赤毛の伯爵令嬢

もも野はち助

文字の大きさ
5 / 21

5.視察

しおりを挟む
 翌日、ジェラルドは約束通りアストロメリア家の紋章入りの馬車に乗って、オーデント邸にやってきた。
 外出用のドレスに身を包んだクレアが馬車が止まるのを待っていると、外側から馬車の護衛をしていた男性が馬から降りてきて挨拶をしてくる。
 
「ジェラルド様の護衛を務めておりますコリウス・ベイリーフと申します。本日、護衛を務めさせていただきますので、以後お見知りおきを」
「クレア・オーデントと申します。本日はよろしくお願い致します」

 二十代半ばくらいの騎士らしき青年はジェラルドよりも年上のようだ。
 クレアが名乗ると、馬車へ乗るように丁寧な様子で促してきた。
 そんな彼の手を借りながら馬車に乗り込むと、今度は笑みを浮かべたジェラルドが席に着くまで手を貸してくれる。

「クレア嬢、このような早朝から申し訳ない。ですが、あなたに同行してもらえば非常に心強い。案内役を引き受けていただき感謝いたします」
「少しでも閣下のお役に立てるのであれば、いつでもお声がけください」

 そう返してジェラルドの向かいに座ったクレアだが、馬車の内装に圧倒された。
 派手さはないが内壁や椅子にはかなり高級な生地が使われており、座り心地の良さに驚く。
 流石、公爵家の馬車だと感心しているとジェラルドが本日の予定を告げてきた。

「これからリーネル農園とマウロ農園というハーブ園を視察する予定です」
「リーネル農園はラベンダーやローズマリー、マウロ農園はカモミールを扱っておりますね。ですが、ラベンダーに関しては早咲きでも来月辺りからなので、今はあまり見頃ではないかと」
「ええ。もちろんそのことも確認済みです。ただ今回の視察は、農園側がハーブの品質管理をどこまでこだわっているかを知りたいので問題ないです」
「でしたらリーネル農園は、閣下のご希望に合った育て方を一部しております。基本的には当領内のハーブは料理用やハーブティーとしての需要が多いのですが、リーネル農園はストレス緩和に効果が高いハーブを徹底した品質管理のもとで一部栽培しているので」

 クレアの返答に引っかかりを感じた様子のジェラルドが首をかしげる。

「一部……ですか?」
「はい。リーネル農園も通常は効率よく量産できるハーブの育て方をしております。ですが、顧客層には香りの品質にこだわる調香師や上質のハーブウォーターを求める貴婦人もいらっしゃるので、この農園では一部高品質なハーブを取り扱っているのです」
「なるほど。では、うちもそのハーブの取引契約をすればいいのですね」
「一概にもそうとも言えません。高品質のハーブは単価が高いので、まずは取引価格をご確認されてから決められたほうがよろしいかと思います」
「確かに……」

 すぐに契約しそうな勢いだったジェラルドはクレアの助言で冷静になり、気恥ずかしそうに苦笑する。
 一見、穏やかな雰囲気で会話を楽しんでいるようなクレアだが、内心ではすぐに話題が途切れてしまうのではないかと冷や冷やしていた。

 オーデント家から各農園までの移動時間は馬車で四十分程かかる。
 その間、この閉鎖的な馬車の中で高貴な身分のジェラルドと二人だけで過ごさなければならないのだ。
 できるだけ彼を退屈させぬよう配慮しなければならない重圧から、クレアの胃はシクシク締め上げられる。
 だが、その心配は無用だったようでジェラルドのほうから積極的に質問をしてきてくれた。

「クレア嬢、あなたは随分とリーネル農園にお詳しいようだが、何か深いご縁でも?」
「閣下、わたくしへの気遣いは無用でございます。どうぞ、クレアと気軽にお呼びくださいませ。口調も普段使用人の方に使われている砕けた言葉使いでお願いしたいです。改まった口調をされてしまうと、こちらも恐縮してしまいます」

 実は昨日から、本来のジェラルドは事務的な口調が主流ではないかとクレアは感じていた。
 しかし女性であるクレアを気遣い、できる限り柔らかな口調を心がけてくれているように思えたのだ。
 その心遣いには本来感謝しなければならないのだが、王弟に気遣われながら会話されてしまうと、中堅クラスの伯爵令嬢でしかないクレアは困惑してしまう。
 なによりジェラルドが、昨日から話しづらそうなのが気になっていた。

