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16.サプライズ
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城門をくぐると、サンライズ城とは違った雰囲気の色鮮やかな庭園が姿を現す。
そう感じるのは恐らく咲いている花が、マリンパール特有の種類だからだろう。
パステルカラーの花が彩るサンライズと違い、マリンパールの花は原色系の色鮮やかで華やかな種類が多い。
そんな珍しい花々に目を奪われていたら、急に馬車が停止した。
気が付けば王城の入口前に到着しており、オルクティスが先に馬車から降りる。
「アズリル、手を……」
そしてエスコートの為に手を差し出してくれたのだが、その手を取ろうとしたアズリエールは一瞬、ギョッとしてしまう。
オルクティスの後ろには、何人もの使用人達がズラリと並んでいたのだ……。
流石、大陸で二番目の規模でもある国の第二王子だけあって、出迎えが仰々しい。その様子にアズリエールは、改めて自分がどういう国の王子と婚約したのかを再認識する。
だが、ここで怖気づく程、アズリエールは臆病者ではない。
差し出された手をニッコリと取り、馬車を降りた。
すると、ズラリを並んだ使用人達が一斉に頭を下げる。
そして少し遅れたタイミングで、馬車の扉を開けた品のあるナイスミドルな中年男性が、綺麗過ぎる程の礼をアズリエールに披露して来た。
「アズリエール様、ようこそお出で下さいました。わたくし、長年オルクティス殿下のお傍を仕えておりますハミエルと申します。ご滞在中は、アズリエール様ともお顔合わせをする機会が多いかと思いますので、よろしければ以後お見知りおきくださいませ」
「ハミエルは僕の教育係でもあったんだ。その関係もあって、僕は幼少期から身の周りの世話を全て彼に任せているんだよ」
どうやらオルクティスは身の周りの世話を侍女ではなく、この執事的な男性に任せているらしい。
男性の王族の場合、若い女性の侍女が付く事はあまりないので、そのまま乳母が専属侍女となる事が多いのだが、オルクティスの場合は違ったのだろう。
とりあえずアズリエールからも挨拶を返す。
「アズリエール・ウインド・エアリズムと申します。こちらこそよろしくお願い致します」
この年齢で王族の教育係を担っていたという事は、このハミエルという中年男性は、それなりの家柄出身であるのだろう。
少なくともアズリエールの家柄よりは、格上のはずだ。
そう判断したアズリエールは、厳しい淑女教育で培った優雅な礼を取りながら、令嬢らしい挨拶を披露する。
すると、ハミエルの背後の使用人達の方から数人分の息を呑む声が聞こえた。
その背後の微かな反応に真っ先に気付いたハミエルが、盛大に息を吐く。
「申し訳ございません……。お出迎えには若い使用人達が多い為、不躾な反応をした者がいるようで……」
律儀に謝罪してきたハミエルの行動にアズリエールが、何とも言えない微妙な笑みを返す。
どうやらハミエルは、かなり優秀な人材である事が窺える。
それは隣にいるオルクティスの信頼しきっている様子からも感じられた。
「お気になさらず。わたくしの『空飛ぶ男装令嬢』という噂は、このマリンパール国でも広まっているかと思いますので。皆様、大切な第二王子殿下の将来を心配されての当然のご反応かと思います。ですが、その噂を払拭する為にもわたくしは、こちらに滞在中は誠心誠意マリンパール国のお役に立てるよう尽力致しますので、どうぞ至らぬ点なとございましたら、ご指導のほどお願い申し上げます」
あまりにも腰の低い様子を見せてきたアズリエールにハミエルが慌てだす。
「いけません! 王子殿下のご婚約者様ともあろうお方が、下の者に頭を下げられては! 私どもに対しては、どうぞ上のお立場からで接して頂くようにお願い致します」
「分かりました。今後は気を付けます」
ハミエルのその申し出にアズリエールが、花が咲き誇りそうな程のふわりとした柔らかい笑みを浮かべる。
その様子にまたしても後ろの使用人達の方から、息を吐く様子が窺えた。
すると、ハミエルだけでなくオルクティスまでも苦笑する。
「ハミエル、若手使用人の再教育を検討した方がいいのではないかな?」
「すでに予定しております」
「流石だね」
その黒いやりとりを聞いて、今度はアズリエールが苦笑してしまう。
「それではアズリル。到着早々で申し訳ないのだけれど、両親に君を紹介させて貰ってもいいかな?」
