エリート医務官は女騎士を徹底的に甘やかしたい

鳥花風星

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「ようこそ、おれの屋敷へ」

 ガイアと契約結婚することになって、私はガイアの屋敷で住むことになった。
 そもそも契約結婚なんだし、別に同じ屋敷に住まなくても良いのでは?と思ったんだけど。

「実家にはニーナのことをもう話してる。突然両親や兄弟が会いに来るかもしれないんだし、一緒に暮らしてた方がいざという時にボロがでないだろ」

 ガイアにそう言われてしまって、あれよあれよと言う間に一緒に住むことになってしまった。
 まぁ、確かに?そう言われてみればそうかな、と思ってしまう。

「ちゃんとニーナの部屋も用意しておいた。俺の隣の部屋で、部屋の内側にお互いの部屋を行き来できるドアがある。もちろん鍵はニーナ側からかけられるからちゃんとかけておいてくれ」
「あー、ガイアだから別に大丈夫じゃない?」

 そう言うと、ガイアの顔が一瞬真剣になった、気がした。なんだろう?でも、すぐにいつもの穏やかな表情に戻っている。気のせいだったのかな?

「まぁそれはそうかもしれないけどさ。一応けじめとして鍵はかけておいててくれよ。俺もその方が安心だし。ニーナが間違って俺を襲いに来てしまうかもしれないだろ?」
「はぁ?そんなことしないわよ」

 ヘラヘラとした顔でガイアが言う。まったく、何を言ってるんだか。軽口を叩いていつも通りだもの、さっきの表情はたぶん気のせいだったんだろうな。

「まぁ、とにかくこれからよろしくな。ニーナには迷惑をかけてしまって申し訳ないと思ってる」

 急に真剣な顔でそんなこというからドキッとしてしまった。

「気にしないで。私はいつもガイアに助けてもらってるし。恩返しみたいなものだもの」
「そう言ってくれるとありがたいよ。それじゃ、荷物を部屋に置いたら、屋敷を案内しよう」

そう言って、ガイアは私の荷物をひょいっと持ち上げた。

「あ、いいのに。私、自分で持っていくよ?」
「まぁまぁ。愛しの婚約者、未来の奥さんを甘やかしたいんだから、素直に甘えてくれよ」

 ニッ、と口の端を上げてガイアは言う。何それ、愛しの奥さんだなんて、思ってもいないくせに。
 でも、急にそんな事言うなんてなんだかこそばゆいし、思わず照れてしまう。

 照れてることをバレたくなくて、私はガイアの後ろをそっとついていった。





  夕食の時間になって、ダイニングに通されて二人で食事をすることになった。

 ガイアの食事をする姿は所作が綺麗で美しい。そういえば、ガイアとこうやってゆっくりと一緒に食事をとることって初めてかも?ガイアって綺麗に食べるんだ。

 ほうっと見とれていると、視線に気づいたガイアはニッと笑う。

「どうした?そんなに俺を熱心に見つめちゃったりして。もしかして俺に惚れた?」
「なっ!バカなこと言わないでよ。ただ単に、食べ方が綺麗だなぁって思って見てただけ」
「ああ、実家にいた頃は所作に厳しかったから自然と身についたんだろ」

 実家は所作に厳しいって、まるでおぼっちゃんみたいな言い方。

 そういえば、屋敷もずいぶんと広く使用人の数も多い。国家資格である医務官ともなれば給料も高いだろうが、それだけでこんなにもしっかりとした屋敷の主になれるのかな?

「もしかして、ガイアって実家がお金持ちなの?」
「あー、一応侯爵家ではあるな」
「えっ!?」

 まさかの侯爵家。ガイアの実家の爵位なんて気にもしてなかったし、ガイアも全然言わなかったから知らなかった!うちよりも上!

 うちなんてしがない男爵家なのに!え、もしかして私、結構失礼なことしちゃってた?

「侯爵家だったなんて知らなかった。私、ガイアにタメ口きいちゃってたし、かなりフランクな態度とりすぎだったんじゃない?ごめんなさい」
「気にするなよ。そもそも俺が家のことは黙ってたんだし、俺がタメ口きいてくれってニーナに頼んだんだろ。堅苦しいのは嫌いだって教えただろうが」
「でも……」
「それに、俺は次男だから好き勝手させてもらってるし、あまり家柄に縛られたくないんだよ。だから気にするなって。それに」

 ガイアはニヤッと怪しげな笑みを浮かべる。え、なに?

「今はもう俺の婚約者だろ。何も気にすることないじゃないか」

 うっ!それはそうだけど!なんかその言い方はずるい気がする!

「そういうわけで、ほら。せっかくの食事がさめちゃうぞ」
「ああ、うん……」

 なんか、急に色んな情報が入ってきてパンクしそう。とにかく今はせっかくだから美味しい食事に集中しよう。

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