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第21章 ある国の終焉
12.大人な指導書
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■■■前書き■■■
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今回はシェニカ視点のお話になります。
■■■■■■■■■
「ユーリくん、ポーチに入っちゃった。おやすみ」
私の肩で念入りな毛繕いをしていたユーリくんは、『おやすみ』と言うように大きなあくびをすると、ソファの上に置いていたポーチへと一目散に入っていった。それを合図にしたように、ディズは「そろそろお暇しますね」と言って立ち上がった。そして肩を並べて、ディズの使う部屋と繋がる扉に向かって歩き始めた。
「明日から尋問は午後の部のみ開催になりましたので、茶会の午前の部は私がトゥーベリアス殿にかわって警備にあたります」
「何かあったの?」
「各国の質問がなくなったら尋問を終結する予定だったのですが、トラント国王が死亡したことで、質問数が減ったのです。そのため予定よりも早期に尋問を終結することが出来る見込みになったものの、各国代表者たちの安全保障の関係で、茶会の終結を待つことになりました。そのため、尋問は午後の部のみ開催し、質問が尽きれば茶会終了まで休会することになりました」
「そうなんだ」
「シェニカのそばにいる時間が増えて嬉しいです」
ディズはそう言うとにっこり微笑んだ。私もつられるように微笑むと、彼は頬にキスをして扉の向こうに入っていった。
「疲れたからお風呂に入って寝ようかな」
お風呂と繋がる脱衣所兼洗面所のドアを開くと、目の前には白い大理石で出来た洗面台があり、その隣には白の立派なドレッサーがある。そこには、私でも聞いたことのあるパーレル、ブルドーといった高級ブランドの化粧水や美容液、白粉などの化粧品が並んでいる。
高級品は緊張するけど、以前メーコが「やっぱり高級品って高い理由があるのよ。シェニカも試してみなさい」と言っていたことを思い出し、ドキドキしながら化粧水を使わせてもらった。使った直後は分からなかったけど、朝起きるとお肌がしっとり潤っていた。
やっぱり高級品ってすごいな~。今日はどの化粧水を使わせてもらおうかな~、と悩みながら服を脱ぎ、お風呂場に入ると身体を洗って木製の大きな浴槽に浸かった。お風呂場には木の良い匂いが満ちているし、湯温もちょうど良くて心地が良いから、ついつい今日も長湯をしてしまいそうだ。
「ギルキアには行きたくないけど、温泉には入りたいな~。今度温泉に入る時は、朝昼晩と温泉を楽しんだり、ユーリくんと一緒にお風呂に入ってみたり…。あ、山菜料理美味しかったから、また食べたいな。ギルキアの温泉宿は良かったけど、あの手紙を読む限りギルキアにお忍びで…というのは無理そう」
お風呂を堪能したあと、しっかりスキンケアをしてベッドルームに戻ると、隙間なく閉められたクリーム色のシルクのカーテンが目についた。なんとなくカーテンを開けてみたけど、外は真っ暗で何も見えない。この客室は湖に面しているから、朝起きた時は朝モヤが立ち込める幻想的な景色を眺められたけど、夜は静かすぎて湖面が波打つ音しか聞こえない。
「コッチェルくん、ミルクちゃん、『親愛の鈴』ちゃん、みんなおやすみ。ミルクちゃんは明日は何の洋服を着ようかな~。ん?ここ何が入っていたっけ?」
横になろうとベッドに腰掛け、すぐ横のサイドテーブルに置いた人形たちに声をかけつつ、ユーリくんにそっくりなミルクちゃんを手に取った時、サイドテーブルの下にある磨りガラスの扉が気になった。中を確認しようとミルクちゃんを戻し、小さな扉を開けば、そこは手帳サイズの本がたくさん入った本棚になっていた。何冊か取り出して表紙を確認してみると、小説や学術書、魔導書など様々な種類の本が入っているようだ。