「はい」
初対面の時にしか披露していなかった令嬢らしい言葉遣いをするアズリエールの様子にオルクティスが、必死で笑いを堪える。
その事に気付いたアズリエールが笑顔を向けながら、若干笑みを引きつらせた。
その反応に気付いたオルクティスは、困り顔気味な表情で笑みを返す。
「ごめん……」
「何の事でしょうか?」
ニコニコしながらも、抗議するオーラを発してくるアズリエールの様子に思わずオルクティスが、顔を背けて俯き、震えながら笑いを堪え出す。
「オルクティス殿下、どうされましたか?」
すまし顔で笑いに追い打ちを掛けてくるアズリエールにオルクティスは、咳払いをして何とかその状況を耐え抜く。
そんなやり取りをしていたら、目の前に豪華な装飾が施された大きな扉が現れた。二人が目の前に到着するタイミングで、両脇の警備兵が扉が開かれた。
すると、扉の中から明らかに違った空気感が放たれる。
その空気感に一瞬だけアズリエールの緊張が高まった。
そのままオルクティスにエスコートされながら、アズリエールはその扉の先の謁見の間に足を踏み入れる。
中に入ると、玉座にはオルクティスの両親でもある国王ラウクティスと、王妃テイシアが座っており、その両側には王太子でもある第一王子のノクティスと、その妻であるハルミリアが控えていた。
よく見ると、ハルミリアはアズリエールにキラキラとした視線を注いでいた。
どうやらオルクティスが言っていた通り、ハルミリアはアズリエールに会える事を本当に心待ちにしてくれていたようだ。
それが確認出来たアズリエールは、少しだけ安心する。
そうなると問題なのが、王妃テイシアの存在だ……。
二人が入室した時から、穏やかで優雅過ぎる程の美しい笑みを浮かべてはいるが……その視線はアズリエールに対してのあからさまな『値踏み』だ。
甘い砂糖菓子を思わせるようなほんわかとした穏やかな見た目とは裏腹にその瞳の目力は、かなり強い光を放っている。
アズリエールの知人で例えるなら、親友のおっとりフィーネリアと先輩巫女の気が強いアイリスを足して二で割ったような……そんな印象の女性だ。
だが、いくら全体の雰囲気がおっとりフィーネリアでも、その目力がアイリス並みである以上、侮れない。
ああいう強い瞳を持つ女性は、周りに大きく影響を及ぼすカリスマ性を生まれ持っている事が多い。
しかも自分に厳しい分、他人への評価も厳しいはずだ。
オルクティスではないが、絶対に敵に回してならない人物である。
同時に簡単には篭絡する事は出来ないタイプだろう……。
だからこそ、こちらが尻込みしている様子を悟られてはならない。
貴族社会では当たり前ではあるが、怯んでいる様子を見抜かれれば相手に舐められてしまう。
ましてやテイシアのように自分自身をしっかり持っている女性の場合、媚びたり下手に出るような動きをすればするほど悪手と言える。
しかし今のアズリエールでは、どういった人物像で王妃テイシアにアプローチする事が有効なのか何も思いつかない……。
ならばまず初めに敵の好みを探ろうと、アズリエールは悪意とは無縁の何も知らない無邪気な世間知らずのお嬢様を演じる事にした。
「父上、母上、只今戻りました」
そう報告しながらオルクティスが、膝を折り挨拶をする。
それに合わせるようにアズリエールも最上級の礼を披露した。
その様子を広間に集まっていた重役らしき臣下達が、驚くような反応を見せる。
しかも国王と王太子夫妻も同じ反応だ。
まさか『空飛ぶ男装令嬢』が、ここまで完璧な礼儀作法を身に付けているとは思わなかったのだろう。
しかし王妃テイシアだけは、先程同じように柔らかい笑みを浮かべたままだ。
やはり一筋縄ではいかないタイプのようだ……。
ならば最初に抱かれるアズリエールの印象は、かなり重要になってくる。
それを踏まえて、アズリエールは無邪気で柔らかい見事な笑みを振りまくように浮かべる。
「アズリエール・ウインド・エアリズムと申します。この度は、このような曰く付きの風巫女を受け入れてくださり、誠にありがとうございます。至らぬ点も多いかと思いますが、誠心誠意この国のお役に立てるようこの三カ月間尽力致す所存ですので、どうぞご鞭撻の程、よろしくお願い致します」
アズリエールは、敢えて『婚約者』という部分を強調せずに挨拶口上を述べた。
その様子に何故か国王の口の端が、うっすらと上がった様な気がした。
