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第九十五話 潜入してみた
しおりを挟むユータとドーラは北の森の街に行き、ギルドでまた少し情報収集。
橋の北側に敵はいなさそうだという。皆すんなりこっちに来ることができているらしい。傭兵討伐した後、ジオとジョニーが少しの間国境の詰め所に残って様子見ていたけど問題なさそうなので戻ってきていた。
その後も向こう側に変化は無いということだ。
「傭兵が嫌がったんじゃね?全滅だもんw」ドーラ
「だよねぇ、、冒険者相手の楽なお仕事です!!とかの募集で行ったら、結局最もハードな100%死亡の現場だった、みたいな」ユータ
あっはっはっは!!×2
「命や人生掛かってるのに騙されるバカいないよな!」ドーラ
「・・・・・・・・・」
「いや、こっちの世界では、だ」
「まぁ、それなら、、」
ということで、姿消して空飛んで向こう側に。
「へぇ、道ができてるんだねぇ」
「作った、というよりは、歩く者が多いので道になった、って感じだな」
毎日のように逃げてくる人がいるのだ。
「でもこれからは他の2つの国にも分散されるだろうからな」ドーラ
「あー、そうだね、、逃げやすくなっていいね」
ここの西にあるラットビア、北のイスターニャにも逃げられるようになるだろう。双方の王達が向こうの冒険者ギルドをどうにかしてくれれば。
まぁ、その前にこっちのは潰すけどね。
ターロが言ってた街があった。多分ここだろう。街中に入ってひと目がない所で姿を表す。
表通りに出て歩いてみる。
「・・これでもマシな街なんだよなぁ、、」
「うん、あの兄弟の言うには、、」ユータ
殺伐だとはあまり感じない、けど寂れている。死にゆく老人みたいな感じをさせている街。
茶店に入ってみる。まずゴンザールの銭が使えるかどうか訊くと、「ウチの国の銭よりありがてぇ」とのこと。
茶と茶菓子を頼み、少し様子を訊く。
ここの領主は兵と傭兵を連れて中央に行ったらしい。そのまんまだという。
「大きな商人達も逃げちゃってな、、領主が戦争の準備の借金して帰ってこないだろ?王都滅亡したと言うし、各地から集めた兵も全滅だと言うし、、この国に居た大商人は皆破産したか、しなかったのは他国に逃げたし、、
残った領主の一族が勝手するので、どんどん人がどっか逃げちゃってな、欲かかなけりゃ、ここはゲスザンスでもマシなほうだったんだけどなぁ、、」
だという。
ユータ達は西から来たことにしておいた。銭はゴンザールから来た者と交換したことにした。
冒険者ギルドに行ってみた。
誰も居ない。
職員もいない。
ホコリが溜まっている。
ドーラとユータはまた飛んで東に向かった。
音速近くで四半時(30分程度)でデカイ街発見。降りてみる。
また街中を歩く。
さっきの街より幾分殺伐としているかな?
でもさほど変わらず。
茶店に入るが、似たような話。でも先程の領よりゲスみたい。ここも領主と全兵力が居なくなったと。
「せいせいしているよ」とのことだった。
領主の家族の男手が全て一緒に行ったらしく、残った女手も「兵がちらほらしかいないし、その兵も言う事聞かないので、誰も領主の家族の言う事なんぞ聞きゃしない」だと。
また、どこの領が悪いとかいう噂はまだ入っていない様子。
あまりほかから逃げてきていないのかな?
