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第百六十四話 今まで、こんなことあったんだねぇ、、回顧話
しおりを挟む帰りは峠に寄った。モモンガに向こうから連絡来ると思うから、来たらすぐ教えててーって言って、そこから北側を眺めた。
峠の西側には山脈が、東側にもあるが低くなって、その先が北の森となる。
峠の北側には平地が広がり、西側は森。
この平地はなぜ森になっていないのだろう?昔は大きな沼とかだったのかな?だったらいいな、そうならば肥沃な土地だろうから。周辺国が豊かになることはいいことだ。アホウな侵略意欲バンバンな支配者が出てこない限り。
「ここが全て田畑になったら、壮観だろうね」ユータ
「ああ、、そうだな」ドーラ
多分、王都だけどころじゃないだろう。余裕で他国(他領含む)に輸出できるほどの生産をあげることができるだろう。
峠からはつづら折りに整備された街道が下の平野に届き、そこから、上から見ても太い街道が北に真っ直ぐに伸びている。
もう街道の周囲には建物が増えつつある。
こちら側は小さな宿場町になっているようだ。
踵を返し
「行こうか」
「うん、」
2人は空に浮かんで邸に向かう。
ーー
飛びながら話をし、南東領の食事が美味しかったんで、んじゃドラゴニアに戻ったからデザート食べるぞ!となった。
で、どこで食べる?と。ドーラとユータはどこにでも行けるし、、少し時間かかるけど日本でもいいし、、
が、すぐ食べたいなーとなったので、たまには、とダンジョン側の街に行く。
ドラゴニアの小麦は、水路にある水車で粉に挽いている。魔法で粉にしていたが、どうしても魔法を使わないで石臼で挽いた粉の方が美味しい。
テイナに言わせると、「魔法だと均一化してしまう。石臼だと、私達が気づくほどではないけど、目がバラバラなのだろう。で、味からすると、そのばらばらなほうが美味しく感じるのじゃないかしら?」とのことだ。
どっちにせよ、美味しい方がいい。なので水車で石臼を使い、小麦粉を挽いている。
勿論ダンジョン側の街でも石臼を使って挽いている。こちらダンジョン側の街は水路が多くないので、なんと最近は風車を作ってそこで石臼を回している。海よりは風は多くないが、どうにか使える程度は吹いている。
モモンガ船長が気づいて、「水路ダンジョンに流れの良い小さい川作ってもいいですよ」と言ってくれているらしい。「今、試しに作っている最中です」と、そのケーキ屋の主人は言っていた。
そこのケーキは美味かった。
ゴンザールから来たケーキ屋の亭主。来た当初からドラゴニアの子を3人雇っていて、皆厨房班の卒業生。ケーキ作りが得意な子、好きな子、をまわしてもらったという。
「なので、私がその子達に教わっていました。おかげでここまで美味しくなりました。」とのこと。
職人の世界は年季の長さとかよりも、できるかできないか、を理解できないと職人なんかやっていけない。口先でいくら自分が長くその職人やっていると言っても、客が見るのは品物の出来なのだから。
なので、その店主も、子供のなのに自分より数段美味しいケーキを作る子達をすぐに認めた。そして、教えを乞うた。そういう素直な者達が、ドラゴニアダンジョン側の街を作っている。
ドラゴニアの水路は、以前より流れが早くなって、水車の稼働も倍増していた。
ドラゴニア本国の南の水路、フェリーの水路だが、ドラゴニア本国周囲を囲っている水路(堀)の出口として結んだのだ。フェリー水路との間に水門を設け、その水量によって水流・水量を変えている。
当然今までよりも明らかな流れができた。最初の水路に川の水が入り、本国周囲の堀を通って、南の水路から出ていくようになっている。東側の堀は南の水路に抜けては居ないので余り流れないが、それはそれで稚魚養殖に良いということだ。「流れがあると魚達は泳ぐので、デブりにくくなって良い」と養殖班。