「さっと読めそうなのは魔導書かな。『極秘術』って本のタイトルだから、きっとすごい魔法が書いてあるんだろうな。どれどれ…」
しっかりとした外装の魔導書を開いてみると、そこに書いてあるのは白魔法でも黒魔法でもなく、なぜか『若返りの秘薬の作り方』『不老不死の儀式のやり方』『惚れ薬の作り方』『聴心薬の作り方』など、薬の作り方や儀式のやり方を紹介する内容ばっかりだった。
「うーん。面白いけど、作ってみたい薬もやってみたい儀式もないなぁ。こっちの本のタイトルは…。『艶悦の書』?」
『極秘術』を本棚に戻し、今度は『艶悦の書』と書かれた魔導書を引っ張り出して、ページをめくってみた。すると、最初のページから性的な説明文とリアルな絵ばかりで驚いたけど、男性の局部を口と手で奉仕する、というページにあった露骨で緻密な絵を見た瞬間、反射的にパタンと閉じた。そして動揺を落ち着かせようと無意識に思ったのか、気付いたらベッドに顔を押し付けていた。
「なにこれ。『魅惑の足舐め』『奉仕の極意』とか…。そういうことばっかり書いた本なの?」
耳まで赤くなっているのを自覚しながら、冷静になれと何度も心の中で唱えるけど、ドキドキと脈動する音と振動が続いている。
「う~…。なんでこんなにドキドキしてるんだろう」
力一杯目を瞑ってみたら、奉仕されている絵の男性の表情が浮かぶだけでなく、深いキスをしたときのディズのうっとりした表情や、切なそうに私を見る表情まで浮かんできた。頭を振って冷静になろうとしたり、深呼吸を繰り返したり、治療魔法をかけてみたけど、ドキドキはまったくおさまらない。
どうしようと顔を手で覆って悶えていると、記憶に残るディズと本の男性が似ていることに気付いた。そう思ってしまうと、無性に本が気になってしょうがなくなって、そわそわと挙動不審になりながら、そ~っとページをめくってみると。
「目だ。目が似てるんだ…」
ドキドキしながらも恍惚の表情を浮かべる絵を眺め続けていると、絵の男性の少しタレ目なところが同じであることに気付いた。そう思い当たった瞬間、局部を口で奉仕されている絵の男性とディズが完全に被ってしまって、その生々しさから私は顔から火が出るほど恥ずかしくなった。
これではダメだと思って本を本棚に戻し、ソファの周りをグルグルと歩き回ったあと、深呼吸をしながらソファに座り、水を飲んで落ち着こうとしたものの上手くいかない。
「どうしよう…。気になる」
気を紛らわそうと鞄の中から出した魔導書を読もうとしたものの集中出来ず、視線が本棚ばかりに行ってしまう。どうしよう。気になってこのままでは眠れそうにない。
「あ~…。う~ん。どうしよう。あぁ、もう!女は度胸っ!」
しばらく本棚を凝視しながら唸っていたけど、思い切って立ち上がり、『艶悦の書』を掴んでベッドの上に寝転んだ。
ーーお互いが気持ちよくなるように、手や口を使って奉仕すると愛が深まります。2人同時に行う場合、お互いが寝転ぶ体勢になるのが基本ですが、上級者になると、頭を下にした状態の女性を男性が落とさないように支え、そのまま互いに奉仕を行う体勢もあります。絵を参照し是非とも試してみてください。
寝転んだ男性と跨った女性が互いの下腹部に顔を近付けて口と手で? ルクトに舐められたことはあるけど、女性側もするの?上級者のやり方って逆さ吊りで怖いけど…。本当にこんなことするの?
ーー男性器を口に含んだら、すぼめたり、頭を動かして扱いたり、舌を使って刺激しましょう。男性は絵に印をつけた場所が特に敏感なので、そこを重点的に刺激してみましょう。多くの男性が悦ぶので、積極的に手や口で奉仕しましょう。
ルクトにして欲しいと言われたことはないけど、彼は好きじゃなかったってことなのかな。
ディ、ディズはこういうことしたら、こんな気持ちよさそうな顔、するのかな。彼のこういう顔も見てみたいけど…。は、はずかしい!そういうことをする自分を想像したら、恥ずかしすぎてどうにかなってしまいそう!
