「地味で無能」と捨てられた令嬢は、冷酷な【年上イケオジ公爵】に嫁ぎました〜今更私の価値に気づいた元王太子が後悔で顔面蒼白になっても今更遅い

腐ったバナナ

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11話

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 リリアンが辺境へ向かっているという報を受け、グレイヴナー公爵邸は緊張感に包まれた。

 アレクシス公爵は、執務室で冷徹に指示を出していた。

「オスカー、王都の使者団が領内に入り次第、徹底的に監視しろ。特にリリアン嬢の行動に目を光らせろ。彼女はクラウディアの才能を奪いに来ている」

 オスカーは、公爵のただならぬ気迫に圧倒されながら答えた。

「御意。公爵夫人様の御身に、指一本触れさせません」

 クラウディアは、公爵の傍らに静かに立っていた。彼女の目には、恐れは一切ない。あるのは、かつての裏切り者たちへの冷徹な迎撃の準備だけだった。

「公爵様。リリアンは、青魔鉱の秘密を探りに来るでしょう。彼女は、王都では『聖女』の光を持つとされています。その光で、わたくしの功績が『偶然の産物』であると証明し、全てを奪うつもりでしょう」

 公爵は、クラウディアを力強く抱き寄せた。

「ふざけるな。君の才能は、地道な知識と、真摯な努力の賜物だ。王都の連中のような、虚飾の光などではない」

 公爵は、その夜、いつにも増して深い感情を露わにした。クラウディアの私室で、彼は軍服を脱ぎ、傷跡だらけの体を彼女に委ねた。

「クラウディア。君が、俺の領地を救い、俺の心を癒やしてくれた。俺は二度と、愛する者を王都の愚かさで失いたくない」

 公爵は、クラウディアを強く抱きしめ、囁いた。

「もし、リリアンが君に害を加えようとしたり、王太子が君を連れ戻そうとしたりすれば――俺は、王都ごと滅ぼす」

 彼の言葉は、穏やかな口調とは裏腹に、狂気的なまでの決意と、深い執着に満ちていた。彼の愛は、ただ甘いだけの溺愛ではない。クラウディアを守るためなら、世界を敵に回すことを厭わない、冷酷で重い愛だった。

「この命に代えても、君の心を乱す者は近づけない。君は、永遠に俺の絶対安全の温かい包容力の中にいろ」

 クラウディアは、公爵の背中に手を回し、その冷たい肌に自分の温もりを分け与えた。

「公爵様。わたくしには、もう王都も王太子も、どうでもよろしいのです。わたくしを裏切らない、あなたの『大人の愛』だけが、わたくしの全てです。王都を滅ぼす必要はありません。ただ、彼らにわたくしを捨てた報いを、身をもって知らしめていただければ、それで十分です」

 クラウディアは、公爵の激しい独占欲を理解し、それを歓迎した。彼女にとって、公爵のこの静かなる執着こそが、王都の虚飾とは違う、真の愛の証だったのだ。

 公爵は、クラウディアの言葉に満足そうに頷いた。彼は、彼女の冷徹な覚悟さえも愛している。

「分かった。君の望み通りにしよう。彼らがこの地に足を踏み入れるとき、それは彼らにとっての最後の地獄の幕開けとなる」

 辺境の公爵邸は、愛し合う二人によって、外敵を迎え撃つための、鉄壁の要塞へと変貌を遂げていた。そして、王都からの使者団は、いよいよ公爵領へと入ろうとしていた。
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