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03 初めての食堂
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研究塔の一室。
ドミニクスに割り当てられた研究室にも、終業の気配が近づいていた。
窓の外では、晴れた空から夕暮れの色が滑らかに広がり、柔らかな光が差し込んでいる。
机に向かっていたヒルダは、書類をトンと揃え、短く息を吐いた。
視線を背後に向けると、黒地に銀糸を散らしたローブを纏うドミニクスの姿。
魔術の光がゆらめき、窓明かりと溶け合ってローブに反射している。
廊下からは研究員たちの談笑が聞こえる。
ヒルダは椅子に背を預け、軽く伸びをした。──仕事終わり、今日はどこに寄ろうか。そんなことを考えていた、その時。
カタン、と音。背後から近づく気配に、嫌な予感がした。
「助手よ」
「……何でしょうか、グランツ様」
顔を上げると、ドミニクスがこちらを見下ろしていた。予感的中、と心の中で呟き、短くため息を吐いた。
「本日の研究成果を──」
「昼に確認した時、不要と仰いましたよね?」
「ああ。だが、やはり必要に──」
「でしたら、こちらをご確認ください。すでに書面にまとめてあります」
食い気味に報告書を差し出すと、彼は受け取ったまま動かない。
目を通す気配もなく、握った書類がくしゃりと折れた。
ヒルダは小さく息を吐き、立ち上がった。
視線を合わせ、静かに問う。
「グランツ様。なぜいつも終業の頃に依頼を? 昼間に不要と仰っていたのに、毎回退勤間際に呼ばれるのは、なぜですか」
沈黙。
ドミニクスは「あ……」「その……」と声にならない音を漏らし、やがて観念したように肩を落とした。
「……た、かったんだ」
「はい?」
「まだ……一緒に、いたかったんだ」
俯いていたドミニクスが、ようやく顔を上げた。
「終業間近に声をかけたのは……ヒ、こほん。──助手と話す口実が欲しくて。少しでも長く、いられたらと思って……」
その言葉に、ヒルダは息を飲んだ。
彼が抱えた報告書に視線を落とし、呆然と呟く。
「……え? で、では……今日作ったこの書類や口頭説明は」
「研究の進捗把握という意味はある。ただ……毎日でなくてもいい。終業間近に依頼を出していたのは、……私の勝手だった」
「…………」
もしかして、と思っていた。けれど、実際に聞くと脱力する。
──本当にそれだけ? 額を押さえた。
彼の研究には魅力があるし、人柄も悪くない。ヒルダを好ましく思ってくれているのもわかっている。
ただ、三年もそばにいて思うのは、人付き合いが不器用で、世間の常識に疎いということ。
そう理解してはいても、毎日のように終業間際に拘束されるのは堪える。それだけは、きちんと伝えねばならない。
「終わり際に仕事を振られるのは辛いものです。予定がある日もありますし、なくても、私だってもやりたいことくらいはあります」
「申し訳ない……。良くないとわかっていたのに、止められなくて……」
「研究に必要なことであれば、勿論お手伝いします。ですが、それは業務時間内に収まるように依頼してください」
「ああ。……わかった。もうこのような事はしない。──約束する」
真剣な顔で頷く彼を見て、きちんと伝わったのだと安堵する。
窓の外はすっかり暮れ、紫と藍が街を覆っている。
腹の虫が控えめに鳴き、思い立って声をかけた。
「グランツ様。この後、ご予定は?」
「……へ? いや、特に……何も無い、が」
瞬きをする彼に、ヒルダは微笑む。
「もう遅いですし、晩ご飯を食べようと思いまして。塔の食堂に行くのですが、ご一緒にどうですか」
「! い、いいのか……!?」
途端に前のめり。
その勢いに少し身を引きながら、ヒルダは苦笑して頷く。
「はい、そう申しました」
「そうか……。ああ、でも……実は、食堂を使ったことがなくて。私でも、使えるのだろうか」
「こ、これまで一度も!? では、食事はどうして」
問い返すと、彼は机の引き出しを開けた。
中には色とりどりの携行食と保存糧。ヒルダは絶句した。
塔の食堂は研究員証──職員に支給される身分証を見せれば無料で使える。研究員の健康を守るため、朝昼晩いつでも温かい料理が用意されている。自分より長く勤める彼が一度も使っていないとは。
「……グランツ様。もしかして、食事そのものがお嫌いなのですか」
「いや、そんなことはない」
「では……好き嫌いが激しい、とか?」