 クレアがそう申し出ると、一瞬だけジェラルドの動きが止まった。
 そしてすぐにフッと笑みをこぼす。
 その反応に少しだけ緊張がほどけたクレアは、先ほどされた質問に答える。

「リーネル農園は、わたくしが好むハーブを多く取り扱っているので個人的によく足を運ぶのです」

 正確に言うとクレア好みのハーブではなく、クレアが頼ってしまうハーブを多く取り扱っているので訪れていることが多い。
 実はイアルに婚約解消の件を言い出せなかったクレアは、そのストレスから片頭痛に悩まされていた。その痛みを和らげる為にこの農園で栽培されたローズマリーやラベンダーの精油を愛用していた。

「では、あなたはそれらのハーブをどのように愛用されているのだ?」

 早速、普段使い慣れている口調に変えてきたジェラルドにクレアが安堵する。
 やはり本来の彼は事務的な話し方をするタイプで合っていたようだ。

「精油ですと、水を張った小皿に精油を数滴垂らし下から温めると、部屋がその香りで満たされるので気持ちを休ませるために使用しております。他にもバスタブに数滴垂らして香りを楽しんだり、ハンカチに染み込ませて気分を落ち着けたい時に活用しておりました。ハーブウォーターですと、美容液として利用することが多いですね」
「やはりハーブウォーターは、美容関係で女性の需要が高いのか……」
「ええ。特に妙齢の女性は、美に対しての追及は計り知れませんので。ですので、もし良質の精油を特産品の一つにするのであれば、蒸留のついでに副産物として得られる質の良いハーブウォーターを主軸商品にし、限定品として高品質の精油を売りにされても充分利益を得られると思います。ちなみにハーブウォーターは、美容液以外にもお部屋の消臭として使えるので、性別に関係なく需要の幅が広がるかと思います」

 すると何故かジェラルドが、じっとクレアを見つめてきた。
 いくら案内役とはいえ、この閉鎖的空間で見目麗しい貴公子にジッと見つめられると年頃のクレアはドキリとしてしまう。

「これだけ自領の特産品を魅力的に紹介できるご息女が跡取りであれば、オーデント伯も鼻が高いだろうな。確かあなたには婚約者がいると聞いているが、将来的にその男性と共にお父上の仕事を引き継がれるのかな?」

 ジェラルドの問いにクレアの表情が強張る。
 確かに少し前まではイアルが婚約者だったが、現状は解消へと話が進んでいる。
 しかしここ直近でクレアがその決断をしたため、ジェラルドは知らないのだ。
 そのことを伝えるべきかどうか迷ったクレアが一瞬、口ごもる。

「その……家督は恐らく妹の夫となる男性が継ぐことになるかと思います」
「しかしオーデント伯は、あなたに家督を継がせようとご準備されていたように思うのだが」
「実は数日前にわたくしは目指したいことがあると父に伝え、先方に婚約解消の話を打診してもらっている最中でして」

 バツが悪そうに語られたその内容にジェラルドが大きく目を見開く。

「それは知らなかったとはいえ大変失礼した。ちなみにあなたの目指したいこととは?」
「実は淑女教育を指導する立場に興味がありまして。将来的には家を出て、令嬢向けの教育係として生計を立てたいと考えております」

 はにかみながら答えると、ジェラルドは腑に落ちないという様子で顎に手を当てる。

「確かにあなたなら素晴らしい教育係になれると思うが、ここまで自領のことを熟知されている人物が家督を継がないのは実に惜しいと私は感じてしまう」
「お褒めいただき、ありがとうございます」
「しかしお父上が優秀なあなたを簡単に解放するとなると、妹君もあなたに負けないくらい優秀な女性という認識でよいのかな?」

 やや含みのある言い回しをしてきたジェラルドにクレアが焦りだす。
 恐らくジェラルドは、ティアラがどういう令嬢なのか軽く調べていたのだろう。

 この状況から彼はあまり妹に興味がないことは確定したが、同時に今後のオーデント家との取引に不安を抱く可能性が出てきてしまった。
 それを懸念したクレアは、妹が家督を継いでも問題がないことを主張する。

