよ。」
「はあ?ふざけんな!お前らが勝手に決めつけるからだろ!」
「も、もうやめて!」
「イーリスさん…」
「私たちが地球侵略をたくらんだのは事実です。本当にごめんなさい。私たちの負けです。お願いです。母星に帰させてください。どうかお願いします。」彼女は深々と頭を下げた。「そんなことする必要はないよ。僕が守ってあげるから。」
「何を言っている!お前らはここで処分だ。」
「い、いやぁ…やめて…」
銃口を突き付けられて彼女は恐怖の面持ちだ。
「そ、そのときは僕も殺せ!」
このぐらい言えないと…。僕は彼女を守ることができない。
結局、僕が粘りに粘って彼らは故郷へ帰ることになった。
「荒木さん、本当にありがとうございます。」
僕は再び彼女を抱きしめた。今度は優しく包み込むように……。
「荒木さん……」
「なに?」
「キスしたいです……」
「えっ!?︎」
「ダメ、ですか?」
「い、いや、だめじゃないけど……。」
「じゃあ、目閉じてくれますか?」
目を閉じた。そして、唇に柔らかい感触があった。甘い香りがする。これは彼女の匂いだ。
「ありがとうございました。これで、私は幸せになれた気がします。」
「うん。」
「好きですよ…ずっと♡」
彼女たちは去って行った。これが人生で初めて届いた恋だろうか。
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