「お尻に挿入する時は、媚薬か潤滑油を使うと良い…?え?お、おしり?えぇっ?!」
恥ずかしい気持ちと戦いながらページをめくっていると、衝撃的なテーマが書いてあった。女性のお尻に男性が挿入している絵があるけど、絶対痛いはずなのに女性は恍惚とした表情で描かれている。信じられなくて説明文を読んでいると、『女性1人と男性2人で愛し合う時は、まずは騎乗位で女性器に挿入し、もう1人の男性がお尻に挿入しましょう。男性が3人以上いる場合、2人に挿入された状態の女性に手や口で奉仕してもらいましょう。男性同士で行う場合も同様です。痔の症状がみられる場合は、治療魔法をかけて次に備えましょう』と書いてあった。
それから読み進めて無事完読したけど、『艶悦の書』は初めて知る知識が詰まった濃ゆい大人の本だった。衝撃を受けすぎた影響か、いつの間にか恥ずかしさは忘れていたけど、ものすごく疲れた。もはや医学書を読んだ時のような気持ちだ。実際にこの知識が活躍するのか分からないけど、新しいことを教えてくれた本にお礼を言おう。
「とっても勉強になりました。ありがとう」
優しく撫でながらお礼を言うと、静かに本棚に戻した。あと何冊か魔導書っぽい外装の本があるけど、これももしかして…と確認すると、案の定大人な内容のものだった。その本はまた明日読ませてもらおう。
「そういえば。治療院でお尻が痛いって言うオネーサンがいたなぁ。治療が終わったら『もう勘弁してほしいわ』って言ったけど、それってお尻に…ってことなのかな」
ドキドキも随分収まったし、そろそろ寝ようと布団を整えていると、治療院での出来事を思い出した。同じ治療内容の娼婦のオネーサンや男娼さんが何人もいたから、お尻のトラブルは職業病なのかな~なんて思っていた。あまりに症状が重い男娼さんに、「この薬草をお風呂に入れておくと、痔によく効きますよ」なんて紹介したこともあったけど…。その時はありがとうございますって言われたけど、影でバカにされたに違いない。だって男娼さんは女性客しか相手にしないと思っていたんだから、しょうがないじゃない。もう!メーコってば、そういうことも教えてくれて良かったのに!
それにしても。『艶悦の書』に描かれた男性は、どれもディズにそっくりだった。本物のディズも、あんな風な顔をするのかな。今は想像しか出来ないけど、いつか実際に彼のそういう表情が見てみたいような…。
隣の部屋にいるディズはもう眠っただろうか。ローズ様は『貴女が一晩過ごしても良いと思った時には、貴女から誘ってあげたら良いかもしれませんね』と言っていたけど、どういう風に誘ったらいいんだろうか。素面の状態で言うのは恥ずかしいけど、お酒の力に頼ろうとして失敗しちゃったし…。
そんなことを思いながら目を閉じていたら、ふかふかの枕とベッドに溶けていくように眠りに落ちた。
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「ユーリくん、ポーチに入っちゃった。おやすみ」
私の肩で念入りな毛繕いをしていたユーリくんは、『おやすみ』と言うように大きなあくびをすると、ソファの上に置いていたポーチへと一目散に入っていった。それを合図にしたように、ディズは「そろそろお暇しますね」と言って立ち上がった。そして肩を並べて、ディズの使う部屋と繋がる扉に向かって歩き始めた。
「明日から尋問は午後の部のみ開催になりましたので、茶会の午前の部は私がトゥーベリアス殿にかわって警備にあたります」
「何かあったの?」
「各国の質問がなくなったら尋問を終結する予定だったのですが、トラント国王が死亡したことで、質問数が減ったのです。そのため予定よりも早期に尋問を終結することが出来る見込みになったものの、各国代表者たちの安全保障の関係で、茶会の終結を待つことになりました。そのため、尋問は午後の部のみ開催し、質問が尽きれば茶会終了まで休会することになりました」
「そうなんだ」
「シェニカのそばにいる時間が増えて嬉しいです」
ディズはそう言うとにっこり微笑んだ。私もつられるように微笑むと、彼は頬にキスをして扉の向こうに入っていった。
「疲れたからお風呂に入って寝ようかな」
お風呂と繋がる脱衣所兼洗面所のドアを開くと、目の前には白い大理石で出来た洗面台があり、その隣には白の立派なドレッサーがある。そこには、私でも聞いたことのあるパーレル、ブルドーといった高級ブランドの化粧水や美容液、白粉などの化粧品が並んでいる。
高級品は緊張するけど、以前メーコが「やっぱり高級品って高い理由があるのよ。シェニカも試してみなさい」と言っていたことを思い出し、ドキドキしながら化粧水を使わせてもらった。使った直後は分からなかったけど、朝起きるとお肌がしっとり潤っていた。
