エリート医務官は女騎士を徹底的に甘やかしたい

鳥花風星

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 その日の夜。私はガイアに言われていた通り、熱を出してしまった。

(うう、全身が熱いしダルい。しんどい)

 怪我の後に高熱を出すことは初めてではない。ベッドの中で目を閉じながら鉛のような重さの体にうんざりする。寝返りをすることもしんどくて、ただただ時間が過ぎて早く治ってくれることを祈ることしかできない。

「ニーナ、入るぞ」

 ガイアの声がして、ドアが開く音がする。目を開けるのも億劫なので耳だけで気配を探っていると、ガイアが近くまで来てベッドサイドに座ったのがわかる。ガイアの手が私のおでこに触れた。あ、ガイアの手、ひんやりして気持ちいい。

「まだ下がらないな。ニーナ、薬を持ってきた。怠くて起き上がるのも辛いだろうけど、これだけは飲んでくれないか。飲めば少しは楽になるし、治りも早くなる」

 ガイアの声に、ゆっくりと瞼を開けて横を見ると、ガイアが心配そうな顔で私を見つめていた。

「起き上がれるか?」

 言われて、私は否定の気持ちを込めて首を振る。正直、体が動く気がしない。私の返事に、ガイアは神妙な顔をしてから私に手を伸ばした。

「辛いだろうけど、俺が補助するから少しだけ体を起こしてくれないか」

 ガイアが私の背中に手を滑り込ませて、優しく起こしてくれる。私はなんとか体を起こすと、ガイアが背中にクッションを挟んでくれた。

「ほら、これだけ飲んでくれ」

 そう言って、小さなコップを私の口元に近づけた。ゆっくりと傾けると、琥珀色の液体が口の中に入ってきた。あ、そんなに不味くないかも。こく、こく、とゆっくり飲み込むと、ガイアはホッとしたような顔で嬉しそうに微笑んだ。

「よし、後はもう寝てても大丈夫だ」

 ガイアは背中のクッションを取って、私の背中にまた手を添えるとゆっくりとベッドへ寝かせてくれた。

「ごめんね、迷惑かけて」

 なんとか声を振り絞ってガイアに言うと、ガイアは私の頭を優しく撫でる。

「謝らなくていいし、気にしなくていい。何にも気にしないで、今はただ俺に甘えてろよ」

 甘えてろ、か。そういえば、甘えるってどうやるんだっけ?今まで一人でなんでもやって来れたから、男の人に甘えるどころか、誰かに甘えることもいつの間にか忘れてできなくなっていたことに気がつく。

「俺がずっとここにいるから、安心して寝ていいんだよ」

 ガイアが優しく頭を撫でてくれて、それが心地よくてだんだんと瞼が落ちてくる。なんだか、すごく安心する。誰かがそばにいてくれるって、こんなにも心強いものなんだ。

「お前はもっと、俺に甘えてくれていいんだから」

 意識を手放す前に、ガイアが何か言った気がしたけど、よく聞き取れないまま私は気を失うように眠った。


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