187 / 409
後後61 先行調査部隊
しおりを挟むぽっくぽっくぽっくぽっく、、木魚の音ではない、馬の蹄の音だ。
んー、、はっ!!
「ここ、、え!?、・・・いずみ、さん?」
「おう!起きたかガク!」
「おきたか、じゃないですよー、、いつの間に?」
「って、お前が寝ている間にだが?」
そりゃそーですけど、、
振り返ってると、野営地はもう点にも見えない。かなり寝たまま来たんだなぁ、、
いや!逆に考えるんだ!!寝たまま馬に乗れるんだ!これほど便利なことはないっつ!!!
「何考えているんだかしらんが、馬が少し走ったり曲がったりしたら、落ちるからな?寝たままだと」
泉さんエスパーかっつ!!
「つーか、、そんな危ないことさせてたんすかっつ!!」
「いや、だから俺らが付いているんだろーが、、」
ら?
と周囲を見回すと、
・・・
「みなさん手間かけさせてごめんなさい、、」
「いやいや、大丈夫です。どうせ移動拠点までは一緒ですから」
と右後方を馬に合わせて緩やかに走る野上は言ってくれたけど、、
左後方にも一人狼形態で走っている。
残りは後ろに。
「んじゃ、走るか?」泉さん
「はい!」野上
泉さんの馬が早足になる。
おっと、追いかけなきゃ、、と俺も馬を早足にさせる
昼前ころに街道沿い右手に小山があったので、その影を拠点にすることにした。
それを決めたらすぐに、野上班は水も持たずに走っていった。
「半日程度なら水など重いだけだ、とよ」泉さん
すげーな狼、、、サバイバー、それも最上級じゃね?
杭を打って馬をつなぎ、バケツを出して革袋から水を入れ、馬に飲ませる。
それから小山の上に登ってみる。
小山の上に立つと眺めがいい。全部荒野だけどねw
「これ、墳墓か?」泉さん
「なんか人工っぽいすねー」
なんかないか?と探すと、石碑が埋め込んであった。
「読めます?」俺には読みにくいんで、、
「なになに?、、初代皇帝の弟の奥方の弟の息子の嫁。この土地の再生者である緑の姫、ここに眠りにつく。・・だと」
すごいね?こんな訛がつよい地方語(西の国語)が読めるんだ?
俺らの言語チート、泉さんのほうがレベル上なのか?w
って、実は泉さんは領主様のところの本を読み漁っているからね!
俺は村でモフ漁っているからね!!
・・・・
「なんもないが、、、」
と、いいながらも泉さんは腰の小さな革袋の酒をちょろちょろと石碑にかけて、
「こんなになっちまった国に、もう呆れ果てているだろうが、、亡くなった者達だけでも導いてやってくれ、なむなむなむ・・・」泉さん
俺もしゃがんで手を合わせる。
むかしは幸せな時代もあったのだろうか、この国も。
再生者と言うからには、やはりひどかった状態から良くしたのだろう。その苦労を無にした今の奴ら。
彼女はどう思って今のこの国の状態を見ているのだろうか。いや、国と呼べるのか?いまのここは。
「死んだ後も、ここの守り神にでもされていたのだろう、人使いの荒さにも困ったもんだな、ここの連中」泉さん
「あー、、、そういうことか、」
勝手に墓をそういうふうに見て、そう思い込んで、そうしてしまうんだろうな。
「俺らは普通の墓に入りたいですね。」俺
「あーそうだなぁ、、でも、俺は、一度野垂れ死んでいるからなぁ、、野ざらしでもいいかな、、」
なんてワイルド!!!
でもそんなことさせたら、あの女侯爵に俺が殺されるわ!