「アズリエール嬢、このような遠き地までよくぞ参られた。歓迎致そう。だが、そのような堅苦しい態度は出来れば控えて欲しい。貴女には我が国に派遣巫女として来て頂いたのではない。息子オルクティスの婚約者として来て頂いたのだ。その為、出来る事ならば、我らはもう少し貴女と歩み寄った関係を築きたいと思っている」
「勿体なきお言葉、ありがとうございます」
ふわりと笑みを浮かべながら感謝の言葉を述べると、王妃テイシアも声を掛けてくる。
「なかなか変わったお噂をお持ちと伺っていたのですが、まさかこのような素敵なご令嬢が、息子の婚約者の方だったなんて……。噂という物は本当に当てにはならないものですわね。アズリエール嬢、どうぞ、わたくしとも歩み寄りある良き関係を築きましょうね?」
慈愛溢れる笑みを浮かべながら声を掛けて来てくれたテイシアだが、その目は未だに『値踏み』という意味しか含まれていない。
何よりも目が一切笑っていないのだ……。
だが、こういう対応をされる事はアズリエールは慣れっ子だ。
「ありがとうございます。王妃様からの深いお心遣い、大変痛み入ります」
少しはにかむように頬を赤らめながら、そう告げるとテイシアが少しだけ目を細めた。恐らく世間知らずのおっとりした令嬢だと思われたのだろう。
ならば次に来るのは、打たれ強さの確認のはず。
「でも残念だわ……。確かアズリエール嬢は、飛行する事で風巫女の力を発動されると伺っていたのだけれど……。そのお姿では、そちらを拝見できるのは明日以降になってしまいますわね……」
現状、アズリエールが着ているドレスは外出用ではあるが、王族等と謁見する際にも通用する公的に着用出来るドレスでもある。
だが、今のテイシアの言い方では「風巫女として力を貸す事がメインなのだから、まず初めにその実力を見せるべきでは?」という意味合いを含んでいる。
同時にそう零す事で「気を利かせて巫女力を披露できる服装で登城するべきだ」と気遣いに掛けている部分を仄めかす言動とも取れる。
だが、もしここでアズリエールが飛行しやすい服装で登城した場合、それはそれで公の場に不相応な服装だと非難されていただろう……。
逆に今の状態で巫女力を披露すれば「はしたない!」と、またしても非難される。
そしてその服装を理由に披露できない事を言い訳をしようものなら、王妃にもの申したという不敬行為に近い振る舞いをした令嬢という印象が植え付けられる。
ようするに、どう切り返しても悪い方向にしかいかないという流れだ。
これをどうやって、アズリエールが上手く切り返すのか……。
恐らくテイシアが今一番に確認したいのはこの部分だろう。
そしてその瞳からは、世間知らずのおっとりしたご令嬢では上手く切り返せないであろうと思っている様子だ。
逆に王妃の隣で控えるように立っている王太子妃ハルミリアは、アズリエールの事を心配するような表情を浮かべている。
だがこういう会話の流れが来る事は、アズリエールも何となく予測していた。
だから先程、何も知らない無邪気なご令嬢を演じたのだ。
王妃テイシアが、何かを仕掛けてきやすいように……。
そしてアズリエールの思惑通り、試すような会話を仕掛けてきてくれた。
その自分を試すようなテイシアの言動をアズリエールは、穏やかな笑みを浮かべながら受けて立つ。
「もしよろしければ、今すぐにでも巫女力を披露する事が出来ますが……いかがいたしますか?」
そのアズリエールの切り返し方は、謁見の間を僅かにざわつかせた。
外出用とはいえドレス姿で飛行すると事は、はしたないと言われても仕方のない行動だ。
それを堂々と披露すると宣言したからだ。
これには流石のオルクティスも助け舟を出そうとしてくる。
「アズリエール嬢。もし披露して頂けるのであれば、せめて着替えを……」
「いえ。その必要はございません。ですが……一瞬だけお見苦しい姿をお見せしてしまう事をお許しいただければ、是非わたくしの風巫女の力を披露させて頂きたいのですが……」
その申し出に王妃テイシアは扇子で口元隠しながら、笑いを堪えるような仕草をする。
「アズリエール嬢がお気になさらなければ、是非披露して頂きたいわ」
恐らくテイシアは、アズリエールが今着用しているドレス姿でスカート部分を翻しながら、飛行すると思ったのだろう。
しかし、そんな姿で飛行すれば、破廉恥令嬢という汚名が浸透してしまう。
だがアズリエールは、そんな汚名を受け甘んじる気は毛頭ない。
「それではお言葉に甘え……失礼致します」
そう言ってアズリエールは、自身のドレスの左ウエスト部分にあるフリルの下に両方の親指を突っ込んだ。
