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「ニーナ。今日、俺のこと避けてないか?」
その日の夜。夕食を食べ終わり自室に戻ろうとしたところで、ガイアに部屋の前で呼び止められた。
「え?そんなことないよ?」
ガイアにはそう言いましたが、実はそんなことあります。昼間の件があってから、なんだかガイアのことを直視できなくなっていた。でも、気づかれないように私は笑顔を作ってガイアに返事をすると、ガイアは複雑そうな顔で私を見つめている。
「ガイアの気のせいだよ。今日はなんだか疲れたみたいだから、早めに休むね。それじゃ」
ごまかすように手をひらひらさせて部屋に入ろうとすると、その手をガイアに掴まれてそのまま部屋に連れ込まれる。
「えっ、ちょっ!?何!?」
ガイアがドアをバタン!と閉めると、私はドアとガイアの間に挟まれた状態になっていた。な、何?どうしてこうなってるの?ガイアを見上げると、すごく不服そうな顔をしている。
「ガイア?」
「俺、何かニーナの困るようなことしたか?したなら謝りたい。でも、避けられたままじゃ何をしたのかわからないだろ。ちゃんと言ってくれよ」
ガイアの腕が私の顔の横にある。これは完全に壁ドンってやつだ。どこかに逃げ場はないかなと視線をチラチラ動かすと、ガイアに顎を掴まれて顔を固定される。えっ、何!?なんで!?
「目を逸らすな。逃げれると思うなよ。ちゃんと言ってくれるまでこのままだからな」
うう、そういえばガイアってこういう時、すごく頑固なんだった。絶対に譲らない。ああ、どうしたらいいんだろう。言うしかないのかな。でも、言ったところでガイアを困らせるだけだ。私は、ガイアを困らせたいわけじゃない。私はどうしていいのかわからなくて目を伏せる。
「何をそんなに躊躇ってるんだよ、俺には言えないこと?それとも、今日レイムと一緒にいたことと何か関係あるのか?」
レイム、という言葉を聞いた瞬間に、私は思わずガイアの目を見てしまう。ああ、どうして見てしまったんだろう。ガイアの綺麗なイエローグリーンの瞳が一瞬チリッと燃えたように見えた。
「レイムが関係してるんだな。あいつに何か言われたのか?何を言われた?」
ガイアが少し怒ったように問いただしてくる。どうしよう、レイムさんと話したことをガイアに言うべき?でも、言ったからどうなるっていうんだろう。結局、ガイアを困らせるだけなのに。私が言おうか言うまいか迷っていると、ガイアは目を細め、それと同調するように私の顎を掴む手に力が入った。
「言わないなら、言うまでキスするぞ」
「……は?何言ってるの?」
「俺は本気だから」
ガイアのイエローグリーンの瞳の奥が、まるでメラメラと燃えているように見える。ええ!?どうしてこうなったの?なんで?どうして?そう思っている間にも、ガイアの顔がどんどん近づいてくる。ああ、どうしよう、このままじゃ本当にキスされちゃう。
「ま、待って!言うから!」
唇がもう少しで触れ合いそうな所で私が慌ててそういうと、ガイアはチッと舌打ちをして顔を離した。って、なんで今舌打ちしたのよ!おかしいでしょう!ガイアがよくわからない。
「それで?」
「うっ……、なんであなたみたいな人がガイアの婚約者なんだって言われました」
私の言葉に、ガイアは顎を掴んでいた手をそっと離した。解放された私はガイアに顔を見られたくなくて、思わず顔を伏せる。
「それで?」
「適当に誤魔化そうと思ったんだけど、レイムさんの言うことも確かにそうだよなーって思ったり、して……」
俯いているのでガイアの顔は見えないけれど、明らかにその場の空気がピリッとしたのはわかる。もしかして、ガイアは怒ってるんだろうか。でも、何に怒っているのだろう?
