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鬼っ娘チャコちゃん
チャコちゃんと弧月斬
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チャコをなんでも屋としてこき使う事で話が纏まった翌日の朝。
「あ~あ~♪ わかっちゃいるけどやめられない~♪ そんなに課金が悪いのか~い♪ ララバイララバイおねんねよ~♪ だらだらニートの篭り歌~♪」
首から件の罪状が書かれたプレートをぶら下げたままのチャコが、台所の食卓に座り足をぶらぶらさせつつ、不満いっぱいな表情で、遥か昔に聞いた事があるような無いような歌詞を口ずさんでいる。
いや、ねぇな。こんな歌詞は断じて知らねぇ! でもなんか懐かしい。そんなメロディだ。とりあえず突っ込んでおこう。
「課金自体は悪くねぇよ。自分の金でやるならな」
「なにー!おっさんの金はあたしの物!あたしの金もあたしの金だろー!だから悪くねーだろー!」
ああもう、なんだこれ、なんだろうこれ、育て方、間違えちまったなぁ・・・・
ちっちゃい頃は・・・あー、今でも小さいか、子供の頃はとーちゃんとーちゃんとちょこまか付いてきて、子犬みたいで可愛かったのに。
コイツが家に来て早10余年。
見た目に反し腕っ節が強くなるに連れ態度もでかくなり、今ではこんな感じで俺の事もおっさん呼ばわりだ。
まぁ、実際30半ばも過ぎたおっさんなので、それについては別にかまわねーんだが、そう言った色々をなーなーで済ませてきたのがいただけなかったのだろう。
「エーックス!!」
「おっふ! な、なんだよ突然! びっくりするジャン!」
俺の唐突なエックス発言にチャコの奴はびくん!と震えて半ギレ。
「今日からはスパルタンXだぜ!! 反抗的な態度を取ったら即折檻だ!! 覚悟しやがれ! このちんちくりんがぁ!!」
「なんだとぉ! お断りだ!! 溺愛しやがれ!! がおー!!」
半ギレからマジギレ?になって椅子から立ち上がり、両手を鎌首の如く持ち上げ威嚇のポーズで向かってくるチャコ。
ソレに対して、どこからともなく「第1ラウンド・ファイト!」とネイティブな感じのイングリッシュが聞こえて来た気がしたので、
「食らえ! 弧月斬!!」
バチコーーン!(チャコの股ぐらへとカチ上げ気味に調教鞭がヒットした音)
「どぅふ!!!!」
ぴくん、ぴくん。
咄嗟に腰の調教鞭を装備して、電気あんまなんざ比にならない一撃を股ぐらにかましてやった。
急所へのクリティカルヒットを受け、大口を開け白目を向いたまま棒立ちで悶絶するチャコ。
だがまだスパルタンでエックスなファイトはこれからだ!
「弧月斬!! 弧月斬!! 弧月ざぁーん!!」
バチコーン! バチコォーン! ブァチコォォォン!!
「あお! あおう!! あおおーん!!!」
股間に向かって右・下・右斜め下!のコマンド入力×4だ!
昔流行った格闘ゲームから拝借した技名と動き。すなわち格ゲーで言う所のカチ上げ対空攻撃を股ぐらにこれでもか!って言うぐらいに浴びせてやった。
最後の1発はジャンプで振りぬけ、空中で半回転した後に背中を見せてスチャっと華麗に着地。
程なくしてスローモーションでバタリと倒れ、ぴくぴくと痙攣するチャコ。ユーウィンと言う声が聞こえて来るぜ。
そんなスパルタン折檻の一部始終を見ていた者が一人。
チャコとはまた違ったベクトルの問題児、ミントだ。
アイスキャンディーを手に持ったまま、ぽかーんとした表情でこちらを見ている。
そのアホ面と目が合った瞬間、またもや頭の中にネイティブでイングリッシュな感じの「第2ラウンド・ファイト!」が聞こえて来たので、
「弧月・・・」
「どぅあー!! なんで!! なんで!! 私なんもしてないぢゃーん!!」
奴に向かって調教鞭を斜め下に構え、弧月斬の準備に取り掛かったのだが、それを見て即座に我に返ったミントは脱兎の如く走り出した。
「待ちやがれ!! ファイトだ! 折檻だ!! スパルタンだ!!」
「ぬぁぁぁ!! 長さんご乱心!!!」
失敬な奴だ。乱心などしておらぬ! これはスパルタンでエックスな躾けだ!
