透明令嬢は暗殺公爵の箱庭で愛でられる

腐ったバナナ

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7話

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 家族という名の呪縛が消え、地下の「真の箱庭」での生活が始まってから、時間の感覚はすっかり麻痺してしまいました。 ここには昼も夜もありません。ただ、レオンハルト様が私を抱きに来る時間と、それ以外の時間があるだけです。

「……さあ、エリス。口を開けて。今日もお前の体は、俺の魔力を欲しがっている」

 レオンハルト様が、銀の匙で琥珀色の液体を私の口元へ運びます。それは高濃度の魔力を含んだ特製の霊薬。 今の私の食事は、すべて彼が自ら用意し、彼の指先や唇を通して与えられるものだけに限られていました。

「……ん……はぁ……」

 喉を通り抜ける熱い衝撃。 彼から与えられるものを受け取るたび、私の胸元の紋章は脈打つように赤く輝きます。 最近の私は、彼がそばにいないと、肺に穴が空いたように息苦しく、指先が震えるようになっていました。それは「認識阻害」のせいではなく、彼という毒がなくては生きていけない体へと、造り変えられてしまったせい。

「お前の肌……昨日よりも、さらに白く透き通ってきたな」

 レオンハルト様が、私の指先を一本ずつ、愛おしげに口に含みます。 すると、指先の輪郭がふわりと揺れ、彼の唇に溶け込むように透けて見えました。

「あ……レオンハルト様、私、また……」 

「案ずるな。これは消失ではない。お前が俺の魔力と完全に同調し始めている証拠だ」

 彼の黄金の瞳が、悦びに細められます。 普通なら恐怖を感じるはずの事態。けれど、彼に溶けていくような感覚に、私は抗いようのない安らぎを覚えていました。

「……私の形がなくなっても、貴方は私を、見つけてくださいますか?」 

「当たり前だ。お前が空気になろうと、魔力そのものになろうと、俺の魂がその居場所を離さない。……お前はもう、俺の一部なんだからな」

 彼は私の背中を強く抱き寄せ、耳元で熱く、独占を誓うように囁きます。 その瞬間、私の視界が真っ白に染まりました。 彼の魔力が私の血管を駆け巡り、心臓の鼓動さえも彼のものと重なっていく。

 私は気づいていました。 レオンハルト様は、私を「救う」だけでなく、自分なしでは一日も形を保てない存在に仕立て上げることで、永遠の忠誠と依存を強いているのだと。 それはあまりに残酷で、そして――震えるほどに甘美な愛。

「レオンハルト様……もっと、私を壊れるほどに……」

 自ら求めた言葉に、彼は獰猛な笑みを浮かべ、私を真綿のベッドへと押し倒しました。 箱庭を支配する沈黙の中、私を「暴く」彼の吐息だけが、私が生きている唯一の証明として響き渡っていました。
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