「特に……。ああ、助手が用意してくれる茶や軽食は、どれも好きだ」
「っ……そうですか。ええと、では食欲は? 具合は悪くありませんか」
「大丈夫。だと、思う」
少しぼんやりとした返答に、食への執着の薄さは感じたものの、嫌悪ではないとわかり安堵する。思えばこれまで差し入れた茶や軽食は、いつも残さず綺麗に口にしていた。彼がヒルダへと差し出してくれた甘い菓子などもあった。
それでも今になって気づく。彼の食事は、あまりにおざなりで栄養が足りていない。──あの夜、身体を繋げてしまったからこそ、ようやく理解できたことだった。
「それでは行きましょう。研究員証があれば無料です」
笑みを添えると、ドミニクスは胸元の証を確認し、素直に頷いた。
二人は部屋を出て、並んで廊下を進んだ。
中層の研究エリアを抜け、下層の食堂へと続く階段を降りていく。
夜も遅く、人影はまばらだ。
それでもすれ違う研究員たちが何人かいて、ヒルダは軽く会釈を返した。
隣のドミニクスは、周囲を気に留めることなく、ただヒルダの歩調に合わせて静かに歩いている。
歩くたび、無造作に結わえられた銀灰の髪が、肩のあたりで揺れた。
毛先は少しはね、艶も乏しい。長く梳かれていない髪特有の乾きがある。
香油を馴染ませ、櫛で整えたら、どんな表情になるだろう。
そんな想像がふと浮かび、ヒルダははっとして思考を振り払った。──なぜ、そんなことを。
気づけば視線を注いでいたらしく、ドミニクスがこちらを見る。
「すみません、少し考え事を」と慌てて言うと、「……そうか」とだけ返し、わずかに笑った。
その控えめな笑みが、不思議と胸に残る。
やがて、食堂の扉が見えてきた。
金属製の取っ手を押して中に入ると、空気が一瞬止まる。ざわめきの中で、いくつもの視線がこちらに向けられた。ドミニクスに気づいた研究員たちが、驚きで声を失っている。
静寂のあと、さざ波のような囁きが広がっていった。
ヒルダは思わず口を開けたまま立ち止まった。
しかし当の本人は、周囲をまるで気にしていない。
ただヒルダのほうへ向き直り、真面目な顔で問う。
「どうしたらいいんだ?」
その調子があまりに真剣で、思わず笑いそうになる。
ヒルダは前に出て、トレーの山と小皿が並ぶ台まで案内した。
「トレーを持って、その皿を二枚。大きめで浅い皿と、小さめで深い皿……まずはそれを入れましょう」
自分の分を取りながら示すと、ドミニクスも同じ動作を繰り返す。
ぎこちないが、手順を真似しようとする姿が妙に真面目で、微笑ましい。
「惣菜は並んでいる匙で。汁物や主菜は、奥の職員に頼めばよそってくれます」
説明する声を聞きながら、彼は真剣に皿を見つめていた。
眉間に皺を寄せ、まるで難題に挑むような顔。
ただの夕食選びとは思えないほどの集中ぶりに、ヒルダは思わず苦笑する。
おかずを取っていると、頭上から声が落ちた。
「……助手の、おすすめはあるか」
思わず瞬く。
視線だけが静かにこちらを向いている。
「そうですね……」
肉は重たいかな、と考えながら、軽めで食べやすいものを指さした。
「もし迷ったら、豆と根菜のスープにしてみてください。優しい味で、お腹にも負担がありません。
パンは香草入りのものを。スープに浸して食べると、美味しいんです。足りなければ、小鉢のハーブ卵もいいかもしれませんね」
話すたびに、ドミニクスの目元が和らいでいく。
示された料理を一つひとつ、丁寧に皿へ移していく仕草は、どこか慎重で、どこか嬉しそうだった。
スープを受け取ったところで、ヒルダは声をかける。
「最後に研究員証を提示すれば、食堂内でも持ち帰りでも利用できます。どちらにされますか?」
ドミニクスは食堂を見渡した。
広い空間には空席が多い。
けれど、好奇の視線がちらちらと二人を追っていた。
その様子を見て、ヒルダは彼がここで落ち着けるはずもないと察する。
「……持ち帰りで。助手も、それでいいだろうか」
「はい、勿論」
ヒルダが頷くと、ドミニクスの肩から力が抜けた。
研究室へ戻ると、照明が自動で落とされ、壁のランタンが柔らかく灯った。
昼間とは違う、穏やかな明るさ。
その温かさが、なぜか心地よい。
長机の上に散らばっていた書類や器具を端へ寄せ、トレーを置けるだけのスペースを作る。
結果として、椅子は自然に近く並び、ヒルダの胸に小さな波が立った。
隣に座るドミニクスは、まるで初めての世界に触れるような顔でスープを口にする。
「……これは。口に入れるたびに違う味がして、不思議なのだな」
驚いたように頷き、噛みしめるたび、表情が柔らかくなる。
