エリート医務官は女騎士を徹底的に甘やかしたい

鳥花風星

文字の大きさ
14 / 15

12

しおりを挟む
「俺の相手はニーナじゃないとだめだ、絶対に。俺から離れようとするなんて絶対に認めない。どんな思いでここまでこじつけたと思ってるんだよ」

 ブツブツと独り言のようにガイアはつぶやく。え?何?どういうこと?

「ガイア?」
「この前、どうしてこんなに甘やかすんだってニーナは聞いてきただろう?それは俺がニーナのことを好きだからだよ」

 ……今なんて言ったの?好き?すき?スキ?え?何かの聞き間違いかな?なぜか瞬きが多くなってしまうのを止められないままガイアを見つめると、ガイアは私から目を逸らさずにそのまま話を続けた。

「俺はずっとニーナのことが好きだった。出会った頃は、生意気で可愛げのないめんどくさい女騎士だと思ったよ。でも、俺はニーナが一人で一生懸命騎士として頑張っている姿を見てきた。どんなに怪我しても、どんなに辛いことがあっても、弱音も吐かずに前だけを見て進んでるニーナを見て、応援したいって思ったんだ。そして、いつの間にかどんな時でもそばにいて力になりたい、守りたい、甘やかしたいって思い始めたんだ。そしてその役目は俺だけがいいと思った。他の男にさせたくないって今でも心の底から思ってる」

 そう言って、ガイアは私の頬をそっと優しく撫でた。

「ニーナは恋愛にも結婚にも全く興味がなかっただろう。だから、俺もそんなそぶり見せずにただ仕事上のパートナーとしてそばにいられればそれでいいと思っていた。でも、祖母の体調が悪くなって、実家が本気で俺の結婚相手を探し始めて困ったんだ。俺はニーナ以外の人と一緒になるつもりはない。ニーナしか見えてないんだ。だったら、契約結婚でもなんでもいい、ニーナを繋ぎ止めてしまえばいいと思った。祖母の話をすれば、優しいニーナは協力してくれると思ったんだ。そして、その通りになった」

 ガイアは心底愛おしいものを見るような瞳で私を見つめている。待って、私は何を言われているの?ガイアがずっと私のことを?本当に?

「ゆっくりニーナを甘やかして俺から離れられないようにしたかったのに。それなのに、あんな女に言われたことであっさり俺のそばから離れようとするなんて……認められるわけないだろ?」

 そう言って、ガイアは私に顔を近づけてくる。ガイアのイエローグリーンの瞳が私の瞳を射抜いてしまって、視線を逸らすこともできない。そのまま、ガイアの顔が至近距離まできて、ガイアがそっと囁く。

「俺に、キスされるのは嫌?俺のことは好きじゃない?ほんの一ミリも、俺に望みはない?もしそうだとしたら、今ならまだ後戻りできる。どうする?ニーナは、俺から離れたい?」

 今にもキスしてしまえる距離で、ガイアはそっと私に尋ねた。身体中の熱が一気に流れて、胸がドキドキして今にも張り裂けてしまいそうだ。私は、どうしたいんだろう。ガイアから離れたい?ガイアのことをどう思っているの?そう自分に問いかけた瞬間、ずっと押し殺してきた気持ちが一気にわき上がって、今にも溢れてしまいそうだ。

「……キスしてほしい」

 小さくつぶやいたその言葉は、ガイアにしっかりと届いていたみたいだ。ガイアは一瞬目を見開いて、すぐに嬉しそうに小さく微笑む。そして、ガイアの唇がすぐに私の唇に重なった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

メイド令嬢は毎日磨いていた石像(救国の英雄)に求婚されていますが、粗大ゴミの回収は明日です

有沢楓花
恋愛
エセル・エヴァット男爵令嬢は、二つの意味で名が知られている。 ひとつめは、金遣いの荒い実家から追い出された可哀想な令嬢として。ふたつめは、何でも綺麗にしてしまう凄腕メイドとして。 高給を求めるエセルの次の職場は、郊外にある老伯爵の汚屋敷。 モノに溢れる家の終活を手伝って欲しいとの依頼だが――彼の偉大な魔法使いのご先祖様が残した、屋敷のガラクタは一筋縄ではいかないものばかり。 高価な絵画は勝手に話し出し、鎧はくすぐったがって身よじるし……ご先祖様の石像は、エセルに求婚までしてくるのだ。 「毎日磨いてくれてありがとう。結婚してほしい」 「石像と結婚できません。それに伯爵は、あなたを魔法資源局の粗大ゴミに申し込み済みです」 そんな時、エセルを後妻に貰いにきた、という男たちが現れて連れ去ろうとし……。 ――かつての救国の英雄は、埃まみれでひとりぼっちなのでした。 この作品は他サイトにも掲載しています。