「妹はその、少々自由すぎる性格でして。わたくしとはまた違ったタイプになります。ですが妹の伴侶にはしっかりとした男性を父が選ぶと思いますので、今後オーデント家と取引していただくことには影響は出ないかと……」

 言い繕おうとすればするほど説得力に欠けてしまい、クレアの声が尻すぼみになる。
 その様子を目にしたジェラルドが吹き出した。

「そんなに警戒しなくてもいい。家督を継ぐのが妹君になるとしても、私はこの話を前向きに検討している」

 そう言いつつも目の前の彼は必死で笑いを噛み殺している様子だ。
 そんな反応をされ、クレアが恥ずかしさで顔を赤らめる。
 やはりジェラルドは、ティアラがどういう令嬢なのか把握しているようだ。
 クレアたちが必死でティアラと面会させないように動いていたことは、彼には全てお見通しだったのだろう。
 これは早々に父に報告しなくてはならないと、クレアは使命感を抱く。

 そんな雑談なども交えて会話をしていたら、あっという間にリーネル農園に到着する。
 先に馬車から降りたジェラルドは、エスコートするようにクレアに手を差し出してくれた。
 恐縮しながらもその手を取って、馬車を降りる。

 外に出ると、ちょうど咲き頃のローズマリーの爽やかな香りが広がっていた。
 そしてほんのりラベンダーの香りもする。
 どうやら開花はしていないが、蕾から少し香っているようだ。
 その香りを味わっていると、農園の従業員や手伝いの者達が緊張した面持ちで集まりだし、二人を出迎えてくれた。

「アストロメリア公爵閣下、このような場所にわざわざ足をお運びくださり、誠にありがとうございます! 当農園の責任者ボリジと申します!」

 挨拶をしてきたのはリーネル農園の管理責任者であり、幼少期からクレアを孫のように可愛がってくれるボリジだ。
 五十代半ばの彼は、チャキチャキした性格で領主である父セロシスにも気さくに話しかけてくる人物なのだが、流石に公爵が相手ともなると勝手が違ってくるらしい。
 ガチガチに緊張している。
 そんな彼の様子が面白かったため、つい噴き出しそうになったクレアが慌てて口を押さえる。

 対するジェラルドは、従業員たちに仰々しい出迎えをさせてしまったことに責任を感じ、すまなそうな様子を見せる。

「どうやら私の急な訪問で作業の手を止めてしまったようだな……。私の事は気にしなくていい! 責任者の彼以外は、いつも通り仕事に励んでくれ!」

 ジェラルドのその言葉に皆が一斉に顔を見合わせていると、ボリジが大声で皆に声掛けをする。

「公爵閣下のお計らいだ! 皆、すぐに作業に戻ってくれ!」

 その合図で皆が一斉にお辞儀をしながら作業に戻っていく。
 すると、ボリジが本日の視察予定をジェラルドに確認しはじめた。

「公爵閣下、本日はどのような部分を中心にご視察なされますか?」
「クレアから、かなり品質管理に拘って栽培しているハーブあると聞いたので、その件について色々知りたい」

 リーネル農園で高品質なハーブが育てられていることは、あまり表立って売りにはしていない。
 その情報をすでにジェラルドが知っていることに驚いたボリジが、案内をしてもよいのか確認するようにクレアに視線を向けてきた。
 それに応えるようにクレアはニッコリと笑みを返す。

「ボリジ、お願い。そのハーブを育てている場所へ閣下をご案内してさしあげて」
「かしこまりました。では、こちらへどうぞ」

 先程よりいくらか肩の力が抜けたボリジが二人を目的の場所まで案内しはじめる。
 三人の後ろから、護衛であるコリウスが少し距離をとりながら続いた。
 その間、クレアは移動しながら簡単にジェラルドの目的をボリジに話す。

「閣下は高品質の精油を自領の特産品にしたいとお考えなの」
「高品質の……ではパフュームなどの商品開発をお考えで?」
「初めはそのつもりだったのだが、どうやらそれには専門的な調香知識と技術がいるようなので、現在は精油のみの製造を考えている」
「確かにその方がよろしいかと思います。精油には品質期限という物がございまして、製造日より日が経ってしまうと香りが飛んでしまったり、逆に濃厚すぎる香りになって粘りが出てしまう物もございますので。品質にこだわるほど精油の管理は大変になります」
「なるほど……」
「よろしければ高品質のハーブから精製した精油を、いくつかご用意いたしましょうか?」
「いいのか?」
「ええ。是非サンプルとしてお持ち帰りください」
「助かる」