ノックアウトされて動かなくなったチャコを放置して、俺はミントを追いかける。
「ミントぉ! てめぇも今日からエックスだぞ! スパルタンだぞ!!」
「ノーサンキュー!! エスイーエックス的なスパルタンなら歓迎だけど!!」
などと問答しつつ2階の飼育小屋(自室)へと向かって逃げるミントだったが、
「へっぷす!」
ずがしゃーん!!
階段を登りきった先の廊下を曲がった所でなにかにつまずいて盛大にこけた。
「あたたた・・・って! おティヌちゃんどうしたのさー!」
何事かと見やれば、半開きになったドアから身を覗かせたリリィが、廊下を横切る形でぶっ倒れていた。
「あ、あ、あ、寒い、いえ、これはもう冷たい、わたくしはとうとう彼岸を渡ってしまったのでしょうか??」
妖怪ぶるぶるもびっくりな位、ガタガタブルブルと震えながら語るリリィ。
半人半蛇のモン娘であるリリィは、人なのか?蛇なのか?と問われた場合、生態的には蛇に近い。
なので普通なら冬眠させて寒暖の差による春先の発情を誘発させるのだが、故あってリリィは繁殖ラインから外れているので、起こしておいても特に問題ないからと、越冬の準備もせず室内を保温して通常飼育を続けていたのだが・・・。
ドアの隙間からリリィの部屋を覗けば、常時稼動させていたエアコンの電源がオフになっていた。
「おいおいおい・・・リリィ、お前エアコンの電源切ったのかよ?」
「はい・・・昨日、節約しろと、言われましたので・・・・せめて日当たりの良い場所に移動しようと思ったのですが、身体が動かず・・・申し訳ありません・・・」
なんという従順さ! 特に保温の必要も無い種であるミントやチャコは自室もリビングもガンガンにエアコン使って、意気揚々と普段通りに過ごしていたと言うのに!!
一番必要な娘は節約の名の下に厳しい環境を自ら選んでいたとは・・・
「まったく無茶しやがって、消化不良でも起こしたらどうするんだ、弧月斬!!」
「あふん!!」
ガクガク震えるリリィを室内に戻そうとした所、ミントの奴がそろ~り、そろ~りと、抜き足差し足でこの場を離れようとしていたのを感じ取ったので、すかさず弧月斬。
んが、
「とってもま~ぶるぅ」
と、恍惚の表情でうっとりしていた。
しまった、どうやらM属性持ちのミントには半端な弧月斬ではご褒美になってしまったらしい。
尻を突き出して「もっと~」などと言い出す始末だ。いいだろう。そのリクエスト、答えてやるぜ!
でもその前にリリィを部屋に戻しておこう。爬虫類の飼育は温度管理が大事だからな。今の状態は非常に良くない。
こんな時、格好良くお姫様抱っこでもしてやれば絵になるんだろうが、下半身が蛇なリリィは純粋な人型種より体積があるのでワリと重い。
なので背後から両脇の下を抱え、後ろへと引きずる形で部屋へと戻す。
エアコンを起動させ、リリィをベッドへと放り込むのにえっちらおっちらと手間取っていたら10分程度は経ってしまった。
気を取り直して、ミントへのスパルタンXを再開すべく部屋を出ようとした矢先、
「ぎゃーす!!」
廊下からミントの悲鳴。
「おらー!! おらおらー! ここかぁ~! ここがいいのんかぁ~!! んっん~??」
「だぁぁぁ!! 良くない良くない!! 加減! 匙加減大事!! いぎゃあああ!!」
見れば、復活したチャコが容赦なくミントの乳尻太腿に先代の旧式調教鞭「黒の衝撃」でスパンキングしていた。
現在、俺が使ってる調教鞭は使い手の感情に応じた固定ダメージを与えるハイテク品だが、黒の衝撃は商品名の仰々しさに反して見た目も性能も際立った物がない、ぶっちゃけただのスティック型の鞭だ。
なので、調教鞭にカテゴライズされるもののダメージに上限はなく、使い手の腕力に応じて普通に痛い。
今のハリセンを購入した時に、物置の奥へとしまいこんだハズだったのだが、どうやらチャコの奴はこの数分でソイツを掘り出してきたようだ。
鬼の腕力でフルスイングされた鞭を身体のアチコチに食らい、程なくしてミントはアヘって昇天した。
真っ赤なスパンキング痕を残したまま悦顔でやや嬉しそうにピクピクしているさまを見るに、たぶんこれで次のステップへとランクアップしたに違いない。
まったくMって奴は厄介極まりねーなぁ・・・。
そんなミントを尻目に、ニタリと笑い邪悪な顔でこっちを振り向く鬼娘。
「よう、おっさん。見ての通りだ。新たな力を手に入れて地獄から舞い戻って来たぜ」
「抜かせ小童が。返り討ちにしてやるぜ!」
黒の衝撃をびゅんびゅんさせながらやる気まんまんなチャコ。それに対して迎え撃つ気もりもりな俺。
こうして第3ラウンドが開始されるのだった。
~~~~~~~~
朝のランチキ騒ぎが終わってその日の午後。
格の違いと言う物を見せ付けて再び圧勝した俺は、チャコに仕事をさせるべく、あーでもないこーでもないと考えていた。
はっきり言って、我が牧場内にコイツができる仕事はない。てか金銭を得るのが目的なので例えあったとしても採用する意味がない。
かと言って外に仕事を求めた場合、一体全体、チャコにできる事ってなんだろう?