ヒルダはその様子を静かに見つめた。
──誘ってよかった。
胸の奥でそう思いながら、灯に揺れるドミニクスの横顔を見守り続けた。
ドミニクスに割り当てられた研究室にも、終業の気配が近づいていた。
窓の外では、晴れた空から夕暮れの色が滑らかに広がり、柔らかな光が差し込んでいる。
机に向かっていたヒルダは、書類をトンと揃え、短く息を吐いた。
視線を背後に向けると、黒地に銀糸を散らしたローブを纏うドミニクスの姿。
魔術の光がゆらめき、窓明かりと溶け合ってローブに反射している。
廊下からは研究員たちの談笑が聞こえる。
ヒルダは椅子に背を預け、軽く伸びをした。──仕事終わり、今日はどこに寄ろうか。そんなことを考えていた、その時。
カタン、と音。背後から近づく気配に、嫌な予感がした。
「助手よ」
「……何でしょうか、グランツ様」
顔を上げると、ドミニクスがこちらを見下ろしていた。予感的中、と心の中で呟き、短くため息を吐いた。
「本日の研究成果を──」
「昼に確認した時、不要と仰いましたよね?」
「ああ。だが、やはり必要に──」
「でしたら、こちらをご確認ください。すでに書面にまとめてあります」
食い気味に報告書を差し出すと、彼は受け取ったまま動かない。
目を通す気配もなく、握った書類がくしゃりと折れた。
ヒルダは小さく息を吐き、立ち上がった。
視線を合わせ、静かに問う。
「グランツ様。なぜいつも終業の頃に依頼を? 昼間に不要と仰っていたのに、毎回退勤間際に呼ばれるのは、なぜですか」
沈黙。
ドミニクスは「あ……」「その……」と声にならない音を漏らし、やがて観念したように肩を落とした。
「……た、かったんだ」
「はい?」
「まだ……一緒に、いたかったんだ」
俯いていたドミニクスが、ようやく顔を上げた。
「終業間近に声をかけたのは……ヒ、こほん。──助手と話す口実が欲しくて。少しでも長く、いられたらと思って……」
その言葉に、ヒルダは息を飲んだ。
彼が抱えた報告書に視線を落とし、呆然と呟く。
「……え? で、では……今日作ったこの書類や口頭説明は」
「研究の進捗把握という意味はある。ただ……毎日でなくてもいい。終業間近に依頼を出していたのは、……私の勝手だった」
「…………」
もしかして、と思っていた。けれど、実際に聞くと脱力する。
──本当にそれだけ? 額を押さえた。
彼の研究には魅力があるし、人柄も悪くない。ヒルダを好ましく思ってくれているのもわかっている。
ただ、三年もそばにいて思うのは、人付き合いが不器用で、世間の常識に疎いということ。
そう理解してはいても、毎日のように終業間際に拘束されるのは堪える。それだけは、きちんと伝えねばならない。
「終わり際に仕事を振られるのは辛いものです。予定がある日もありますし、なくても、私だってもやりたいことくらいはあります」
「申し訳ない……。良くないとわかっていたのに、止められなくて……」
「研究に必要なことであれば、勿論お手伝いします。ですが、それは業務時間内に収まるように依頼してください」
「ああ。……わかった。もうこのような事はしない。──約束する」
真剣な顔で頷く彼を見て、きちんと伝わったのだと安堵する。
窓の外はすっかり暮れ、紫と藍が街を覆っている。
腹の虫が控えめに鳴き、思い立って声をかけた。
「グランツ様。この後、ご予定は?」
「……へ? いや、特に……何も無い、が」
瞬きをする彼に、ヒルダは微笑む。
「もう遅いですし、晩ご飯を食べようと思いまして。塔の食堂に行くのですが、ご一緒にどうですか」
「! い、いいのか……!?」
途端に前のめり。
その勢いに少し身を引きながら、ヒルダは苦笑して頷く。
「はい、そう申しました」
「そうか……。ああ、でも……実は、食堂を使ったことがなくて。私でも、使えるのだろうか」
「こ、これまで一度も!? では、食事はどうして」
問い返すと、彼は机の引き出しを開けた。
中には色とりどりの携行食と保存糧。ヒルダは絶句した。
塔の食堂は研究員証──職員に支給される身分証を見せれば無料で使える。研究員の健康を守るため、朝昼晩いつでも温かい料理が用意されている。自分より長く勤める彼が一度も使っていないとは。
「……グランツ様。もしかして、食事そのものがお嫌いなのですか」
「いや、そんなことはない」
「では……好き嫌いが激しい、とか?」
「特に……。ああ、助手が用意してくれる茶や軽食は、どれも好きだ」
「っ……そうですか。ええと、では食欲は? 具合は悪くありませんか」
「大丈夫。だと、思う」
