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19.その後の侯爵家(ジュリー視点)
しおりを挟む「何よ!このパサパサな魚は!パンももっと外はサクサク中はフワフワに焼きなさいよっ!!」
「すっすみませんジュリー様…今までほとんど掃除しかした事なくて…」
「ほんっと役立たずねぇ!給料分ちゃんと働きなさいよ…」
「お給料分………」
目障りな姉と、生意気な使用人達が出て行ってからもうすぐ4ヶ月。
日に日に不満は溜まっていく。
シェフも出て行ってしまい、今まで掃除係をしていた使用人が食事を作るようになったが、これが本当に食べられた物では無い。
掃除をする者もいなくなり、部屋はどんどん汚くなる。
ベットメイクなんて最後にされたのはいつだろうか。
私の身の回りの世話をするメイドも足りなくなり、私の美しい髪も何だかゴワゴワする…
何でこうも何もかも上手くいかないのよ…!!
「ちょっと!オディロン!ちゃんと貴方使用人募集しているのでしょうね!?サボっているんじゃないの!?」
オディロンにはさっさと次の優れた使用人を探すように言っている。
「いいえ、探してはいますが中々条件に合う人材が見つからないのです。それにこれだけ使用人が少ないと私も忙しくて。すみません、ジュリー様」
「オディロン、貴方そう言いながら最近全然屋敷に居ないじゃない!遊び歩いているなら、掃除や食事の用意をしなさいよ!」
すると、オディロンが少し笑って答えた。
「はははっ。ジュリー様は可笑しな事をおっしゃられますね。私が屋敷にいないのは、今までフレミア様がされていた仕事をしているからです。領地の視察、外交、土地の開発状況の確認、各地方の長との話し合い……その他数えきれぬ仕事です。勿論ジュリー様も知っていますよね?」
(そ、そんなに多くの仕事をフレミアお姉様は1人でしていたの…!?)
「あ、あぁそうだったわね。まぁそれなら…しっ仕方の無い事ね。少しでも多くのお金を領民達から集めるのよ。分かったわね!?あ!あと……ワルヤーク伯爵家のアボン様から手紙は届いていないかしら??」
「お金の管理は侯爵夫人がされていますので…。アボン様からの手紙でしょうか。届いていませんでしたよ。では、まだ仕事が残っておりますので失礼します」
静かに扉が閉められる。
(どうしてっ!?どうしてアボン様から手紙が届かないのっ!?あれだけ私に会いたいとか、貴女の事を考えるだけで夜も眠れないとか言っていた癖に…!)
姉様の手紙を奪い取った日にすぐアボン様へ手紙を送ると数日で返事が来た。
なんと素敵な宝石と共に。
それから私に似合いそうだと言ってドレスや宝石をたくさん送ってくださった。
そして私に直接会いに来てくださり、私と婚約したいとすら言ってくださった。
あの素敵な黒い瞳に見つめられ手を握られ、私も貴方の妻になりたいと返事をした。
しかし。
ワルヤーク伯爵がアボン様と私の婚約を認めないと言っているらしいのだ。
流石に伯爵に無断で結婚する事はできない。
ワルヤーク伯爵には借金があって、それを返すと言っている隣国の裕福な貴族令嬢とアボン様を結婚させると言っているらしい。
アボン様は涙ながらに仰った。
「できるなら貴女と駆け落ちしたい。愛していない女性の所へ行くなんて辛いが、ジュリー様に迷惑をかけたく無いから今日はお別れのご挨拶に参ったのです」
(伯爵は何という悪魔なの!お金でアボン様を売るなんて…!しかもその金持ちの女もどうせアボン様の容姿が素敵だから我儘言ったのね…!!醜い女!私がそんな事させないっっ!!)
「アボン様、借金はいくらですか?」
「借金かい?2500万ドリーもあるのだ……恥ずかしながら…」
(にっ2500万ドリー!?高すぎるわ…!でも…2500万ドリーならギリギリこの家にあったハズ…!)
「アボン様ッッ!!借金ならうちが払いますわ!!侯爵家ですもの。そのくらいはした金ですわ。ちょっと待っててください!」
…勿論はした金などでは無いが、アボン様を手に入れる為なら安いものだ。
2500万ドリーを持ってきてアボン様に渡す。
「ほ、本当かい…!?あぁありがとう!ジュリー様、貴女は女神のようだ!家に帰って父を説得して借金を精算したらすぐに結婚しましょう!」
そう言っていたのに。
あの日から全く連絡が無いまま一月が過ぎた。
(何でなの!?お姉様は醜草騎士と幸せそうなのに…!!絶対私の方が素敵な男性と結婚するのだから!!!そういえばあと数日で建国祭ね…。アボン様も来るだろうし…あ、もしかして建国祭で正式にプロポーズ予定なのかしら!?ふふ!私が美丈夫と名高いアボン様に愛されてると知ったらお姉様は悔しがるわね!!!建国祭が楽しみだわ……!!)
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