63 / 82
見せてはいけないもの(ロイ視点)
しおりを挟む
魔物の討伐から戻ってきたランスたちは力を使いすぎて今にも倒れそうな程だった。俺とリラ、白龍ジュインはランスたちとは違い救護班とその警護に当たっていたためまだ余裕があり、ランスたちを先に帰して救護所を撤退するために準備を始める。
まだ現地で浄化作業を行なっている白龍を待つガイルとシキ、クロウとルルのコンビはどちらもぐったりとした騎士を聖女が抱きしめ聖女の力を分けている。白龍がいつ戻ってくるかわからない以上、人の目など気にしている場合ではない状況なのだろう。
「先に帰ったユーズ団長やランスたち、心配なの」
リラがガイルたちの様子を見て不安げにつぶやいた。
「そうだな。だがランスたちは白龍がそれぞれ急いで屋敷まで運んでいるからきっと大丈夫だ。セシルやベル様がちゃんと力わけをしてくれるはずだ」
そう言うと、リラは俺の服の裾をぎゅっと握って頷いた。心配は尽きないが今はここにいる全員の帰還の準備をしなければならない。
そう思っていると、ガイルたちの力わけがとりあえず終わったようで光がどんどん弱まり消えていった。ガイルは先ほどまでの倒れそうな様子が無くなり回復したように見える。それを見てリラがようやく少し安心したように微笑んだ。と、次の瞬間。
「わりぃ、まだちょっと力が足りないみたいだわ」
「は?何言って」
ガイルの言葉にシキが訝しげな顔でガイルを見つめたが、ガイルはシキの顎を掴んでそのまま口付けた。
「!?」
シキが慌てたように体を揺らすが、ガイルがそれを押さえつけるとシキは諦めたように大人しくなった。そのまま、二人の指輪からまた光があふれだす。
おいおいおいおい、流石にキスまで人前でやっちまうのか?!いや、抱きしめるだけでは力が足りないなら確かに仕方ないことかもしれないけど、さっきの力分けでガイルの顔色も良くなったし荒い息遣いも治っていたように見えたんだけどな……。
ふと、隣にいるリラを見ると両目を見開いて驚愕している。あ、そうだよな、リラは恐らくキスがどう言うものか実際に見たことはないんだろう。知識もあったかどうかわからない。ジュインから軽く聞いていたくらいだろう。
ガイルたちからはなぜかいやらしい音が聞こえてくる。光であまり良くは見えないが、光ごしにうっすら見える二人の影からして恐らくはガイルがシキへ何度も執拗にねちっこいキスをお見舞いしているんだろう。時折シキの荒い息づかいも聞こえてくる。おいおい、力分けするのにそんなキスしなきゃダメなのか?そもそも人前でそんな……。
あ、これはまずい。多分きっとまずい。恐る恐るリラを見ると、顔を真っ赤にして固まっている。あぁ、そうだよな、そうなるよな。
「リラ、あの二人はもう大丈夫だ、放っておいて自分たちの仕事をしよう」
リラの両耳を抑え顔を二人の方向から反対の方に向けようとすると、リラはそれを制してクロウたちの方を見た。そうか、あっちの二人のことも気になるのか。
クロウたちも抱きしめでの力わけが終わったようでガイルたちの様子をなんとも言えない表情で見つめている。
「クロウ、あなたもまだ力が足りない?もし足りないなら私たちも……」
ルルが控えめにでも心配そうにそう聞くと、クロウは慌ててルルを見て言った。
「いえ!とりあえずもう大丈夫です!!キスとかそのあとのことは全部屋敷に戻ってからで!!……人前でキスだなんて、あり得ない。ルルの息遣いやキスの姿なんて他の誰にも聞かせたくないし見せたくない」
最後の方の言葉はもはや独り言のようで声がだいぶ小さかったが、その気持ちはよくわかる。俺だってリラのそんな姿やそんな音、たとえ光であまり見えなかったとしても絶対に誰にも見せたくないし聞かせたくない。俺たちはまだキスを一度もしていないけれどもだ。
「クロウたち、大丈夫そうでよかったの」
二人を見て安心したのか、いつものリラに戻ったようだ。あぁよかった。リラにはあまりにも刺激が強すぎるだろ。なんてホッとしたのも束の間。
「……いつか、リラもロイとキスを、する、の?」
そう呟きながら俺を見上げるリラの顔がまた真っ赤になっている。うわ、なんだこれ可愛い。やばいな、っていや、こんな時にこんな気持ちになるのはまずいだろ。まったく、ガイルたちは何してくれてんだよ。
まだ現地で浄化作業を行なっている白龍を待つガイルとシキ、クロウとルルのコンビはどちらもぐったりとした騎士を聖女が抱きしめ聖女の力を分けている。白龍がいつ戻ってくるかわからない以上、人の目など気にしている場合ではない状況なのだろう。
「先に帰ったユーズ団長やランスたち、心配なの」
リラがガイルたちの様子を見て不安げにつぶやいた。
「そうだな。だがランスたちは白龍がそれぞれ急いで屋敷まで運んでいるからきっと大丈夫だ。セシルやベル様がちゃんと力わけをしてくれるはずだ」
そう言うと、リラは俺の服の裾をぎゅっと握って頷いた。心配は尽きないが今はここにいる全員の帰還の準備をしなければならない。
そう思っていると、ガイルたちの力わけがとりあえず終わったようで光がどんどん弱まり消えていった。ガイルは先ほどまでの倒れそうな様子が無くなり回復したように見える。それを見てリラがようやく少し安心したように微笑んだ。と、次の瞬間。
「わりぃ、まだちょっと力が足りないみたいだわ」
「は?何言って」
ガイルの言葉にシキが訝しげな顔でガイルを見つめたが、ガイルはシキの顎を掴んでそのまま口付けた。
「!?」
シキが慌てたように体を揺らすが、ガイルがそれを押さえつけるとシキは諦めたように大人しくなった。そのまま、二人の指輪からまた光があふれだす。
おいおいおいおい、流石にキスまで人前でやっちまうのか?!いや、抱きしめるだけでは力が足りないなら確かに仕方ないことかもしれないけど、さっきの力分けでガイルの顔色も良くなったし荒い息遣いも治っていたように見えたんだけどな……。
ふと、隣にいるリラを見ると両目を見開いて驚愕している。あ、そうだよな、リラは恐らくキスがどう言うものか実際に見たことはないんだろう。知識もあったかどうかわからない。ジュインから軽く聞いていたくらいだろう。
ガイルたちからはなぜかいやらしい音が聞こえてくる。光であまり良くは見えないが、光ごしにうっすら見える二人の影からして恐らくはガイルがシキへ何度も執拗にねちっこいキスをお見舞いしているんだろう。時折シキの荒い息づかいも聞こえてくる。おいおい、力分けするのにそんなキスしなきゃダメなのか?そもそも人前でそんな……。
あ、これはまずい。多分きっとまずい。恐る恐るリラを見ると、顔を真っ赤にして固まっている。あぁ、そうだよな、そうなるよな。
「リラ、あの二人はもう大丈夫だ、放っておいて自分たちの仕事をしよう」
リラの両耳を抑え顔を二人の方向から反対の方に向けようとすると、リラはそれを制してクロウたちの方を見た。そうか、あっちの二人のことも気になるのか。
クロウたちも抱きしめでの力わけが終わったようでガイルたちの様子をなんとも言えない表情で見つめている。
「クロウ、あなたもまだ力が足りない?もし足りないなら私たちも……」
ルルが控えめにでも心配そうにそう聞くと、クロウは慌ててルルを見て言った。
「いえ!とりあえずもう大丈夫です!!キスとかそのあとのことは全部屋敷に戻ってからで!!……人前でキスだなんて、あり得ない。ルルの息遣いやキスの姿なんて他の誰にも聞かせたくないし見せたくない」
最後の方の言葉はもはや独り言のようで声がだいぶ小さかったが、その気持ちはよくわかる。俺だってリラのそんな姿やそんな音、たとえ光であまり見えなかったとしても絶対に誰にも見せたくないし聞かせたくない。俺たちはまだキスを一度もしていないけれどもだ。
「クロウたち、大丈夫そうでよかったの」
二人を見て安心したのか、いつものリラに戻ったようだ。あぁよかった。リラにはあまりにも刺激が強すぎるだろ。なんてホッとしたのも束の間。
「……いつか、リラもロイとキスを、する、の?」
そう呟きながら俺を見上げるリラの顔がまた真っ赤になっている。うわ、なんだこれ可愛い。やばいな、っていや、こんな時にこんな気持ちになるのはまずいだろ。まったく、ガイルたちは何してくれてんだよ。
3
あなたにおすすめの小説
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
子供が可愛いすぎて伯爵様の溺愛に気づきません!