やっぱり高級品ってすごいな~。今日はどの化粧水を使わせてもらおうかな~、と悩みながら服を脱ぎ、お風呂場に入ると身体を洗って木製の大きな浴槽に浸かった。お風呂場には木の良い匂いが満ちているし、湯温もちょうど良くて心地が良いから、ついつい今日も長湯をしてしまいそうだ。
「ギルキアには行きたくないけど、温泉には入りたいな~。今度温泉に入る時は、朝昼晩と温泉を楽しんだり、ユーリくんと一緒にお風呂に入ってみたり…。あ、山菜料理美味しかったから、また食べたいな。ギルキアの温泉宿は良かったけど、あの手紙を読む限りギルキアにお忍びで…というのは無理そう」
お風呂を堪能したあと、しっかりスキンケアをしてベッドルームに戻ると、隙間なく閉められたクリーム色のシルクのカーテンが目についた。なんとなくカーテンを開けてみたけど、外は真っ暗で何も見えない。この客室は湖に面しているから、朝起きた時は朝モヤが立ち込める幻想的な景色を眺められたけど、夜は静かすぎて湖面が波打つ音しか聞こえない。
「コッチェルくん、ミルクちゃん、『親愛の鈴』ちゃん、みんなおやすみ。ミルクちゃんは明日は何の洋服を着ようかな~。ん?ここ何が入っていたっけ?」
横になろうとベッドに腰掛け、すぐ横のサイドテーブルに置いた人形たちに声をかけつつ、ユーリくんにそっくりなミルクちゃんを手に取った時、サイドテーブルの下にある磨りガラスの扉が気になった。中を確認しようとミルクちゃんを戻し、小さな扉を開けば、そこは手帳サイズの本がたくさん入った本棚になっていた。何冊か取り出して表紙を確認してみると、小説や学術書、魔導書など様々な種類の本が入っているようだ。
「さっと読めそうなのは魔導書かな。『極秘術』って本のタイトルだから、きっとすごい魔法が書いてあるんだろうな。どれどれ…」
しっかりとした外装の魔導書を開いてみると、そこに書いてあるのは白魔法でも黒魔法でもなく、なぜか『若返りの秘薬の作り方』『不老不死の儀式のやり方』『惚れ薬の作り方』『聴心薬の作り方』など、薬の作り方や儀式のやり方を紹介する内容ばっかりだった。
「うーん。面白いけど、作ってみたい薬もやってみたい儀式もないなぁ。こっちの本のタイトルは…。『艶悦の書』?」
『極秘術』を本棚に戻し、今度は『艶悦の書』と書かれた魔導書を引っ張り出して、ページをめくってみた。すると、最初のページから性的な説明文とリアルな絵ばかりで驚いたけど、男性の局部を口と手で奉仕する、というページにあった露骨で緻密な絵を見た瞬間、反射的にパタンと閉じた。そして動揺を落ち着かせようと無意識に思ったのか、気付いたらベッドに顔を押し付けていた。
「なにこれ。『魅惑の足舐め』『奉仕の極意』とか…。そういうことばっかり書いた本なの?」
耳まで赤くなっているのを自覚しながら、冷静になれと何度も心の中で唱えるけど、ドキドキと脈動する音と振動が続いている。
「う~…。なんでこんなにドキドキしてるんだろう」
力一杯目を瞑ってみたら、奉仕されている絵の男性の表情が浮かぶだけでなく、深いキスをしたときのディズのうっとりした表情や、切なそうに私を見る表情まで浮かんできた。頭を振って冷静になろうとしたり、深呼吸を繰り返したり、治療魔法をかけてみたけど、ドキドキはまったくおさまらない。
どうしようと顔を手で覆って悶えていると、記憶に残るディズと本の男性が似ていることに気付いた。そう思ってしまうと、無性に本が気になってしょうがなくなって、そわそわと挙動不審になりながら、そ~っとページをめくってみると。
「目だ。目が似てるんだ…」
ドキドキしながらも恍惚の表情を浮かべる絵を眺め続けていると、絵の男性の少しタレ目なところが同じであることに気付いた。そう思い当たった瞬間、局部を口で奉仕されている絵の男性とディズが完全に被ってしまって、その生々しさから私は顔から火が出るほど恥ずかしくなった。
これではダメだと思って本を本棚に戻し、ソファの周りをグルグルと歩き回ったあと、深呼吸をしながらソファに座り、水を飲んで落ち着こうとしたものの上手くいかない。
「どうしよう…。気になる」
気を紛らわそうと鞄の中から出した魔導書を読もうとしたものの集中出来ず、視線が本棚ばかりに行ってしまう。どうしよう。気になってこのままでは眠れそうにない。
「あ~…。う~ん。どうしよう。あぁ、もう!女は度胸っ!」
しばらく本棚を凝視しながら唸っていたけど、思い切って立ち上がり、『艶悦の書』を掴んでベッドの上に寝転んだ。
ーーお互いが気持ちよくなるように、手や口を使って奉仕すると愛が深まります。2人同時に行う場合、お互いが寝転ぶ体勢になるのが基本ですが、上級者になると、頭を下にした状態の女性を男性が落とさないように支え、そのまま互いに奉仕を行う体勢もあります。絵を参照し是非とも試してみてください。
寝転んだ男性と跨った女性が互いの下腹部に顔を近付けて口と手で? ルクトに舐められたことはあるけど、女性側もするの?上級者のやり方って逆さ吊りで怖いけど…。本当にこんなことするの?