「私みたいな騎士の、令嬢らしくない、女性としての魅力も何もない女より、レイムさんみたいな女性らしくて色気もあって仕事もできる人の方が、ガイアの婚約者にピッタリだなって思うし、きっと他の人たちもそう思ってるんだろうなって思ったら、なんか、ガイアの顔が見れなくて……ごめんね、なんか変な態度とっちゃって」
そう言って顔を上げてガイアの顔を見ると、ガイアはなぜか悲しそうな傷ついたような、でも怒っているような複雑な表情をして私を見ている。どうしてガイアがそんな辛そうな顔するの?ガイアのその表情を見た瞬間、私の中で警報が鳴った。だめだ、これ以上ここでガイアと話をしていてはだめだ。何がだめなのかはわからないけれど、これ以上はだめな気がする。
「あ、の、だから、私、ガイアの婚約者を辞退した方がいいかなと思ったの。契約結婚だとしても、やっぱりガイアみたいな素敵な人には私なんかよりもっとふさわしい人がいっぱいいるし、みんなその方が納得すると思う。だから」
「だめだ」
私の話を遮るように、ガイアの声が低く響く。
「だめだ、絶対に。俺の婚約者は、契約結婚の相手はニーナじゃなきゃだめだ」
その日の夜。夕食を食べ終わり自室に戻ろうとしたところで、ガイアに部屋の前で呼び止められた。
「え?そんなことないよ?」
ガイアにはそう言いましたが、実はそんなことあります。昼間の件があってから、なんだかガイアのことを直視できなくなっていた。でも、気づかれないように私は笑顔を作ってガイアに返事をすると、ガイアは複雑そうな顔で私を見つめている。
「ガイアの気のせいだよ。今日はなんだか疲れたみたいだから、早めに休むね。それじゃ」
ごまかすように手をひらひらさせて部屋に入ろうとすると、その手をガイアに掴まれてそのまま部屋に連れ込まれる。
「えっ、ちょっ!?何!?」
ガイアがドアをバタン!と閉めると、私はドアとガイアの間に挟まれた状態になっていた。な、何?どうしてこうなってるの?ガイアを見上げると、すごく不服そうな顔をしている。
「ガイア?」
「俺、何かニーナの困るようなことしたか?したなら謝りたい。でも、避けられたままじゃ何をしたのかわからないだろ。ちゃんと言ってくれよ」
ガイアの腕が私の顔の横にある。これは完全に壁ドンってやつだ。どこかに逃げ場はないかなと視線をチラチラ動かすと、ガイアに顎を掴まれて顔を固定される。えっ、何!?なんで!?
「目を逸らすな。逃げれると思うなよ。ちゃんと言ってくれるまでこのままだからな」
うう、そういえばガイアってこういう時、すごく頑固なんだった。絶対に譲らない。ああ、どうしたらいいんだろう。言うしかないのかな。でも、言ったところでガイアを困らせるだけだ。私は、ガイアを困らせたいわけじゃない。私はどうしていいのかわからなくて目を伏せる。
「何をそんなに躊躇ってるんだよ、俺には言えないこと?それとも、今日レイムと一緒にいたことと何か関係あるのか?」
レイム、という言葉を聞いた瞬間に、私は思わずガイアの目を見てしまう。ああ、どうして見てしまったんだろう。ガイアの綺麗なイエローグリーンの瞳が一瞬チリッと燃えたように見えた。
「レイムが関係してるんだな。あいつに何か言われたのか?何を言われた?」
ガイアが少し怒ったように問いただしてくる。どうしよう、レイムさんと話したことをガイアに言うべき?でも、言ったからどうなるっていうんだろう。結局、ガイアを困らせるだけなのに。私が言おうか言うまいか迷っていると、ガイアは目を細め、それと同調するように私の顎を掴む手に力が入った。
「言わないなら、言うまでキスするぞ」
「……は?何言ってるの?」
「俺は本気だから」
ガイアのイエローグリーンの瞳の奥が、まるでメラメラと燃えているように見える。ええ!?どうしてこうなったの?なんで?どうして?そう思っている間にも、ガイアの顔がどんどん近づいてくる。ああ、どうしよう、このままじゃ本当にキスされちゃう。
「ま、待って!言うから!」
唇がもう少しで触れ合いそうな所で私が慌ててそういうと、ガイアはチッと舌打ちをして顔を離した。って、なんで今舌打ちしたのよ!おかしいでしょう!ガイアがよくわからない。
「それで?」
「うっ……、なんであなたみたいな人がガイアの婚約者なんだって言われました」
私の言葉に、ガイアは顎を掴んでいた手をそっと離した。解放された私はガイアに顔を見られたくなくて、思わず顔を伏せる。
「それで?」
「適当に誤魔化そうと思ったんだけど、レイムさんの言うことも確かにそうだよなーって思ったり、して……」
俯いているのでガイアの顔は見えないけれど、明らかにその場の空気がピリッとしたのはわかる。もしかして、ガイアは怒ってるんだろうか。でも、何に怒っているのだろう?
「私みたいな騎士の、令嬢らしくない、女性としての魅力も何もない女より、レイムさんみたいな女性らしくて色気もあって仕事もできる人の方が、ガイアの婚約者にピッタリだなって思うし、きっと他の人たちもそう思ってるんだろうなって思ったら、なんか、ガイアの顔が見れなくて……ごめんね、なんか変な態度とっちゃって」
そう言って顔を上げてガイアの顔を見ると、ガイアはなぜか悲しそうな傷ついたような、でも怒っているような複雑な表情をして私を見ている。どうしてガイアがそんな辛そうな顔するの?ガイアのその表情を見た瞬間、私の中で警報が鳴った。だめだ、これ以上ここでガイアと話をしていてはだめだ。何がだめなのかはわからないけれど、これ以上はだめな気がする。
「あ、の、だから、私、ガイアの婚約者を辞退した方がいいかなと思ったの。契約結婚だとしても、やっぱりガイアみたいな素敵な人には私なんかよりもっとふさわしい人がいっぱいいるし、みんなその方が納得すると思う。だから」
「だめだ」
私の話を遮るように、ガイアの声が低く響く。
「だめだ、絶対に。俺の婚約者は、契約結婚の相手はニーナじゃなきゃだめだ」
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