幾つかの街をまわったけど、ほぼ一緒。
山賊も出ていない様子。町から町への行き来もあまりないので山賊やっても獲物が居ないみたいだし。
「兵がほぼ完全に全て連れて行かれた」
ので、盗賊になるような兵は残っていないのが幸いしたのだろう。
「良かったね、全部潰しといて」
「ああ、言葉通りひと踏みでぷち!だったからな」
あっはっはっはっは×2
兵らが残っていたら、ほぼ全てが勝手なことして国内を蹂躙していたろうと、住民たちからの話で容易に想像がついた2人。
ターロとジーロが居たという北にも行ってきたが、やはり他の国からすりゃダメダメな領主だった様子。これでマシだっつーんだから、ゲスザンスはどこまでクズだったんだ?と吃驚な2人だった。
で、聴取した全ての街で、他に領主が残っている街を訊いたことがない。とのことだったのと、各街の冒険者ギルがもぬけの殻だったので、調査終了。
ゴーミに向かう。
ゴーミ。ゲスザンスとの国境の町。
ここまで空を飛んできて地上を見ながら来た。
ゴーミに入ると畑が多くなった。しかも手入れもゲスザンスよりはマシに見えるほど。
もちろんドラゴニアの畑に比べりゃダメダメだが。
街はずれの茶店に入ってみて、昼を食べながら色々訊いてみる。
ゴーミは、「まともな領主は兵を出さなかった。領主も病気と称して、代理の者と少数の傭兵雇って行かせただけだ」とのこと。
ここお領主はマシな部類で、税も「半分しかとらない」という。
他に比べれば50%は多い。経済破綻に確実に向かうレベルの搾取だ。
一般人の収入から30%、そこが吸い上げの限界。どんな名目だろうが、一般人達の収入から「黙っていても取られる分」が30%を超えたら、そこの経済は確実に衰退に向かう。(一般層を国内マーケットの一部として見た場合。江戸時代などは農民などをマーケットの一部としていなかったのであそこまで搾取できていたとみられる。この世界ではそれは奴隷層に当たる)
だからドラゴニアやまともな国ではほぼ税を取らない。支配層は自分でビジネスを持ってそこから領や国の経営費用をひねり出している。
また、貨幣の鋳造量を増やすこともする。貨幣発行を多くするとインフレに成って経済悪化するとかいうデマを振りまく奴はこの世界にいない。もとより非兌換貨幣という詐欺をせず金銀銅を使っているのだから。
経済活性に少しのインフレがいいとかいう嘘を振りまく奴もいない。
なので、そこらへんはまだ随分マシだった。
まぁ、この世界の奴等がそんな低レベルな嘘に騙されるのいるとは思えないが。
向こうの世界を勉強したドーラとダンマスは、そこら辺を理解していた。2人は聡明だけどね。ひとじゃないけどw
ゴーミを一通りまわってみて、夕方になったので、ゴンザールに近い街の宿に泊まって見ることにした。
「珍しいねぇ、、お客さん、どっから来たの?どこに行くの??」
「そういうの訊いた奴がどーなったか、知りたいか?」ドーラ
「・・・けっこーです、、すみません」
ゴーミの者達は総じて「こすっからく」見える。
人目を気にするくせに小賢しい小ずるさがよく見え、騙すために人目を気にしてるんだなぁ、、と、もろわかる。
もちろんドーラだからわかるのだろう。騙される無能な奴等も多いので、こいつらのそれが成り立っているのだろうから。
「そーやって、今までこの国が成り立ってきたんだなぁ、、」とドーラは思った。
国(支配層)が国民を作るというのもあるが、そこの者達が国の資質を作ってるのが大本だ。
それを変えることはまずできない。国民全員入れ替えれば可能だろうけど、意味ねぇ。
ここも、放置だなぁ、できれば全部燃やしておきたいな、あとあとを考えると、、と思うドーラ。
ゴンザールに入りたい。どっかに抜け道在るんだろ?正直に言えば生き残ることできるぞ?
と散々いろいろ言ってもヒントもなかった。ほんとに行くことができないのだろう。
「海も入ることすらできなくなった。どーやればゴンザールに行けるかこっちが知りたい。そんな方法あればそれだけでひと財産だ」と言うのは本当らしい。
翌日、その街をまわってみたが、それらしき気配すらない。
が、ゴンザールに入りたいがためにこの街に来た人間も少なくない様子。
食堂や茶店のあちこちで、それらしい話をしている。外部のものだからそういうところで情報を集めるしか無い。
ドーラとユータは邸に転移で戻った。
その晩、皆(各国王達含む)が夕食を終えたあとのお茶の席で、調査結果を皆に報告。
「なので、ゲスザンスとゴーミから入ってくる者達に注意したほうがいいぞ。もう、根っこがゲスなのが多いから治し様が無い。あんなのに入られちゃ、社会が悪くなる。
悪意ってのは心が弱い者には感染しやすいぞ。」
「・・・どうでしょう、うちのダンジョンから人手を貸しましょうか?モモンガ一族」ダンマス
「ガンダ、王様達、モモンガ達を見てきたの?意味しってるの?」ドーラが訊く
「ああ、ダンジョン船も、北の森も見せたから、、」
「ええ、わかってます。悪意在る者はどっかに飛ばされると。」ゴンザール王
「んじゃ、借りるか?」と、ドーラは王達の顔を見まわす。
「「「お借りします」」」
あとでダンマスが各国の国境を見て回り、必要ならアドバイスと手助けすることになった。
「親ってありがたねぇ!」ユータ
「そうだよなぁ、、」ドーラ
なんかへんなところでありがたがる2人。
「あれだな、、あの2カ国をほぼ封鎖状態にしておかないとな」ガンダ
「あと、時折調査し、よくなっているか悪くなってるかの状態をチェックしないとな」ドーラ
「そうだね、消すほうがとても楽で後々を考えるとソレしか無いはずなんだけど、残してそういうやり方を試してみるのも必要かもね!ダメならその時すぐに消せるもんね!!」
と、ユータがどんどん、、なんか、、とっても強く頼もしくなってきている件!!(ドーラ)
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