【完結】傷物令嬢は近衛騎士団長に同情されて……溺愛されすぎです。

朝日みらい
恋愛
王太子殿下との婚約から洩れてしまった伯爵令嬢のセーリーヌ。 宮廷の大広間で突然現れた賊に襲われた彼女は、殿下をかばって大けがを負ってしまう。 彼女に同情した近衛騎士団長のアドニス侯爵は熱心にお見舞いをしてくれるのだが、その熱意がセーリーヌの折れそうな心まで癒していく。 加えて、セーリーヌを振ったはずの王太子殿下が、親密な二人に絡んできて、ややこしい展開になり……。 果たして、セーリーヌとアドニス侯爵の関係はどうなるのでしょう?

【完結】傷跡に咲く薔薇の令嬢は、辺境伯の優しい手に救われる。

朝日みらい
恋愛
セリーヌ・アルヴィスは完璧な貴婦人として社交界で輝いていたが、ある晩、馬車で帰宅途中に盗賊に襲われ、顔に深い傷を負う。 傷が癒えた後、婚約者アルトゥールに再会するも、彼は彼女の外見の変化を理由に婚約を破棄する。 家族も彼女を冷遇し、かつての華やかな生活は一転し、孤独と疎外感に包まれる。 最終的に、家族に決められた新たな婚約相手は、社交界で「醜い」と噂されるラウル・ヴァレールだった―――。

婚約者は冷酷宰相様。地味令嬢の私が政略結婚で嫁いだら、なぜか激甘溺愛が待っていました

春夜夢
恋愛
私はずっと「誰にも注目されない地味令嬢」だった。 名門とはいえ没落しかけの伯爵家の次女。 姉は美貌と才覚に恵まれ、私はただの飾り物のような存在。 ――そんな私に突然、王宮から「婚約命令」が下った。 相手は、王の右腕にして恐れられる冷酷宰相・ルシアス=ディエンツ公爵。 40を目前にしながら独身を貫き、感情を一切表に出さない男。 (……なぜ私が?) けれど、その婚約は国を揺るがす「ある計画」の始まりだった。

冷徹宰相様の嫁探し

菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。 その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。 マレーヌは思う。 いやいやいやっ。 私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!? 実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。 (「小説家になろう」でも公開しています)

【完結】氷の侯爵と25夜の約束

朝日みらい
恋愛
 雪の降る夜、平凡な伯爵家の娘セラフィーナは、義妹アデルの身代わりとして侯爵家に嫁ぐことになりました。  その結婚は愛のない〝契約婚〟。相手は王都で「氷の侯爵」と呼ばれる――ルシアン・ヴァン・ローレンス侯爵。  彼は冷たく、近づく者の心を凍らせると言われています。 「二十五夜のあいだで、私の“真実”を見抜けたら、君を妻として認めよう。  見抜けなければ、この婚姻は無かったことになる」  雪に閉ざされた白銀の館で始まる、奇妙な婚姻生活。  無口で孤独な侯爵と、臆病でまっすぐな花嫁。  互いに閉じ込めた心の扉を、少しずつ開きながら過ごす“二十五夜”とは――。

側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、孤独な陛下を癒したら、執着されて離してくれません!

花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」 婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。 追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。 しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。 夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。 けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。 「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」 フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。 しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!? 「離縁する気か?  許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」 凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。 孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス! ※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。 【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】

転生したので推し活をしていたら、推しに溺愛されました。

ラム猫
恋愛
 異世界に転生した|天音《あまね》ことアメリーは、ある日、この世界が前世で熱狂的に遊んでいた乙女ゲームの世界であることに気が付く。  『煌めく騎士と甘い夜』の攻略対象の一人、騎士団長シオン・アルカス。アメリーは、彼の大ファンだった。彼女は喜びで飛び上がり、推し活と称してこっそりと彼に贈り物をするようになる。  しかしその行為は推しの目につき、彼に興味と執着を抱かれるようになったのだった。正体がばれてからは、あろうことか美しい彼の側でお世話係のような役割を担うことになる。  彼女は推しのためならばと奮闘するが、なぜか彼は彼女に甘い言葉を囁いてくるようになり……。 ※この作品は、『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。

処理中です...