屋月 トム伽
恋愛
私と婚約をすれば、真実の愛に出会える。
そのせいで、私はラッキージンクスの令嬢だと呼ばれていた。そんな噂のせいで、何度も婚約破棄をされた。
そして、9回目の婚約中に、私は夜会で襲われてふしだらな令嬢という二つ名までついてしまった。
ふしだらな令嬢に、もう婚約の申し込みなど来ないだろうと思っていれば、お父様が氷の伯爵様と有名なリクハルド・マクシミリアン伯爵様に婚約を申し込み、邸を売って海外に行ってしまう。
突然の婚約の申し込みに断られるかと思えば、リクハルド様は婚約を受け入れてくれた。婚約初日から、マクシミリアン伯爵邸で住み始めることになるが、彼は未婚のままで子供がいた。
リクハルド様に似ても似つかない子供。
そうして、マクリミリアン伯爵家での生活が幕を開けた。
虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました
たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。
【完結】番としか子供が産まれない世界で
さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。
何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。
そんなニーナが番に出会うまで
4話完結
出会えたところで話は終わってます。
行き遅れのお節介令嬢、氷の公爵様と結婚したら三人娘の母になりました
鳥柄ささみ
恋愛
お節介焼きで困っている人を放っておけないシアは、数多のご令嬢達から人気の令嬢だ。毎日ファンレターが届き、社交界に出れば令嬢に取り囲まれるほどである。
けれど、それに反比例するように男性からの人気はなく、二十七だというのに嫁の貰い手もないため、毎日母から小言をもらっていた。
そんなある日のこと、突然公爵家から縁談の話が。
シアは公爵家がなぜ自分に縁談など持ち掛けるのかと訝しく思いつつ話を受けると、なんと公爵の後妻として三人の娘の母代わりになれと言われる。
困惑するも、自分へ縁談を持ちかけた理由を聞いて、お節介なシアは嫁ぐこと決めたのだった。
夫になるレオナルドはイケメンなのに無表情で高圧的。三人の娘も二女のアンナを除いて長女のセレナも三女のフィオナもとても反抗的。
そんな中でもお節介パワーを発揮して、前向きに奮闘するシアの物語。
※他投稿サイトにも掲載中
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
【完結】 異世界に転生したと思ったら公爵令息の4番目の婚約者にされてしまいました。……はあ?
はくら(仮名)
恋愛
ある日、リーゼロッテは前世の記憶と女神によって転生させられたことを思い出す。当初は困惑していた彼女だったが、とにかく普段通りの生活と学園への登校のために外に出ると、その通学路の途中で貴族のヴォクス家の令息に見初められてしまい婚約させられてしまう。そしてヴォクス家に連れられていってしまった彼女が聞かされたのは、自分が4番目の婚約者であるという事実だった。
※本作は別ペンネームで『小説家になろう』にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる