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目の前で魔物と騎士が戦っている。私はお腹から血を流してただその光景を見ていることしかできない。息が苦しい、体が熱くて気が遠くなりそうだ。だが、ここで気を失うわけにはいかない。目の前で、自分の父親が戦っているのだ。
剣を握ろうとするけれど、手に力が入らない。どうして何もできないのだろうか。近くには、もう一人別の騎士、兄が血を流しながら倒れている。どうして、どうして私は何もできないの?どうして何も守れないの?
ザシュッ!
目の前で、騎士である父が魔物を斬った。魔物が大きな音を立ててその場に倒れる。
「よかった、お前だけは、守ることが、でき、た」
血を大量に流しながらよろよろと父が私の元に歩いてくる。その顔は、本当に嬉しそうに微笑んでいる。そして、目の前で、崩れ落ちた。
「!!」
ガバッと起き上がると、そこは戦場ではなくベッドの上だった。そっか、私、昔の夢を見てたんだ。呼吸が荒いし心臓もドクドクと速い。冷や汗もかいていて気持ち悪さしかない。
ふと、ベッドにもたれかかるようにして寝ているガイアに気がついた。ガイア、ずっとここで看病してくれてたんだ。
「ん……ニーナ?起きたのか、……って、大丈夫か?顔色が悪い、薬を飲んでも効き目がないのか?」
私が起きたのに気がついたのだろう、ガイアがゆっくりと頭を上げて目を擦り、私の顔を見てハッとする。どうやら、私は随分とひどい顔をしているみたい。ガイアは不安そうに私を見て心配している。
「ごめん、違うの。具合はもう大丈夫。嫌な夢を見ちゃって、そのせいだと思う」
私が苦笑すると、ガイアは目を細めて私の肩を優しくさすった。
「嫌な夢って、もしかして昔の?」
「……うん」
私は騎士になりたての頃、父と兄を戦場で亡くしている。父も兄も私も騎士として魔物討伐の任務に行くことになり、そこで魔物に攻撃された。私は重傷を負い、兄は私を庇って死に、父も魔物を倒すことはできたがそのままかえらぬ人になった。
報告されていた魔物とは違うより強い魔物が出現してしまい、騎士団は撤退することもできない状況になり魔物を倒さなければいけなかった。なんとか倒したものの被害は深刻なものだったが、そんな強い魔物を倒した父と貢献した兄は国から名誉の勲章をもらうことになる。
だが、父と兄を一度に失い、娘の私まで重傷を負ったことで母は錯乱し、それ以降何度も私に騎士をやめるように強く勧めてきたのだ。だけど、私は騎士をやめたくなかった。やめてしまったら、守ってくれた兄の死も、魔物を倒した父の死も、無駄になってしまうような気がしたから。二人は騎士でいることをいつも誇りに思い、騎士として命を全うしたいと言っていたのだ。
そんな二人を私はずっと尊敬していたし、だからこそ二人のあとを継いで騎士を続けたいと思った。そして、それを貫いたことで、母は私を捨てた。
騎士である私を見ることで、母は父と兄を思い出し、辛くなるのだろう。私と縁を切って、騎士とは全く関係のない貴族と再婚して、今は幸せに暮らしているようだ。だから、私はそれ以来ずっと一人で生きてきた。
「そうか……でも、もう大丈夫だ。ここは夢じゃない。それに、俺がいる」
そう言って、ガイアは私を優しく抱きしめた。当時すでに医務官だったガイアは私の過去を知っている。昔の夢を見たと聞いて、おそらくガイアはなんの夢だったのか気づいているんだろう。
剣を握ろうとするけれど、手に力が入らない。どうして何もできないのだろうか。近くには、もう一人別の騎士、兄が血を流しながら倒れている。どうして、どうして私は何もできないの?どうして何も守れないの?
ザシュッ!
目の前で、騎士である父が魔物を斬った。魔物が大きな音を立ててその場に倒れる。
「よかった、お前だけは、守ることが、でき、た」
血を大量に流しながらよろよろと父が私の元に歩いてくる。その顔は、本当に嬉しそうに微笑んでいる。そして、目の前で、崩れ落ちた。
「!!」
ガバッと起き上がると、そこは戦場ではなくベッドの上だった。そっか、私、昔の夢を見てたんだ。呼吸が荒いし心臓もドクドクと速い。冷や汗もかいていて気持ち悪さしかない。
ふと、ベッドにもたれかかるようにして寝ているガイアに気がついた。ガイア、ずっとここで看病してくれてたんだ。
「ん……ニーナ?起きたのか、……って、大丈夫か?顔色が悪い、薬を飲んでも効き目がないのか?」
私が起きたのに気がついたのだろう、ガイアがゆっくりと頭を上げて目を擦り、私の顔を見てハッとする。どうやら、私は随分とひどい顔をしているみたい。ガイアは不安そうに私を見て心配している。
「ごめん、違うの。具合はもう大丈夫。嫌な夢を見ちゃって、そのせいだと思う」
私が苦笑すると、ガイアは目を細めて私の肩を優しくさすった。
「嫌な夢って、もしかして昔の?」
「……うん」
私は騎士になりたての頃、父と兄を戦場で亡くしている。父も兄も私も騎士として魔物討伐の任務に行くことになり、そこで魔物に攻撃された。私は重傷を負い、兄は私を庇って死に、父も魔物を倒すことはできたがそのままかえらぬ人になった。
報告されていた魔物とは違うより強い魔物が出現してしまい、騎士団は撤退することもできない状況になり魔物を倒さなければいけなかった。なんとか倒したものの被害は深刻なものだったが、そんな強い魔物を倒した父と貢献した兄は国から名誉の勲章をもらうことになる。
だが、父と兄を一度に失い、娘の私まで重傷を負ったことで母は錯乱し、それ以降何度も私に騎士をやめるように強く勧めてきたのだ。だけど、私は騎士をやめたくなかった。やめてしまったら、守ってくれた兄の死も、魔物を倒した父の死も、無駄になってしまうような気がしたから。二人は騎士でいることをいつも誇りに思い、騎士として命を全うしたいと言っていたのだ。
そんな二人を私はずっと尊敬していたし、だからこそ二人のあとを継いで騎士を続けたいと思った。そして、それを貫いたことで、母は私を捨てた。
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「そうか……でも、もう大丈夫だ。ここは夢じゃない。それに、俺がいる」
そう言って、ガイアは私を優しく抱きしめた。当時すでに医務官だったガイアは私の過去を知っている。昔の夢を見たと聞いて、おそらくガイアはなんの夢だったのか気づいているんだろう。
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