 大分慣れてきたのか、シャキシャキした話し方に戻ったボリジに比べ、ジェラルドのほうはクレアと話している時以上に事務的な口調になっている。
 恐らくこれが彼の周囲の人間に対する本来の接し方なのだろう。
 そういう意味では、クレアは大分気遣いある対応をされているということだ。
 そのことに気づき気恥ずかしくなっていると、濃厚なローズマリーの香りが漂ってきた。

「あちらが高品質のハーブを育てている場所でございますね。私の息子のカイルが担当しておりますので、よろしければ呼びましょうか?」
「ああ、是非頼む。色々と聞きたい」
「では少々お待ちください」

 そう言ってボリジは、近くにある作業小屋へと入っていった。
 恐らくそこにカイルがいるのだろう。
 するとジェラルドが、ふいに声をかけてきた。

「クレア、あなたはあの農園主とは、随分と打ち解けているようだが……」
「ええ。幼い頃からよく父に連れられてきたので、彼にはかなり可愛がってもらいました」
「では彼は、まだ幼かったあなたのことをよく知っていのだな」

 目を細めながらそう口にするジェラルドにクレアが一瞬、ドキリとする。
 そのタイミングでボリジがカイルを連れて戻ってきた。

「閣下、息子のカイルです。よろしければ息子に高品質ハーブの栽培所を案内させますが、いかがいたしますか?」
「是非、お願いしたい。カイル、よろしく頼む」
「はい! ではご案内いたします!」

 カイルと共にハーブの所へと向かうジェラルドの後ろを護衛のコリウスが付いて行く。
 その後ろ姿を見つめていたクレアにボリジが話しかけてきた。

「いや~、本日はクレアお嬢様がご一緒だったので本当に助かりました! 私一人では公爵閣下のお相手は恐れ多くて、途方に暮れてしまうところだったので」
「私もあなたと一緒よ。この後その恐れ多い公爵閣下と共にマウロ農園にも行かなければならないの」
「ですが先程、閣下はお嬢様を敬称なしでお名前呼びされていましたよね? お二人は、それなりに関係醸成がなされた状態ではないのですか?」
「まさか! 閣下とは昨日お会いしたばかりよ?」
「さようでしたか……。ならば今回は随分と大役をお父上より任されてしまったのですね。セロシス様はお忙しいのですか?」
「今回は閣下が女性目線のご意見をご希望されたので、私に案内役の白羽の矢が立ったの」

 それを聞いたボリジが苦笑する。

「なるほど。ティアラお嬢様では公爵閣下のご対応は難しいものになりますからね……」
「ボリジ、そんなことを言わないで? 恐らく父の後を継ぐのはティアラと、その夫の男性になると思うから」

 それを聞いたボリジが大きく目を見開く。

「で、ですが! 次期ご領主はクレアお嬢様のご婚約者のイアル様と!」
「近々、婚約を解消する予定なの。言い出したのは私なのだけれど」
「そんな! イアル様はとても真面目な方だったので、次期ご領主として我々も安心し切っていたのに!」
「ごめんなさい……。でもお父様はティアラの伴侶として優秀な殿方を見つけてくださるはずよ。だからあなた達は安心して?」

 クレアが申し訳なさそうに告げると、なぜかボリジは悲しそうにうつむいてしまった。

「ご婚約解消後のクレアお嬢様は、その後どうなさるおつもりですか?」
「私はやりたいことがあって家を出ようと思っているの」
「ああ、やはり……」

 クレアの言葉にますますボリジが悲しそうな表情を深める。

「イアル様が次期ご領主でなくなる事よりもクレアお嬢様が遠くに行かれてしまう事の方が、手前には悲しくてなりません……」
「家を出た後でも私はここを愛用するつもりよ。だってここのローズマリーで作られた精油は、私の片頭痛を一番和らげてくれるのだもの」

