放課後はダンジョンに行って憂さ晴らしのつもりがいつの間にか学園最強になってたことに気が付かなかった

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第二百二十二話 整理整頓旧ムータン

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数日を実家でのんびり過ごしたユータとドーラ。
それからムータンに跳んだ。転位で。

ムータンはめっきり寂しくなっていた。
人口が9割減?だったかになったためだ。

王様は地方の者達は出来うる限り一緒の場所に住んで欲しいと国民に伝えた。
残っている多くの者達は年寄りなので、自分の土地に愛着があるが、それでも王様のお願いならば聞かねばならない、と、引っ越しを容認してくれた。

ムータンに残った者達で魔法が結構使える者とイチやタカで引っ越しをした。
引っ越し先は、向こうの世界に行った者達の残した家。勿論転居するその家は修繕しておいた。
外からの断熱効果を家に付与もしておいた。冬は暖房の効果が逃げず、夏は外からの暑さが入ってこないようになる。
老人には極度な寒さ暑さは厳しいのだ。

本音を言えば、王様は残った国民全員王都に来てほしいのだ。
しかし大半が農民。王都には建物が多いが、畑は郊外に幾分あるだけだった。

ムータンの王様は一度新ムータンに渡っているが、基本こちらに住んでいる。
向こうは任せて安心できる。部下たちも国民と一つに成って新ムータンの国造りを喜んで行っている。
しかも外敵は居ない。

この旧ムータンは、年老いた両親のようなものだ。しかも危険なスラムに住んでいるようなもんである。
王は、自分がここに居たって何ができるわけではない、とはわかっていた。ダンマスやユーリやドーラやユータのようなものではないのだから。

でも残った者達は国民の中でも一層私を慕ってくれているのだ。
そういう王の気持ちが、どうしてもここに居たいと思わせている。


こっちに久々に来たユータ達。
半分廃墟みたいな有様にびっくりする。
しかも王様の気持ちダダ漏れだし。

「ねぇ・・」ユータ
「だなー、聞いてみるわ」ドーラ
で、王様に訊いてみるドーラ。

「王様?あれだ、これじゃ廃墟みたいだからぁ、人数に合わせていいか?人の居ない家はなくして街を小さくまとめる。この王都も小さくなるけど、その分畑地にでも放牧場にでもしてやるし?」

・・・この子達は・・・・。
「いつも済まない。お願いできるだろうか?その地域の者達と話して、彼等が悲しまないようにやってもらえるだろうか?」
「まかせな!国民が悲しむことはしたくないよな、わかってる。」ドーラ
「うん、楽しくならなきゃやったって意味ないよねー」ユータ

この者達はどんな国作りをしているのだろう?と思う王。
この間は新ムータンのことしか頭に無かったのだ。ドラゴニアをよく見ておけば良かったと思ったが、あの時は仕方がないだろう。


ついこの間までこのムータン王都で千人二千人という単位で教えていたイチとタカ。
今彼等の目の前にいるのは100人にも満たない。でっかい広場の真ん中にちんまり、だ。

しかし、その100人にも満たない者達は誰よりも真剣だ。
彼等は口癖のように言う、「わしらがこの国の番兵だ」と。
彼等の中で若いものでも60歳くらい。一番多いのが70代半ば~80代前半だろうか。

ダンマスは、ムータン王都のダンジョンを閉じていない。それどころか各階層のフロアボスをグループにして、フロアボスチームにしてしまっている。各チーム10頭くらい。
しかもダンジョンは未だに成長してる。100階層くらい行っているのではないか?
最下層まで行かなくとも、その100階のボスチームだけでもこの世界を蹂躙できるだろう。
ダンマスはそれほどここを心配しているのだ、ということがよくわかる。



ドーラとユータ。まず、王都の内側から人の居ない家をどんどん消していった。
引っ越す人はもう引っ越しているという。もしまた引っ越したいという者がいれば、新しくつくってやればいいだけだ。なので、かまわずどんどん消していく。家財道具などはストレージにしまっていった。あとで新しくしたりリメイクしたり使えるかなー?とユータは思ったのだ。