ーー男性器を口に含んだら、すぼめたり、頭を動かして扱いたり、舌を使って刺激しましょう。男性は絵に印をつけた場所が特に敏感なので、そこを重点的に刺激してみましょう。多くの男性が悦ぶので、積極的に手や口で奉仕しましょう。
ルクトにして欲しいと言われたことはないけど、彼は好きじゃなかったってことなのかな。
ディ、ディズはこういうことしたら、こんな気持ちよさそうな顔、するのかな。彼のこういう顔も見てみたいけど…。は、はずかしい!そういうことをする自分を想像したら、恥ずかしすぎてどうにかなってしまいそう!
「お尻に挿入する時は、媚薬か潤滑油を使うと良い…?え?お、おしり?えぇっ?!」
恥ずかしい気持ちと戦いながらページをめくっていると、衝撃的なテーマが書いてあった。女性のお尻に男性が挿入している絵があるけど、絶対痛いはずなのに女性は恍惚とした表情で描かれている。信じられなくて説明文を読んでいると、『女性1人と男性2人で愛し合う時は、まずは騎乗位で女性器に挿入し、もう1人の男性がお尻に挿入しましょう。男性が3人以上いる場合、2人に挿入された状態の女性に手や口で奉仕してもらいましょう。男性同士で行う場合も同様です。痔の症状がみられる場合は、治療魔法をかけて次に備えましょう』と書いてあった。
それから読み進めて無事完読したけど、『艶悦の書』は初めて知る知識が詰まった濃ゆい大人の本だった。衝撃を受けすぎた影響か、いつの間にか恥ずかしさは忘れていたけど、ものすごく疲れた。もはや医学書を読んだ時のような気持ちだ。実際にこの知識が活躍するのか分からないけど、新しいことを教えてくれた本にお礼を言おう。
「とっても勉強になりました。ありがとう」
優しく撫でながらお礼を言うと、静かに本棚に戻した。あと何冊か魔導書っぽい外装の本があるけど、これももしかして…と確認すると、案の定大人な内容のものだった。その本はまた明日読ませてもらおう。
「そういえば。治療院でお尻が痛いって言うオネーサンがいたなぁ。治療が終わったら『もう勘弁してほしいわ』って言ったけど、それってお尻に…ってことなのかな」
ドキドキも随分収まったし、そろそろ寝ようと布団を整えていると、治療院での出来事を思い出した。同じ治療内容の娼婦のオネーサンや男娼さんが何人もいたから、お尻のトラブルは職業病なのかな~なんて思っていた。あまりに症状が重い男娼さんに、「この薬草をお風呂に入れておくと、痔によく効きますよ」なんて紹介したこともあったけど…。その時はありがとうございますって言われたけど、影でバカにされたに違いない。だって男娼さんは女性客しか相手にしないと思っていたんだから、しょうがないじゃない。もう!メーコってば、そういうことも教えてくれて良かったのに!
それにしても。『艶悦の書』に描かれた男性は、どれもディズにそっくりだった。本物のディズも、あんな風な顔をするのかな。今は想像しか出来ないけど、いつか実際に彼のそういう表情が見てみたいような…。
隣の部屋にいるディズはもう眠っただろうか。ローズ様は『貴女が一晩過ごしても良いと思った時には、貴女から誘ってあげたら良いかもしれませんね』と言っていたけど、どういう風に誘ったらいいんだろうか。素面の状態で言うのは恥ずかしいけど、お酒の力に頼ろうとして失敗しちゃったし…。
そんなことを思いながら目を閉じていたら、ふかふかの枕とベッドに溶けていくように眠りに落ちた。
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