そして次の瞬間――――ブチブチブチッという音と共にアズリエールのスカート部分が大きく割ける。
「――っ!!」
その光景に思わず王太子妃ハルミリアが声を上げそうになり、慌てて押し殺す。
同時に広間内にいる全員が、アズリエールのその奇行に唖然とした。
テイシアも口元を扇子で隠してはいるが、驚きでその瞳を大きく見開いている。
しかし当のアズリエールは平然としながら、その腰に巻かれていたスカート部分を取り去った。よく見るとアズリエールの着ているドレスのスカート部分は、合わせボタンで取り外しが出来るデザインだったようだ。
それに気付いた全員が、すぐに安堵する。
すると、スカートの下からは男性用のズボンと、かなりヒールの高いブーツを着用したアズリエールの下半身が現れる。
そんなスカート部分を取り払われたドレスの上半身部分のデザインは、裾にフリルが付いてはいるが、男性が着用する裾の長い上着のようなデザインとなり、現在のアズリエールの姿は女性用の乗馬服に身を包んでいるようにしか見えない。
その様子を唖然としながら見つめていたオルクティスだが次の瞬間、くっと喉をならして笑いを押し殺す。
そしてアズリエールが持っているスカート部分を預かってくれた。
その婚約者の気遣いにアズリエールが、ニッコリと笑みを返す。
そして再び玉座の方に向き合い、本日二度目の最上級の礼を披露した。
「それでは只今より、風巫女の力を披露させて頂きます」
そう言って、アズリエールが向かった先は広間の右側の開けたバルコニーだ。
ゆっくりとヒールの高いブーツをカツカツと鳴らしながら、目的地の方へと歩みを進める。
そんなアズリエールを広間に集まっている全員が唖然とした表情で、その動きを目で追った。
広間にいる全員の視線を釘付けにしたまま、アズリエールは軽い身のこなしで、ヒョイッとその手すり部分に上る。
そしてクルリと体の向きを室内に向けて、ふんわりと柔らかい笑みを浮かべた。
だが次の瞬間、アズリエールはそのまま後ろに倒れ込む様にバルコニーの外側に身を投げ出す。
「きゃぁぁぁぁぁー!!」
その身投げとも思えるアズリエールの行動に王太子妃ハルミリアの悲鳴が、広間にこだました。
国王と王太子もその瞬間、驚きからか思わずバルコニーに向かおうと動き出す。
そして流石の王妃テイシアもこのアズリエールの行動に扇子を取り落し、思わず腰を半分浮かせた。
同時に何人かの臣下が慌ててバルコニーに向って駆け出したが……すぐに風巫女の力で上昇するアズリエールの姿を確認すると、口をポカンと開けたまま固まってしまった。
そんな中、ただ一人オルクティスだけが必死に笑いを堪えている。
「流石、アズリル……。確かにこれは、とんでもないサプライズだ」
すると、いつの間にか兄夫妻がバルコニーにまで駆け寄っており、身を乗り出すように飛行するアズリエールの姿を見て盛り上がっていた。
「ノクティス様! ご覧になって! 船がもの凄いスピードで港に戻っていくわ!」
「風巫女とは言え……あの小柄なご令嬢が、あんなにも早く船を移動させられるのか? 凄いな……」
どうやら王都の港に入ろうとしていた船をアズリエールが巫女力を使って、誘導させているらしい。
その通常ではありえない速さで動いている船の様子に義姉が興奮しており、兄が唖然としながらその様子を見ている。
更によく見ると国王である父ですら、わざわざバルコニーの方まで足を運び、飛行しているアズリエールの姿を不思議そうに見つめていた。
その様子に満足げな表情を浮かべていたオルクティス。
しかし突然後ろの方から、ただならぬ気配を感じて思わず勢いよく振り返る。
すると、王妃である母テイシアがニッコリと笑みを浮かべていた。
「母上、どうかなさいました?」
「やってくれたわね、オルク。どうやらあなた、とんでもないお嬢さんを未来の嫁として発掘してきてくれたようだけれど?」
そう言って、先程取り落した扇子を片手にパシパシと軽く叩きつけている。
その母の様子にオルクティスの方もニッコリと笑顔を返した。
「お気に召しませんでしたか?」
すると、テイシアが扇子を片手に叩きつける行為をピタリと止めた。
そのままその扇子をゆっくり開き、口元を隠す。
だがその扇子の下は、先程まで浮かべていたおっとりとした笑みではなく、野心に満ち溢れた笑みを浮かべるいのだろう。
その証拠に先程まで慈愛に満ちた眼差しが、今ではギラギラした瞳へと変化している。
「いいえ? むしろ最高の掘り出し物だわ!」
その母の満足げな一言にオルクティスが、更に笑みを深めた。