少しぼんやりとした返答に、食への執着の薄さは感じたものの、嫌悪ではないとわかり安堵する。思えばこれまで差し入れた茶や軽食は、いつも残さず綺麗に口にしていた。彼がヒルダへと差し出してくれた甘い菓子などもあった。
それでも今になって気づく。彼の食事は、あまりにおざなりで栄養が足りていない。──あの夜、身体を繋げてしまったからこそ、ようやく理解できたことだった。
「それでは行きましょう。研究員証があれば無料です」
笑みを添えると、ドミニクスは胸元の証を確認し、素直に頷いた。
二人は部屋を出て、並んで廊下を進んだ。
中層の研究エリアを抜け、下層の食堂へと続く階段を降りていく。
夜も遅く、人影はまばらだ。
それでもすれ違う研究員たちが何人かいて、ヒルダは軽く会釈を返した。
隣のドミニクスは、周囲を気に留めることなく、ただヒルダの歩調に合わせて静かに歩いている。
歩くたび、無造作に結わえられた銀灰の髪が、肩のあたりで揺れた。
毛先は少しはね、艶も乏しい。長く梳かれていない髪特有の乾きがある。
香油を馴染ませ、櫛で整えたら、どんな表情になるだろう。
そんな想像がふと浮かび、ヒルダははっとして思考を振り払った。──なぜ、そんなことを。
気づけば視線を注いでいたらしく、ドミニクスがこちらを見る。
「すみません、少し考え事を」と慌てて言うと、「……そうか」とだけ返し、わずかに笑った。
その控えめな笑みが、不思議と胸に残る。
やがて、食堂の扉が見えてきた。
金属製の取っ手を押して中に入ると、空気が一瞬止まる。ざわめきの中で、いくつもの視線がこちらに向けられた。ドミニクスに気づいた研究員たちが、驚きで声を失っている。
静寂のあと、さざ波のような囁きが広がっていった。
ヒルダは思わず口を開けたまま立ち止まった。
しかし当の本人は、周囲をまるで気にしていない。
ただヒルダのほうへ向き直り、真面目な顔で問う。
「どうしたらいいんだ?」
その調子があまりに真剣で、思わず笑いそうになる。
ヒルダは前に出て、トレーの山と小皿が並ぶ台まで案内した。
「トレーを持って、その皿を二枚。大きめで浅い皿と、小さめで深い皿……まずはそれを入れましょう」
自分の分を取りながら示すと、ドミニクスも同じ動作を繰り返す。
ぎこちないが、手順を真似しようとする姿が妙に真面目で、微笑ましい。
「惣菜は並んでいる匙で。汁物や主菜は、奥の職員に頼めばよそってくれます」
説明する声を聞きながら、彼は真剣に皿を見つめていた。
眉間に皺を寄せ、まるで難題に挑むような顔。
ただの夕食選びとは思えないほどの集中ぶりに、ヒルダは思わず苦笑する。
おかずを取っていると、頭上から声が落ちた。
「……助手の、おすすめはあるか」
思わず瞬く。
視線だけが静かにこちらを向いている。
「そうですね……」
肉は重たいかな、と考えながら、軽めで食べやすいものを指さした。
「もし迷ったら、豆と根菜のスープにしてみてください。優しい味で、お腹にも負担がありません。
パンは香草入りのものを。スープに浸して食べると、美味しいんです。足りなければ、小鉢のハーブ卵もいいかもしれませんね」
話すたびに、ドミニクスの目元が和らいでいく。
示された料理を一つひとつ、丁寧に皿へ移していく仕草は、どこか慎重で、どこか嬉しそうだった。
スープを受け取ったところで、ヒルダは声をかける。
「最後に研究員証を提示すれば、食堂内でも持ち帰りでも利用できます。どちらにされますか?」
ドミニクスは食堂を見渡した。
広い空間には空席が多い。
けれど、好奇の視線がちらちらと二人を追っていた。
その様子を見て、ヒルダは彼がここで落ち着けるはずもないと察する。
「……持ち帰りで。助手も、それでいいだろうか」
「はい、勿論」
ヒルダが頷くと、ドミニクスの肩から力が抜けた。
研究室へ戻ると、照明が自動で落とされ、壁のランタンが柔らかく灯った。
昼間とは違う、穏やかな明るさ。
その温かさが、なぜか心地よい。
長机の上に散らばっていた書類や器具を端へ寄せ、トレーを置けるだけのスペースを作る。
結果として、椅子は自然に近く並び、ヒルダの胸に小さな波が立った。
隣に座るドミニクスは、まるで初めての世界に触れるような顔でスープを口にする。
「……これは。口に入れるたびに違う味がして、不思議なのだな」
驚いたように頷き、噛みしめるたび、表情が柔らかくなる。
ヒルダはその様子を静かに見つめた。
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