 クレアが両手でボリジの手を握り締めると、ボリジが今にも泣き出しそうな顔をする。

「たとえお嬢様がお屋敷を出られたとしても我々は、いつでもお待ちしております」
「ありがとう。ボリジ」

 そんな会話をしていたら、ジェラルド達が戻って来た。

「ボリジ! 案内を受けた高品質のハーブだが、もしこちらが運営資金を援助すれば、生産量を増やすことは可能か?」
「し、資金援助ですか!?」
「ああ。これだけ栽培に情熱を捧げている農園は初めてだ。まだ他の農園を視察していないので断言はできないが、取引先候補として前向きに検討したい」
「ええ! もちろん! 是非ご検討くださいませ!」

 どうやらリーネル農園の高品質ハーブは、ジェラルドの要望に合ったものだったらしい。
 この件に関しては、きっと父も喜ぶだろう。
 
 こうして最初の視察先であるリーネル農園を後にした二人。
 その後、二十分ほど馬車で移動し、カモミール栽培が主流のマウロ農園も訪れた。

 しかしマウロ農園では、視察に来る人物がジェラルドだということが父の手違いで上手く伝わっていなかったらしい。
 突然現れた王弟公爵に皆が委縮してしまい、結局はクレアが農園内を案内することになってしまった。

 そんなマウロ農園は先ほど視察したリーネル農園の三分の一の規模である。
 ハーブの質はいいが、収穫量が少ないため取引先候補から外れる可能性が高い。
 帰りの馬車でジェラルドから残念そうに告げられたクレアは、新たに紹介できるカモミール農園がないか考えていた。
 すると、ジェラルドが明日の予定を告げてくる。

「明日は特に視察予定はないのだが、今回周った四つの農園についてあなたの意見を聞きたい。特に初日に視察した二つの農園に関しては、あなた抜きでの視察だったので相談したいことがある。明日そちらへ伺っても構わないだろうか?」
「もちろんでございます。お見えになる時間はお決まりでしょうか?」
「午前中は本日の視察内容をまとめたいので、昼過ぎはどうだろうか?」
「かしこまりました。では、そのように父に伝えておきます」

 こうしてクレアの長い緊張の一日は無事に終了した。
 しかし就寝前に今日一日を振り返ると、いつの間にかジェラルドに対して緊張しなくなっていることに気づく。
 それどころか、明日また彼に会えることを楽しみにしている自分自身に思わず苦笑してしまった。
しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

縁の鎖

T T
恋愛
姉と妹 切れる事のない鎖 縁と言うには悲しく残酷な、姉妹の物語 公爵家の敷地内に佇む小さな離れの屋敷で母と私は捨て置かれるように、公爵家の母屋には義妹と義母が優雅に暮らす。 正妻の母は寂しそうに毎夜、父の肖像画を見つめ 「私の罪は私まで。」 と私が眠りに着くと語りかける。 妾の義母も義妹も気にする事なく暮らしていたが、母の死で一変。 父は義母に心酔し、義母は義妹を溺愛し、義妹は私の婚約者を懸想している家に私の居場所など無い。 全てを奪われる。 宝石もドレスもお人形も婚約者も地位も母の命も、何もかも・・・。 全てをあげるから、私の心だけは奪わないで!!

【完結】私の婚約者は妹のおさがりです

葉桜鹿乃
恋愛
「もう要らないわ、お姉様にあげる」 サリバン辺境伯領の領主代行として領地に籠もりがちな私リリーに対し、王都の社交界で華々しく活動……悪く言えば男をとっかえひっかえ……していた妹ローズが、そう言って寄越したのは、それまで送ってきていたドレスでも宝飾品でもなく、私の初恋の方でした。 ローズのせいで広まっていたサリバン辺境伯家の悪評を止めるために、彼は敢えてローズに近付き一切身体を許さず私を待っていてくれていた。 そして彼の初恋も私で、私はクールな彼にいつのまにか溺愛されて……? 妹のおさがりばかりを貰っていた私は、初めて本でも家庭教師でも実権でもないものを、両親にねだる。 「お父様、お母様、私この方と婚約したいです」 リリーの大事なものを守る為に奮闘する侯爵家次男レイノルズと、領地を大事に思うリリー。そしてリリーと自分を比べ、態と奔放に振る舞い続けた妹ローズがハッピーエンドを目指す物語。 小説家になろう様でも別名義にて連載しています。 ※感想の取り扱いについては近況ボードを参照ください。(10/27追記)

妹に全部取られたけど、幸せ確定の私は「ざまぁ」なんてしない!