こうして登城前のオルクティスの宣言通り、王妃テイシアは簡単にアズリエールに懐柔されてしまった。
そう感じるのは恐らく咲いている花が、マリンパール特有の種類だからだろう。
パステルカラーの花が彩るサンライズと違い、マリンパールの花は原色系の色鮮やかで華やかな種類が多い。
そんな珍しい花々に目を奪われていたら、急に馬車が停止した。
気が付けば王城の入口前に到着しており、オルクティスが先に馬車から降りる。
「アズリル、手を……」
そしてエスコートの為に手を差し出してくれたのだが、その手を取ろうとしたアズリエールは一瞬、ギョッとしてしまう。
オルクティスの後ろには、何人もの使用人達がズラリと並んでいたのだ……。
流石、大陸で二番目の規模でもある国の第二王子だけあって、出迎えが仰々しい。その様子にアズリエールは、改めて自分がどういう国の王子と婚約したのかを再認識する。
だが、ここで怖気づく程、アズリエールは臆病者ではない。
差し出された手をニッコリと取り、馬車を降りた。
すると、ズラリを並んだ使用人達が一斉に頭を下げる。
そして少し遅れたタイミングで、馬車の扉を開けた品のあるナイスミドルな中年男性が、綺麗過ぎる程の礼をアズリエールに披露して来た。
「アズリエール様、ようこそお出で下さいました。わたくし、長年オルクティス殿下のお傍を仕えておりますハミエルと申します。ご滞在中は、アズリエール様ともお顔合わせをする機会が多いかと思いますので、よろしければ以後お見知りおきくださいませ」
「ハミエルは僕の教育係でもあったんだ。その関係もあって、僕は幼少期から身の周りの世話を全て彼に任せているんだよ」
どうやらオルクティスは身の周りの世話を侍女ではなく、この執事的な男性に任せているらしい。
男性の王族の場合、若い女性の侍女が付く事はあまりないので、そのまま乳母が専属侍女となる事が多いのだが、オルクティスの場合は違ったのだろう。
とりあえずアズリエールからも挨拶を返す。
「アズリエール・ウインド・エアリズムと申します。こちらこそよろしくお願い致します」
この年齢で王族の教育係を担っていたという事は、このハミエルという中年男性は、それなりの家柄出身であるのだろう。
少なくともアズリエールの家柄よりは、格上のはずだ。
そう判断したアズリエールは、厳しい淑女教育で培った優雅な礼を取りながら、令嬢らしい挨拶を披露する。
すると、ハミエルの背後の使用人達の方から数人分の息を呑む声が聞こえた。
その背後の微かな反応に真っ先に気付いたハミエルが、盛大に息を吐く。
「申し訳ございません……。お出迎えには若い使用人達が多い為、不躾な反応をした者がいるようで……」
律儀に謝罪してきたハミエルの行動にアズリエールが、何とも言えない微妙な笑みを返す。
どうやらハミエルは、かなり優秀な人材である事が窺える。
それは隣にいるオルクティスの信頼しきっている様子からも感じられた。
「お気になさらず。わたくしの『空飛ぶ男装令嬢』という噂は、このマリンパール国でも広まっているかと思いますので。皆様、大切な第二王子殿下の将来を心配されての当然のご反応かと思います。ですが、その噂を払拭する為にもわたくしは、こちらに滞在中は誠心誠意マリンパール国のお役に立てるよう尽力致しますので、どうぞ至らぬ点なとございましたら、ご指導のほどお願い申し上げます」
あまりにも腰の低い様子を見せてきたアズリエールにハミエルが慌てだす。
「いけません! 王子殿下のご婚約者様ともあろうお方が、下の者に頭を下げられては! 私どもに対しては、どうぞ上のお立場からで接して頂くようにお願い致します」
「分かりました。今後は気を付けます」
ハミエルのその申し出にアズリエールが、花が咲き誇りそうな程のふわりとした柔らかい笑みを浮かべる。
その様子にまたしても後ろの使用人達の方から、息を吐く様子が窺えた。
すると、ハミエルだけでなくオルクティスまでも苦笑する。
「ハミエル、若手使用人の再教育を検討した方がいいのではないかな?」
「すでに予定しております」
「流石だね」
その黒いやりとりを聞いて、今度はアズリエールが苦笑してしまう。
「それではアズリル。到着早々で申し訳ないのだけれど、両親に君を紹介させて貰ってもいいかな?」
「はい」
初対面の時にしか披露していなかった令嬢らしい言葉遣いをするアズリエールの様子にオルクティスが、必死で笑いを堪える。
その事に気付いたアズリエールが笑顔を向けながら、若干笑みを引きつらせた。