周囲をよく見渡してみる。
西の方に相変わらず山脈が見えるのみで、、、
「やっぱ何もねぇな、、」俺
「・・・そうでもなさそうだぞ?先を見てみろ」
泉さんの言う、街道の先を見てみると、、、ずっと向こうに、、
ちっさな黒い点、、、
「橋?」
「ああ、っぽいな、、行ってみるか?」
「ええ、そう遠くないんで行ってみましょう!」
馬の歩行で10分程度。
ぼろい橋。
さすがに橋を薪にしようとはできなかったのか、その前に滅んだのか。
「おい、一応船なんじゃないか?」
泉さんの視線の先に。半分しずんだ川船があった。
馬を欄干にしばり、川辺に降りてみる。
ここにも死骸らしき形跡もない。
いなかったのか、もしくは風化したか、、飛ばされたか、流されたか、、
川の水は悪いとは見えなかった。少し上流に歩き、きれいそうなところで川の水を口に含んでみた。
がらがらがら、、ぶくぶくぶく、、
悪そうな匂いは、無いかな、、。味も、悪そうな味はなさそうな、、、。
ペッと吐き出し、
「泉さんはどう思います?」
「うん、悪くなってはいないかな、、できれば沸かして飲みたい。流れがさほどあるわけじゃないんでな」
確かに流れはとてもゆっくり。水量がかなり減っている。
「上流で使われているんですかね?支流作られちゃったとか?」
「あるかもな、、まぁ、今日は野上たちをまとう。やつらの調査範囲はこの上流も幾分入っているだろうし。」
俺らは当初のとおり、小山の影に戻った。
日が沈みかける頃、野上達が戻ってきた。
「おう!ご苦労!まぁ休め。どうせ何もなかったんだろ?」泉さん
野上は狼のままで、
「いやそれが、、」
さっきの川の上流の方に支流というか、水路ができていて、そこに川の水の大半が流れ込んでいたそうな。
昨日と同じように索敵していたので、今日はあきらめて昨日同様の範囲で索敵調査し、戻ってから泉さんに指示を仰ごうと思ったという。
「よくやった!、よし、ここには目印を残し、その支流の入り口に移動して、そこで野営しよう。」
と泉さん決定。
一刻ほど経ち、暗くなってから支流が見つかった。
焚き火もしないので、遠くからは見つからないだろう、多分。
川の水質は
「大丈夫です」と野上。
狼がいい、つーんだからだいじょぶでしょ?
馬に飲ませ、飼葉を与え、俺らは水筒(竹筒)の水を飲み干して川から補充しておいた。
俺らは干し肉をかじりながら休む。
ーー
翌朝、日の出と共に起きた。
水を飲み、干し肉を少しだけかじり、出発。
水量の少ない方つまり下流を向こう岸に渡り、支流に沿って進む。
勿論野上達は俺らのために一匹残して先行する。
水(川)があるので、俺らの馬は早足だ。
2刻ほど経った頃、一匹の狼が戻ってきた。
「む、何か見つけたな?」泉さん
0
あなたにおすすめの小説
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。
かの
ファンタジー
孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。
ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈
(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅
あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり?
異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました!
完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。
スマホアプリで衣食住確保の異世界スローライフ 〜面倒なことは避けたいのに怖いものなしのスライムと弱気なドラゴンと一緒だとそうもいかず〜
もーりんもも
ファンタジー
命より大事なスマホを拾おうとして命を落とした俺、武田義経。
ああ死んだと思った瞬間、俺はスマホの神様に祈った。スマホのために命を落としたんだから、お慈悲を!
目を開けると、俺は異世界に救世主として召喚されていた。それなのに俺のステータスは平均よりやや上といった程度。
スキル欄には見覚えのある虫眼鏡アイコンが。だが異世界人にはただの丸印に見えたらしい。
何やら漂う失望感。結局、救世主ではなく、ただの用無しと認定され、宮殿の使用人という身分に。
やれやれ。スキル欄の虫眼鏡をタップすると検索バーが出た。
「ご飯」と検索すると、見慣れたアプリがずらずらと! アプリがダウンロードできるんだ!
ヤバくない? 不便な異世界だけど、楽してダラダラ生きていこう――そう思っていた矢先、命を狙われ国を出ることに。
ひょんなことから知り合った老婆のお陰でなんとか逃げ出したけど、気がつけば、いつの間にかスライムやらドラゴンやらに囲まれて、どんどん不本意な方向へ……。
2025/04/04-06 HOTランキング1位をいただきました! 応援ありがとうございます!
アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~
うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」
これしかないと思った!
自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。
奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。
得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。
直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。
このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。
そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。
アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。
助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
【一秒クッキング】追放された転生人は最強スキルより食にしか興味がないようです~元婚約者と子犬と獣人族母娘との旅~
御峰。
ファンタジー
転生を果たした主人公ノアは剣士家系の子爵家三男として生まれる。
十歳に開花するはずの才能だが、ノアは生まれてすぐに才能【アプリ】を開花していた。
剣士家系の家に嫌気がさしていた主人公は、剣士系のアプリではなく【一秒クッキング】をインストールし、好きな食べ物を食べ歩くと決意する。
十歳に才能なしと判断され婚約破棄されたが、元婚約者セレナも才能【暴食】を開花させて、実家から煙たがれるようになった。
紆余曲折から二人は再び出会い、休息日を一緒に過ごすようになる。
十二歳になり成人となったノアは晴れて(?)実家から追放され家を出ることになった。
自由の身となったノアと家出元婚約者セレナと可愛らしい子犬は世界を歩き回りながら、美味しいご飯を食べまくる旅を始める。
その旅はやがて色んな国の色んな事件に巻き込まれるのだが、この物語はまだ始まったばかりだ。
※ファンタジーカップ用に書き下ろし作品となります。アルファポリス優先投稿となっております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる