聖女として白龍の生贄になると思ったらなぜか騎士様と契約結婚することになって愛されています

鳥花風星

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決意

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「リラ、今のうちにケインズ団長に回復魔法を!私も強化魔法で加勢するから!」
「もちろんなの!」

 リラはすぐにケインズ団長へ回復魔法を施し、私も強化魔法で回復をさらに強化させた。ケインズ団長の焼け焦げた皮膚はどんどん元通りになり、ケインズ団長は立ち上がれるまでに回復した!

「はっ、聖女に助けられるとは情けない男だな!聖女に囲まれてどんな気分だ、ハーレム気分か?威勢のいいことを言っていたが所詮は女に助けられなければどうしようもないただのクズではないか」

 ベイルがそう言うとケインズ団長はペッとまた血を吐き出してベイルを睨みつけた。

「随分勝手なこと言ってくれるな、お前どうせモテないだろ?俺はこんな美しい聖女様たちに囲まれ助けてもらえるなんて嬉しくてたまらないね。女に助けられて何が悪い?そもそも人は助け合って生きていく生き物だろ。性別なんて関係なく誰かが窮地に追いやられていて、それを助けたいと思い助ける。当たり前のことじゃねぇか。そうやって優しさや感謝の気持ちは広がっていくんだよ。そんな基本的なこともわかんないとは頭が足りないんだなお前」

 ケインズ団長は剣を肩にかけふん、と鼻で笑った。

「いいか、お前は銀龍の力を持っているだろうが、決定的に足りないものがある。他者を思う気持ち、そしてそれによって得られる仲間だ。俺には確かに白龍の力はない、だけどこうして助けてくれる仲間がいる、助け合いたいと思える仲間だ。見てみろ、お前が使役していた奴らは俺の仲間にもうすぐやられるぞ。そしてお前は俺たちにやられるんだ」

 ケインズ団長の視線の先には、空中から黒銀の龍が頭から落下していく様子だった。地上で戦っている黒銀の龍もランス様たちに攻撃されて瀕死の状態だ。




 ヒュウウウウウ……ドオオオオン!

 上空から真っ逆さまに黒銀の龍が落ちてきた!ものすごい爆音と共に土煙が舞う。

 ――ユーズ、とどめを

 上空から舞い降りてきたユイン様の声に、別の黒銀の龍と戦っていたユーズ団長が気づき、走り出す。そのまま飛び上がり、両手に持った剣を下に向け黒銀の龍の上に剣を突き刺した!

「ギャアアアアアア」

 刺された黒銀の龍は叫び声を上げながら黒い塵になって消えていった。

――ランス、こちらもだ

 掴み合っていた黒銀の龍の手を引きちぎり、白龍姿のミゼル様が軽やかに避けると、ランス様が走り出してそのまま剣を振りかざす。黒銀の龍の首がスパッと切られ、そのまま黒い塵になって消えて行った。

「ま、まさかそんな!銀龍の力を凝縮した魔石で出来上がった龍だぞ!それが白龍などにやられるなど……」

 後退りするベイルをその場にいる全員が睨みつける。

「お、俺を殺せばサリ国は終わる、銀龍の歴史が今度こそ無くなってしまうのだぞ!お前たちはそれでいいのか!白龍よ!銀龍の研究結果そのものが全て失われるのだぞ!」

――無くなるべくして無くなるものなのだろう。サリ国はそれだけのことをしてきたのだから

 白龍姿のギール様がそう言うと、ベイルは震えながら後退りをし、そのまま叫び背を向けて走り出した。

「わあああああ!」
「逃すかよ!」

 ケインズ団長が追いかけようとしたその時。

 ザシュッ

 ベイルの背中に白い光の剣が突き刺さる。

「ぐはっ、な、ぜ、お、前、ち、からが」

 振り返るベイルの視線の先には、片手を光らせベイルに向けるリオン様の姿があった。

 ――まさかわずかに残る最後の力を振り絞ったのか

 白龍姿のジュイン様が驚くように言うと、他のみんなも驚いた顔でリオン様を見つめる。わずかに残る最後の力って、それじゃ、今度こそリオン様は……!

「い、いやだ!こんな所で死ぬなど……グアアアアア!」

 叫び声を上げながら、ベイルの体は黒い霧のようなものになって消えていった。

「自分の……不始末は、自分で、するべき……だろう、奴は、俺が殺さなければ、いけない」

 そう言って静かに微笑むと、リオン様はニオ様を抱きしめたままその場に倒れた。



◇◆◇◆


「リオン!」

 人の姿に戻った白龍様たちがリオン様の元に駆け寄る。ランス様たちやケインズ団長たちもみんな集まってくる。騒ぎに気がついたのか、気を失っていたニオ様が目を覚まし、自分を抱きしめたまま気を失っているリオン様に気がつく。

「リオン!リオン!ねぇ、目を覚まして!」

「白龍の力を使い果たしてしまったのだろう、このままでは本当に危ない。我々の力を少しずつでもわけよう」
「私も、また強化魔法をかけてみます」
「リラも、治癒魔法、かけるの」

 みんなで思い思いにリオン様のために力を尽くそうとしていると、リオン様の瞳が静かに開かれ、思わぬ言葉を口にした。

「……もう、いいのです。……このまま、逝かせてください」

 リオン様の言葉に私たちは絶句する。そして何よりもニオ様が一番悲痛な顔をして叫んだ。

「リオン!どうしてそんなこと言うの!嫌よ、あなたがいなくなるなんて!」
「ニオ、……すまない、本当に。君を、置いていくのは……私も、辛いんだ。でも……そのせいで、こんな……ことに……君を悲しませたい訳ではなかった……本当にすまない……」
「リオンは何も悪くないじゃない!悪いのは、私なのに」

 消えいるような声で言うリオン様を、ニオ様は涙を流しながら見つめそう答えた。

「みんなにも……迷惑をかけた……本当にすまない……」

 リオン様の言葉に白龍様たちは静かに微笑み、他のみんなは苦しそうな顔で見つめている。

「ケインズ……君にも、すまない……ことをした。君に、頼みが……ある。ニオを……どうか幸せに……してやってくれないか。私では……できなかった……君ならきっと……」

 ニオ様は両目を見開いて涙をさらに流し、ケインズ団長はリオン様を見て口を開いた。

「どうしてもっと早く俺を頼らなかった」
「……本当だね。もっと早く、君を頼る……べきだった。でも、それは……ニオを、君に……奪われてしまうような、気がして……できなかったんだ。バカだったね……」
「本当にバカだな、バカ白龍だお前は。……ニオのことは任せろ。安心していい」

 ケインズ団長の言葉にリオン様はホッとしたような顔で静かに微笑んだ。その微笑みは本当に心の底から安心したような顔だ。そしてリオン様はニオ様の頬に手を伸ばした。

「ニオ……愛しい私のニオ……私に、愛することを教えてくれて……愛されることを教えてくれて……本当に……ありがとう。ずっとずっと……愛しているよ」
「リオン!私もよ!あなたに愛してもらって、愛することができて幸せだった!愛しているわ!リオン!」

 ニオ様はリオンの手をとり泣きながら言う。その言葉を聞いて、リオン様は嬉しそうに微笑み、そして静かに目を閉じた。すると、リオン様の体が光の粒子になって空に登っていく。

「……いやああああ!」

 泣き叫ぶニオ様を、私たちは静かに見守ることしかできなかった。


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