石のやっさん
恋愛
マリアはドレーク伯爵家の長女で、ドリアーク伯爵家のフリードと婚約していた。 だが、パーティ会場で一方的に婚約を解消させられる。 しかも新たな婚約者は妹のロゼ。 誰が見てもそれは陥れられた物である事は明らかだった。 だが、敢えて反論もせずにそのまま受け入れた。 それはマリアにとって実にどうでも良い事だったからだ。 主人公は何も「ざまぁ」はしません(正当性の主張はしますが)ですが...二人は。 婚約破棄をすれば、本来なら、こうなるのでは、そんな感じで書いてみました。 この作品は昔の方が良いという感想があったのでそのまま残し。 これに追加して書いていきます。 新しい作品では ①主人公の感情が薄い ②視点変更で読みずらい というご指摘がありましたので、以上2点の修正はこちらでしながら書いてみます。 見比べて見るのも面白いかも知れません。 ご迷惑をお掛けいたしました

次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢

さら
恋愛
 名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。  しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。  王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。  戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。  一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。

初恋の人への想いが断ち切れず、溺愛していた妹に無邪気な殺意を向けられ、ようやく夢見た幸せに気づきましたが、手遅れだったのでしょうか?

珠宮さくら
恋愛
侯爵家の長女として生まれたウィスタリア・レルヒェンフェルトは、ウェールズという国で、王太子の婚約者となるのにもっとも相応しいと国中のほとんどの人たちに思われていた。 そんな彼女が必死になって王太子の婚約者になろうとしていたのは、想い人のため。それだけだった。 それが、蓋を開ければ、王太子が選んだのは別の令嬢だった。選ぶことも王太子が、好きにしていいと言われていたが、ほとんどの者がなぜ、そちらを選んだのかと不思議に思うが、その理由は本人しか知らないままとなる。 王太子が選んだ婚約者の暴走に巻き込まれ続けるウィスタリアだが、そんな彼女が婚約したのは、誰もが婚約したがらない子息だった。 彼女は妹のことを溺愛していたが、王太子と婚約できなかったことで、色々とありすぎて数年ほど会えずにいただけで、すっかり様変わりしてしまうとは思いもしなかった。 更には、運命の人とすれ違い続けていることにウィスタリアは中々気づくことができなかった。

酒の席での戯言ですのよ。

ぽんぽこ狸
恋愛
 成人前の令嬢であるリディアは、婚約者であるオーウェンの部屋から聞こえてくる自分の悪口にただ耳を澄ませていた。  何度もやめてほしいと言っていて、両親にも訴えているのに彼らは総じて酒の席での戯言だから流せばいいと口にする。  そんな彼らに、リディアは成人を迎えた日の晩餐会で、仕返しをするのだった。

姉妹同然に育った幼馴染に裏切られて悪役令嬢にされた私、地方領主の嫁からやり直します

しろいるか
恋愛
第一王子との婚約が決まり、王室で暮らしていた私。でも、幼馴染で姉妹同然に育ってきた使用人に裏切られ、私は王子から婚約解消を叩きつけられ、王室からも追い出されてしまった。 失意のうち、私は遠い縁戚の地方領主に引き取られる。 そこで知らされたのは、裏切った使用人についての真実だった……! 悪役令嬢にされた少女が挑む、やり直しストーリー。

病弱な私と意地悪なお姉様のお見合い顛末

黒木メイ
恋愛
幼い頃から病弱だったミルカ。外出もまともにできず、家の中に引きこもってばかり。それでもミルカは幸せだった。家族が、使用人たちがいつもミルカの側にいてくれたから。ミルカを愛してくれたから。それだけで十分――なわけないでしょう。お姉様はずるい。健康な体を持っているだけではなく、自由に外出できるんだから。その上、意地悪。だから、奪ったのよ。ずるいお姉様から全てを。当然でしょう。私は『特別な存在』で、『幸せが約束されたお姫様』なんだから。両親からの愛も、次期当主の地位も、王子様も全て私のもの。お姉様の見合い相手が私に夢中になるのも仕方ないことなの。 ※設定はふわふわ。 ※予告なく修正、加筆する場合があります。 ※いずれ他サイトにも転載予定。 ※『病弱な妹と私のお見合い顛末』のミルカ(妹)視点です。

処理中です...