変化する環境を上手く使うことができている養殖班の子達。
ローラに聞かせてあげたい。デブりにくいドラゴン人だが、それなのに、なんかぽっちゃるローラなのだ。
どうにかぽっちゃらせないようにしたいものだw
ダンジョン側の街に来たのだから、折角だから、と、街を回ってみる2人。
以前来た時同様活気溢れている。が、
「自転車増えたね」
「ああ、自転車にリヤカー付けたのが目立つなー。」
貸自転車屋の子達が作っているリヤカー自転車。人が直接牽くより楽ちんで早い。
農作物なんか、畑からそのまま水路ダンジョンの入り口に運んでいる。そこで商会の者達が、荷をどんどん船に運び込ませている。翌日にはゴンザールの荒地側の街に着く。その翌日にはもうゴンザールの王都まで運ばれる。ゴンザールは畑地が少ないので、今ではその大半はこのダンジョン側の街の生産物になっている。畑も、育ちがかなり違うみたいだし。
あ、、、
貸自転車屋がでかくなっていた。
もともと隣と余裕ある作りの街にしていたが、多くはその通りに面した部分はほぼ店舗を建てられていた。
この自転車屋は横は自転車など物を置く場所にしていたのだが、そこが全て店舗になっている。
「でかくなったんだ?」
「あ、ユータ!おかげでこんだけでかくなった!作業場は裏にしたよ。貸出も多くなったけど、その分修理も多くなってね!!もうてんてこまいさー!!」
ほう、こっちではてんてこまいって言葉をまだ使っているのか、、、とか思うユータ。
「全部商用自転車だなー」
と、表に出ているのを見てるドーラ。
「奥には3輪とか、マウンテンバイクもあるけど、あれはお店の事務員とか用にしか出ないよねー」
「へぇ?事務員とかも?」
「うん、もうこの街もどんどん広くなっているんで、あると助かるみたい。」
「そうか、、身体強化も使えない人にはここはもう広い街になるんだな、、」ユータ
「そうだね、俺らはわからなかったけど、お客さんに言われて、なるほどなぁ、、って思ったよ」
ほどほどにがんばってなー、、とドーラとユータは店を後にした。
町外れは、、、かなり伸びていた。
「いぜん、ここらであのソバ?屋に入ったんだよな?」
「うん、そばっぽいもの屋さんは、あそこだよね」
とユータが指差す。
で、目の前のロータリー、、そこから先、、、ずっと両側に建物が、、、
あれぇ?
ロータリーに行って左右を見る。
ずっと向こうまで、道の両側に建物が、、
「このあいだ、すぐそこでもう建物無くなってたよね?」
「・・・ああ、だよな?。・・すげーな?」
当然、以前は閑散としていたここのロータリーも、人と荷馬車と自転車リアカーの通りが多くなている。
あれ?
ユータが指差す先
「あっちです、、さん、、だっけ?」ユータ
「あっちゃだろ、さんじゃなかったっけ、、、」ドーラ
てくてくてく、、と本人がやってきて、
「アッテウスです。お久しぶりです!。お元気そうでなによりです。」ゴンザール国の魔物の森の領主だ。荒地の砦も彼の領地だ。
「わるいな、もう全てガンダ達にまかせてあるんで、任せた後に俺がのこのこいろいろ顔出していいもんじゃないし、、」
「ええ、存じております。でも、貴方方2人には最初からお世話になりっぱなしなので、、」
「気にしないで。同盟後からこっちが世話になりっぱなしだからな。おかげでガンダたちもかなり成長している。」
「微力ながらお力になれてよかったです。」
「これからも頼むな」
「勿論です!」
今でこそ、ゴンザールの王とこの領主は、国の外交と経済と政治のことをガンダ達にいろいろさり気なく教えてくれているが、ゴンザールとドラゴニアの付き合いのとっかかりがドーラとユータが助けた事だった。
ゴンザールの海側と荒地側を結ぶ、魔物の森を通る街道の整備は難しく、ゴンザールはなかなか出来なかった。
そこに、ドラゴンになったドーラと魔力豊富なユータの2人で立派で安全なでかい街道を新たに作ったのだ。
その力量と、2人の人柄を見た領主は、荒地の遥か彼方にあるこの2人の国と同盟を結びたいと王に進言し、王とドラゴニアは同盟を結んだ。
行き来が今のままではままならないので、ダンマスに相談したら、ダンマスが地下水路ダンジョンを作ってくれた。
そして、両端の街、ドラゴニアではダンジョン側の街、ゴンザールでは荒地の街が出来上がり、発展した。
その後、その間に冒険者用の街である中間の街ができ、北側から逃げてくるまともな者達、特に冒険者達用に北の森の街ができあがる。北の森の街には、冒険者たち向けにダンマスがダンジョンを作った。
もともと森が多く、森の開拓も困難で、田畑が少なかったゴンザール。農民の多くはダンジョン側の街に用意した畑地を借受け、そこで生産を始めた。肥沃な土地であったため、ゴンザールを賄うには丁度よかった。
リターニャ王家が東征を始め、国内が荒れたリターニャから多くの人達がドラゴニアに逃げ、更にドラゴニアとゴンザールの冒険者ギルドは全く対応が違うし、その両国も冒険者を大切にするということが知れ渡り、冒険者達も両国に逃げ始め、この頃に北の森の街を作る話がドーラ達の中で出始める。
ゴンザールの北にあるゲスザンス王国とゴーミ王国の王家や主な領主達がゴンザールを侵略しようとしたのでドーラ達により征伐され、リターニャの王家と、もともとドーラ達が居た現南東領の領主も王都や領都ごとドーラとテイナによって征伐され、周辺の侵略好きな者達はほぼいなくなった。
残った冒険者ギルドも最初は少し嫌がらせなどしていたが、敵わないと思ったのか、いつの間にか消えていた。
その後、ドーラとユータがリターニャが侵略したラットビアを開放。ラットビアとドラゴニアは同盟を結ぶ。
その時に、侵略軍の司令官ミカロユスとドーラ個人が同盟を結んだ。
約束通り、ミカロユスは良い領主を王に建て、リターニャを北西王国として建国。敵対する領主の多くを討伐した。
ドラゴニアはその後、残りの周辺国イスターニャと同盟を結ぶ。
余談でドーラとユータが「海の領地がほしい」と、海岸地方と小島を領有化した。
その時に知り合った人魚達の国と同盟を結ぶ。
一方、ユータの世界でも動くは大きくあった。その原因はダンマス一人にあると言っていいだろう。
ダンマスが気に入ったユータの世界の国、ムータン。そこを守るために、ダンマスはそっちの世界を支配している勢力に多方面から真っ向から闘いを挑んだ。
緊張した場面もあったが、ダンマス一派があっけなく敵対勢力をほぼ殲滅し、ユータの世界も安定化に向かう。
個人レベルにおいては、道場主の市(いち)とユータの友人タカが魔力を付け始め、ムータンで国民達に気を練ることを教え始める。これは魔力を付けるのにちょうどよい方法で、全く一緒と言ってもよく、ちょうどよかった。
一度だけドラゴニアのある世界に行き、そこで少しダンマスから鍛錬を受けた2人。魔法も少しは使えるようになっていた。
そのムータンは、ダンマスがダンジョンを作っていて、そかから発生する魔素により体内に魔素を溜めることが可能なようになっていた。
勿論市とタカの容量も増えていくが、2人が仕込む国民達も魔素を取り込めるようになっていった。
ムータン王の最終目標は、ドラゴニアのある世界への国ごと移転。
ダンマスの入れ知恵でしかないのは誰もが判るが、それでもムータン国民を見た者達は、その国民達が”どっちの世界に合っているのか?”は、よくわかった。よって、国ごと移転は当然の選択だろうと思った。
そして、やっと、移住希望者達の中から、近衛部隊と王の側近の一部合計3000人が、ドラゴニア入りし、研修を受けて居る最中だ。こっちの世界を理解するための研修を。
そして、同盟各国の王達も、移転してくる”向こうの世界の国”ムータンに注目している。
以上、大まかに、ドラゴニアとゴンザールの同盟から現在を回顧してみた。
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