その反応に気付いたオルクティスは、困り顔気味な表情で笑みを返す。
「ごめん……」
「何の事でしょうか?」
ニコニコしながらも、抗議するオーラを発してくるアズリエールの様子に思わずオルクティスが、顔を背けて俯き、震えながら笑いを堪え出す。
「オルクティス殿下、どうされましたか?」
すまし顔で笑いに追い打ちを掛けてくるアズリエールにオルクティスは、咳払いをして何とかその状況を耐え抜く。
そんなやり取りをしていたら、目の前に豪華な装飾が施された大きな扉が現れた。二人が目の前に到着するタイミングで、両脇の警備兵が扉が開かれた。
すると、扉の中から明らかに違った空気感が放たれる。
その空気感に一瞬だけアズリエールの緊張が高まった。
そのままオルクティスにエスコートされながら、アズリエールはその扉の先の謁見の間に足を踏み入れる。
中に入ると、玉座にはオルクティスの両親でもある国王ラウクティスと、王妃テイシアが座っており、その両側には王太子でもある第一王子のノクティスと、その妻であるハルミリアが控えていた。
よく見ると、ハルミリアはアズリエールにキラキラとした視線を注いでいた。
どうやらオルクティスが言っていた通り、ハルミリアはアズリエールに会える事を本当に心待ちにしてくれていたようだ。
それが確認出来たアズリエールは、少しだけ安心する。
そうなると問題なのが、王妃テイシアの存在だ……。
二人が入室した時から、穏やかで優雅過ぎる程の美しい笑みを浮かべてはいるが……その視線はアズリエールに対してのあからさまな『値踏み』だ。
甘い砂糖菓子を思わせるようなほんわかとした穏やかな見た目とは裏腹にその瞳の目力は、かなり強い光を放っている。
アズリエールの知人で例えるなら、親友のおっとりフィーネリアと先輩巫女の気が強いアイリスを足して二で割ったような……そんな印象の女性だ。
だが、いくら全体の雰囲気がおっとりフィーネリアでも、その目力がアイリス並みである以上、侮れない。
ああいう強い瞳を持つ女性は、周りに大きく影響を及ぼすカリスマ性を生まれ持っている事が多い。
しかも自分に厳しい分、他人への評価も厳しいはずだ。
オルクティスではないが、絶対に敵に回してならない人物である。
同時に簡単には篭絡する事は出来ないタイプだろう……。
だからこそ、こちらが尻込みしている様子を悟られてはならない。
貴族社会では当たり前ではあるが、怯んでいる様子を見抜かれれば相手に舐められてしまう。
ましてやテイシアのように自分自身をしっかり持っている女性の場合、媚びたり下手に出るような動きをすればするほど悪手と言える。
しかし今のアズリエールでは、どういった人物像で王妃テイシアにアプローチする事が有効なのか何も思いつかない……。
ならばまず初めに敵の好みを探ろうと、アズリエールは悪意とは無縁の何も知らない無邪気な世間知らずのお嬢様を演じる事にした。
「父上、母上、只今戻りました」
そう報告しながらオルクティスが、膝を折り挨拶をする。
それに合わせるようにアズリエールも最上級の礼を披露した。
その様子を広間に集まっていた重役らしき臣下達が、驚くような反応を見せる。
しかも国王と王太子夫妻も同じ反応だ。
まさか『空飛ぶ男装令嬢』が、ここまで完璧な礼儀作法を身に付けているとは思わなかったのだろう。
しかし王妃テイシアだけは、先程同じように柔らかい笑みを浮かべたままだ。
やはり一筋縄ではいかないタイプのようだ……。
ならば最初に抱かれるアズリエールの印象は、かなり重要になってくる。
それを踏まえて、アズリエールは無邪気で柔らかい見事な笑みを振りまくように浮かべる。
「アズリエール・ウインド・エアリズムと申します。この度は、このような曰く付きの風巫女を受け入れてくださり、誠にありがとうございます。至らぬ点も多いかと思いますが、誠心誠意この国のお役に立てるようこの三カ月間尽力致す所存ですので、どうぞご鞭撻の程、よろしくお願い致します」
アズリエールは、敢えて『婚約者』という部分を強調せずに挨拶口上を述べた。
その様子に何故か国王の口の端が、うっすらと上がった様な気がした。
「アズリエール嬢、このような遠き地までよくぞ参られた。歓迎致そう。だが、そのような堅苦しい態度は出来れば控えて欲しい。貴女には我が国に派遣巫女として来て頂いたのではない。息子オルクティスの婚約者として来て頂いたのだ。その為、出来る事ならば、我らはもう少し貴女と歩み寄った関係を築きたいと思っている」