家の方も、消すと言うか資源に変えるという方が正しい説明だろうか。
木材はそのまま、瓦やトタン板やパイプ類などは再生してストレージに仕舞う。正直瓦やトタン板など向こうでは使いどころはない。だが、こっちの世界で何かを修復したり新しく家を作る場合には使える。電線はいらない。今のムータンでは大概が魔法だし、なにより電気の配線などさっぱりわからん。

王都は戸数で1万はあっただろう。
人が居ない家を全部消し去った。
残った、今人がいる家は800戸を越えるくらいだった。
中央に集まっているが、それでも引っ越していない人もいた。そういう家は、何もない、草もろくに生えていない土地の真ん中に取り残されたようにポツンと残っている。


ドーラとユータは、まず王都の外周域の人たちと話した。
人の居ない家を放置するとどんどん崩れていって、廃墟みたいな街に成っていく。
そういうところに済むのは悲しくないか?だから俺達は全て消してきた。それは王様からの依頼の一つでもあった。
俺達は、人が居る家だけを家ごと引っ越しできる。
もし、できるならば、あなたは、皆の近くに引っ越してくれないか?この家、そのまま移すから。

それで半数は動いてくれた。
残りは、畑が遠くなる、というほんとに王都のヘリに住んで畑を保つ者たちばかりだった。

なので、新しく整頓した王都の外周部にできた土地を魔法で畑地にした。
耕し、土中にうまったパイプや小石など全て取り除き、山から腐葉土を転送して土にほどよく鋤きこんだ。
それには2日ほどかかったが、その翌日に彼等を集めて土地を見せた。
その顔は喜んでいた。
「ま、まぁまぁだな。うん、使える。・・でも今の畑の、」
「持ってきていい?」ユータ
「え?あ?うん、何を?え?・・そんなこt」
シュン!
目の前の畑地にいきなり作物が生えている。

「土地ごと入れ替えた。」ユータ。
植え替えだと作物はダメになってしまう。なので土地ごと。

その土を触った他の者が
「あーこりゃおめーの負けだな、あっはっは!」
あっはっはっはっはっは!
皆つられてわらった。それほどここの土を気に入ってくれたのだろう。

ドラゴニアを作る時、ダンジョン側の街を作る時、新ムータンを作る時、さんざんやってきたもんな!伊達にザクに褒められていないさ!
と、思ったドーラとユータ。

皆が話し合って誰がどこの畑地に来るか、を決めてくれた。そのとおりにユータとドーラは作物の植わっている畑と家を転位させてきた。
それには流石に数日かかった。

しかし王都は王都らしくなった。
というか、どっかの大きめの地方の街、くらいかな?
人口2-3千人。個数1000戸に満たない。これが、今のムータン王都。

子どもたちが独立し、残った年寄り達の国、と言うと、今のこの国そのものずばりのように思える。

でも、彼等は頑張った。彼等が子供の頃から頑張ってきたおかげで、今のムータンがあり、そして新ムータンができたのだ。
ムータン人は誇り高い。だから寄生虫のような人生を送るものなど居なかった。
年齢を無為に重ねる者などいなかった。年齢は経験の積み重ね、経験は人生の糧になるべきものであった。

だから彼等は年齢にふさわしい人生を作ってきていた。尊敬できる老人達だった。


だからこそ、王は、イチとタカは、ダンマスは、ユーリは、彼等を放って向こうにいくのはためらわれた。

そしてわかっていた。彼等が向こうに行っても、その変化についていけないことを。
折角作り上げてきた立派な人生の最後に、彼等に挫折のようなものを味あわせたくない。
それが彼等以外の者達の総意だろう。


ドーラとユータは農地引っ越しから数日後、外周の農地の者達のところを訪ねた。

「ねぇ、海って見たことある?」
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