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王子は確信犯
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「ベル!ベル!これは一体どういうことだ!どうしてお前が、第二王子アーロン様から婚約の申し込みが届いているんだ!?」
数日後、司書の仕事を終えて自宅に戻ると、父親が血相を変えて私の元にやってきた。えっ、アーロン王子から婚約の申し込み?どういうこと?
父親の持っているアーロン王子からの手紙には、まごうことなく私への婚約の申し込みが書かれていた。王立図書館中枢部で私を見て一目ぼれしたこと、何度か会話をするうちに内面にも惹かれたこと、婚約の申し込みについては私の許可をすでに得ていることも書かれていた。って一目ぼれ?そんなばかな、私、昼寝してただけなんですけど……。口を開けてよだれたらしててもおかしくない。
そもそも、あの人がアーロン王子だなんて信じられない。王子があんな風にふらふらしてていいわけがないと思う。でも、確かに素性を聞いても言わなかったし、何なら隠しているようにも思えた。本当にあの人がアーロン王子なの!?
そうして、あれよあれよという間に顔合わせの日がやってきた。屋敷にやってきたアーロン王子は確かに王立図書館中枢部で出会ったあの人本人。ひえええ、王子と知らずに接していたけれど、何か失礼なことしてなかったかな?アーロン王子を見た両親はその美しさにくらくらしてしまい、気を失わないように必死で、見てるこっちがひやひやしてしまう。
二人だけで話がしたいというアーロン王子の要望で、二人で庭園にやって来た。
「ようやく二人きりになれたね。いつもは司書の制服姿だったけど、ドレス姿の君も本当に素敵だ」
嬉しそうにそう言って私の頭から足先までじっくりと眺めている。そんなに見られたら恥ずかしい。それに、いつも以上に整った身なりでそんなアーロン王子の方こそ素敵すぎると思う。
「まさか、あなたがアーロン様だなんて知りませんでした。知っていれば……」
「知っていれば、婚約を断ったのに?君ならそう言うだろうと思って、だからこそ明かさなかったんだよ」
「ずるいです、それに私はそこまで思われるような人間ではありません」
「俺はね、欲しいと思ったら何としてでも絶対に手に入れる人間なんだ。それに、君は君自身が思うよりもずっと魅力的だよ」
そう言って、アーロン王子は私の目の前まで足を進めると、腰に手を回して来た。ええっ、急に近すぎるんですけども?
「もう婚約者なんだからこれくらいいいよね?ああ、あと君はもっとちゃんと警戒するべきだよ。あの場所は確かに限られた人間しか入れない場所だけど、一人で昼寝なんてしてたら誰かにとって食われてしまうかもしれない。現に、俺は昼寝する君に何度キスしてしまおうかと思ったか……我慢した俺をほめてほしいくらいだよ」
そう言って、アーロン王子の手が私の頬に伸びて、ゆっくり撫でていく。うう、こそばゆいし恥ずかしい!
「そういうわけで、もう我慢しなくてもいいよね?」
そのまま、いつの間にかアーロン王子の唇が私の唇に重なっていた。アーロン王子の顔が離れると、私の顔を見て嬉しそうに笑っている。
「茹蛸みたいだ」
「……!もう!アーロン様のせいです!」
「ははは、ごめんごめん、俺の婚約者は可愛いなぁ」
そう言って、ギュッとアーロン王子は私を抱きしめた。うう、恥ずかしくてドキドキする。でも、密着するアーロン王子の体からもドクドクと心臓の早い音が聞こえてきて、もしかしてこの人もすごく緊張しているのかも?そう思ったら少しだけほほえましくなった。
「あ、そうだ。期間限定っていったけど、俺は期間限定にするつもりはないからね。君のこと手放す気はないから、絶対に落として見せるよ」
ああ、これは完全に確信犯ですね……。かくして、私はアーロン王子と婚約し、半年後に結婚することになった。
数日後、司書の仕事を終えて自宅に戻ると、父親が血相を変えて私の元にやってきた。えっ、アーロン王子から婚約の申し込み?どういうこと?
父親の持っているアーロン王子からの手紙には、まごうことなく私への婚約の申し込みが書かれていた。王立図書館中枢部で私を見て一目ぼれしたこと、何度か会話をするうちに内面にも惹かれたこと、婚約の申し込みについては私の許可をすでに得ていることも書かれていた。って一目ぼれ?そんなばかな、私、昼寝してただけなんですけど……。口を開けてよだれたらしててもおかしくない。
そもそも、あの人がアーロン王子だなんて信じられない。王子があんな風にふらふらしてていいわけがないと思う。でも、確かに素性を聞いても言わなかったし、何なら隠しているようにも思えた。本当にあの人がアーロン王子なの!?
そうして、あれよあれよという間に顔合わせの日がやってきた。屋敷にやってきたアーロン王子は確かに王立図書館中枢部で出会ったあの人本人。ひえええ、王子と知らずに接していたけれど、何か失礼なことしてなかったかな?アーロン王子を見た両親はその美しさにくらくらしてしまい、気を失わないように必死で、見てるこっちがひやひやしてしまう。
二人だけで話がしたいというアーロン王子の要望で、二人で庭園にやって来た。
「ようやく二人きりになれたね。いつもは司書の制服姿だったけど、ドレス姿の君も本当に素敵だ」
嬉しそうにそう言って私の頭から足先までじっくりと眺めている。そんなに見られたら恥ずかしい。それに、いつも以上に整った身なりでそんなアーロン王子の方こそ素敵すぎると思う。
「まさか、あなたがアーロン様だなんて知りませんでした。知っていれば……」
「知っていれば、婚約を断ったのに?君ならそう言うだろうと思って、だからこそ明かさなかったんだよ」
「ずるいです、それに私はそこまで思われるような人間ではありません」
「俺はね、欲しいと思ったら何としてでも絶対に手に入れる人間なんだ。それに、君は君自身が思うよりもずっと魅力的だよ」
そう言って、アーロン王子は私の目の前まで足を進めると、腰に手を回して来た。ええっ、急に近すぎるんですけども?
「もう婚約者なんだからこれくらいいいよね?ああ、あと君はもっとちゃんと警戒するべきだよ。あの場所は確かに限られた人間しか入れない場所だけど、一人で昼寝なんてしてたら誰かにとって食われてしまうかもしれない。現に、俺は昼寝する君に何度キスしてしまおうかと思ったか……我慢した俺をほめてほしいくらいだよ」
そう言って、アーロン王子の手が私の頬に伸びて、ゆっくり撫でていく。うう、こそばゆいし恥ずかしい!
「そういうわけで、もう我慢しなくてもいいよね?」
そのまま、いつの間にかアーロン王子の唇が私の唇に重なっていた。アーロン王子の顔が離れると、私の顔を見て嬉しそうに笑っている。
「茹蛸みたいだ」
「……!もう!アーロン様のせいです!」
「ははは、ごめんごめん、俺の婚約者は可愛いなぁ」
そう言って、ギュッとアーロン王子は私を抱きしめた。うう、恥ずかしくてドキドキする。でも、密着するアーロン王子の体からもドクドクと心臓の早い音が聞こえてきて、もしかしてこの人もすごく緊張しているのかも?そう思ったら少しだけほほえましくなった。
「あ、そうだ。期間限定っていったけど、俺は期間限定にするつもりはないからね。君のこと手放す気はないから、絶対に落として見せるよ」
ああ、これは完全に確信犯ですね……。かくして、私はアーロン王子と婚約し、半年後に結婚することになった。
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