「勿体なきお言葉、ありがとうございます」
ふわりと笑みを浮かべながら感謝の言葉を述べると、王妃テイシアも声を掛けてくる。
「なかなか変わったお噂をお持ちと伺っていたのですが、まさかこのような素敵なご令嬢が、息子の婚約者の方だったなんて……。噂という物は本当に当てにはならないものですわね。アズリエール嬢、どうぞ、わたくしとも歩み寄りある良き関係を築きましょうね?」
慈愛溢れる笑みを浮かべながら声を掛けて来てくれたテイシアだが、その目は未だに『値踏み』という意味しか含まれていない。
何よりも目が一切笑っていないのだ……。
だが、こういう対応をされる事はアズリエールは慣れっ子だ。
「ありがとうございます。王妃様からの深いお心遣い、大変痛み入ります」
少しはにかむように頬を赤らめながら、そう告げるとテイシアが少しだけ目を細めた。恐らく世間知らずのおっとりした令嬢だと思われたのだろう。
ならば次に来るのは、打たれ強さの確認のはず。
「でも残念だわ……。確かアズリエール嬢は、飛行する事で風巫女の力を発動されると伺っていたのだけれど……。そのお姿では、そちらを拝見できるのは明日以降になってしまいますわね……」
現状、アズリエールが着ているドレスは外出用ではあるが、王族等と謁見する際にも通用する公的に着用出来るドレスでもある。
だが、今のテイシアの言い方では「風巫女として力を貸す事がメインなのだから、まず初めにその実力を見せるべきでは?」という意味合いを含んでいる。
同時にそう零す事で「気を利かせて巫女力を披露できる服装で登城するべきだ」と気遣いに掛けている部分を仄めかす言動とも取れる。
だが、もしここでアズリエールが飛行しやすい服装で登城した場合、それはそれで公の場に不相応な服装だと非難されていただろう……。
逆に今の状態で巫女力を披露すれば「はしたない!」と、またしても非難される。
そしてその服装を理由に披露できない事を言い訳をしようものなら、王妃にもの申したという不敬行為に近い振る舞いをした令嬢という印象が植え付けられる。
ようするに、どう切り返しても悪い方向にしかいかないという流れだ。
これをどうやって、アズリエールが上手く切り返すのか……。
恐らくテイシアが今一番に確認したいのはこの部分だろう。
そしてその瞳からは、世間知らずのおっとりしたご令嬢では上手く切り返せないであろうと思っている様子だ。
逆に王妃の隣で控えるように立っている王太子妃ハルミリアは、アズリエールの事を心配するような表情を浮かべている。
だがこういう会話の流れが来る事は、アズリエールも何となく予測していた。
だから先程、何も知らない無邪気なご令嬢を演じたのだ。
王妃テイシアが、何かを仕掛けてきやすいように……。
そしてアズリエールの思惑通り、試すような会話を仕掛けてきてくれた。
その自分を試すようなテイシアの言動をアズリエールは、穏やかな笑みを浮かべながら受けて立つ。
「もしよろしければ、今すぐにでも巫女力を披露する事が出来ますが……いかがいたしますか?」
そのアズリエールの切り返し方は、謁見の間を僅かにざわつかせた。
外出用とはいえドレス姿で飛行すると事は、はしたないと言われても仕方のない行動だ。
それを堂々と披露すると宣言したからだ。
これには流石のオルクティスも助け舟を出そうとしてくる。
「アズリエール嬢。もし披露して頂けるのであれば、せめて着替えを……」
「いえ。その必要はございません。ですが……一瞬だけお見苦しい姿をお見せしてしまう事をお許しいただければ、是非わたくしの風巫女の力を披露させて頂きたいのですが……」
その申し出に王妃テイシアは扇子で口元隠しながら、笑いを堪えるような仕草をする。
「アズリエール嬢がお気になさらなければ、是非披露して頂きたいわ」
恐らくテイシアは、アズリエールが今着用しているドレス姿でスカート部分を翻しながら、飛行すると思ったのだろう。
しかし、そんな姿で飛行すれば、破廉恥令嬢という汚名が浸透してしまう。
だがアズリエールは、そんな汚名を受け甘んじる気は毛頭ない。
「それではお言葉に甘え……失礼致します」
そう言ってアズリエールは、自身のドレスの左ウエスト部分にあるフリルの下に両方の親指を突っ込んだ。
そして次の瞬間――――ブチブチブチッという音と共にアズリエールのスカート部分が大きく割ける。
「――っ!!」
その光景に思わず王太子妃ハルミリアが声を上げそうになり、慌てて押し殺す。
同時に広間内にいる全員が、アズリエールのその奇行に唖然とした。
テイシアも口元を扇子で隠してはいるが、驚きでその瞳を大きく見開いている。
しかし当のアズリエールは平然としながら、その腰に巻かれていたスカート部分を取り去った。よく見るとアズリエールの着ているドレスのスカート部分は、合わせボタンで取り外しが出来るデザインだったようだ。
それに気付いた全員が、すぐに安堵する。
すると、スカートの下からは男性用のズボンと、かなりヒールの高いブーツを着用したアズリエールの下半身が現れる。
そんなスカート部分を取り払われたドレスの上半身部分のデザインは、裾にフリルが付いてはいるが、男性が着用する裾の長い上着のようなデザインとなり、現在のアズリエールの姿は女性用の乗馬服に身を包んでいるようにしか見えない。
その様子を唖然としながら見つめていたオルクティスだが次の瞬間、くっと喉をならして笑いを押し殺す。
そしてアズリエールが持っているスカート部分を預かってくれた。
その婚約者の気遣いにアズリエールが、ニッコリと笑みを返す。
そして再び玉座の方に向き合い、本日二度目の最上級の礼を披露した。
「それでは只今より、風巫女の力を披露させて頂きます」
そう言って、アズリエールが向かった先は広間の右側の開けたバルコニーだ。
ゆっくりとヒールの高いブーツをカツカツと鳴らしながら、目的地の方へと歩みを進める。
そんなアズリエールを広間に集まっている全員が唖然とした表情で、その動きを目で追った。
広間にいる全員の視線を釘付けにしたまま、アズリエールは軽い身のこなしで、ヒョイッとその手すり部分に上る。
そしてクルリと体の向きを室内に向けて、ふんわりと柔らかい笑みを浮かべた。
だが次の瞬間、アズリエールはそのまま後ろに倒れ込む様にバルコニーの外側に身を投げ出す。
「きゃぁぁぁぁぁー!!」
その身投げとも思えるアズリエールの行動に王太子妃ハルミリアの悲鳴が、広間にこだました。
国王と王太子もその瞬間、驚きからか思わずバルコニーに向かおうと動き出す。
そして流石の王妃テイシアもこのアズリエールの行動に扇子を取り落し、思わず腰を半分浮かせた。
同時に何人かの臣下が慌ててバルコニーに向って駆け出したが……すぐに風巫女の力で上昇するアズリエールの姿を確認すると、口をポカンと開けたまま固まってしまった。
そんな中、ただ一人オルクティスだけが必死に笑いを堪えている。
「流石、アズリル……。確かにこれは、とんでもないサプライズだ」
すると、いつの間にか兄夫妻がバルコニーにまで駆け寄っており、身を乗り出すように飛行するアズリエールの姿を見て盛り上がっていた。
「ノクティス様! ご覧になって! 船がもの凄いスピードで港に戻っていくわ!」
「風巫女とは言え……あの小柄なご令嬢が、あんなにも早く船を移動させられるのか? 凄いな……」
どうやら王都の港に入ろうとしていた船をアズリエールが巫女力を使って、誘導させているらしい。
その通常ではありえない速さで動いている船の様子に義姉が興奮しており、兄が唖然としながらその様子を見ている。
更によく見ると国王である父ですら、わざわざバルコニーの方まで足を運び、飛行しているアズリエールの姿を不思議そうに見つめていた。
その様子に満足げな表情を浮かべていたオルクティス。
しかし突然後ろの方から、ただならぬ気配を感じて思わず勢いよく振り返る。
すると、王妃である母テイシアがニッコリと笑みを浮かべていた。
「母上、どうかなさいました?」
「やってくれたわね、オルク。どうやらあなた、とんでもないお嬢さんを未来の嫁として発掘してきてくれたようだけれど?」
そう言って、先程取り落した扇子を片手にパシパシと軽く叩きつけている。
その母の様子にオルクティスの方もニッコリと笑顔を返した。
「お気に召しませんでしたか?」
すると、テイシアが扇子を片手に叩きつける行為をピタリと止めた。
そのままその扇子をゆっくり開き、口元を隠す。
だがその扇子の下は、先程まで浮かべていたおっとりとした笑みではなく、野心に満ち溢れた笑みを浮かべるいのだろう。
その証拠に先程まで慈愛に満ちた眼差しが、今ではギラギラした瞳へと変化している。
「いいえ? むしろ最高の掘り出し物だわ!」
その母の満足げな一言にオルクティスが、更に笑みを深めた。
こうして登城前のオルクティスの宣言通り、王妃テイシアは簡単にアズリエールに懐柔されてしまった。
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