・・・・・・・
いや、ホント、コイツなにができるんだろう?? なんでも屋と言いつつ何もできねーなぁ。と、こうして少し考えては振り出しに戻ってしまう。
腕力はあるが頭がバカなので、土木作業等の体力仕事でも迷惑しかかけないだろうし、使い道が思いつかない。
「おいおいセニョール。今なにか失敬な事を考えただろ? んっん~? 考えただろぉ~?」
その悩みの対象である鬼娘は、無駄な感の良さを発揮してこっちの思考を読み・・・いやそんな上等な芸は持ってないから、俺の表情にダメな感じが出過ぎてたか。
おかげでいやみったらしく難癖つけられてしまう事になってしまったが、そりゃこんだけ使い道がなければ、しょっぱい顔にもなるってもんだろ。
顔に出てしまった俺に非があるとしても、しつこいぐらいに周りでウロチョロネチネチし続けているから、しばき倒したい程にうっとおしい。
んが、朝の様にネイティブなアメリカンボイスでファイトが聞こえて来てしまえば、また話が進まなくなるので、ここは我慢だ。
そんなこんなで、しばき倒したいのを我慢しつつ、うんうん悩んでいると、
「んぢゃあ、ちょっくら行ってくるわ」
と、なんの前触れもなしにどこかへと向かうため、玄関へと歩き出す鬼娘。
「ちょ、どこ行く気だよ!」
「んあ? 仕事だけど??」
なに言ってるんだコイツ?? その仕事先が決まらないからこちとら悩みまくってるんだが?? ふかしこいてるんぢゃねーぞぉ、追求してやるぜ!
「え? どんな仕事? どこで働くんだ? 給料はいくら?」
「いや、なにするのかはしらねーし、給料もいくらかわかんねーけど、場所は竹左衛門の家だな」
竹左衛門?? 誰だそれ??
俺が面食らって、ぽかーんとしている間に、チャコの奴は「行って来るわー」と本当に出かけてしまった。むろん首から下げたプレートはそのままだ。
うん? え? いや、マジでドコへなにしに行くだよ!!
「あ~あ~♪ わかっちゃいるけどやめられない~♪ そんなに課金が悪いのか~い♪ ララバイララバイおねんねよ~♪ だらだらニートの篭り歌~♪」
首から件の罪状が書かれたプレートをぶら下げたままのチャコが、台所の食卓に座り足をぶらぶらさせつつ、不満いっぱいな表情で、遥か昔に聞いた事があるような無いような歌詞を口ずさんでいる。
いや、ねぇな。こんな歌詞は断じて知らねぇ! でもなんか懐かしい。そんなメロディだ。とりあえず突っ込んでおこう。
「課金自体は悪くねぇよ。自分の金でやるならな」
「なにー!おっさんの金はあたしの物!あたしの金もあたしの金だろー!だから悪くねーだろー!」
ああもう、なんだこれ、なんだろうこれ、育て方、間違えちまったなぁ・・・・
ちっちゃい頃は・・・あー、今でも小さいか、子供の頃はとーちゃんとーちゃんとちょこまか付いてきて、子犬みたいで可愛かったのに。
コイツが家に来て早10余年。
見た目に反し腕っ節が強くなるに連れ態度もでかくなり、今ではこんな感じで俺の事もおっさん呼ばわりだ。
まぁ、実際30半ばも過ぎたおっさんなので、それについては別にかまわねーんだが、そう言った色々をなーなーで済ませてきたのがいただけなかったのだろう。
「エーックス!!」
「おっふ! な、なんだよ突然! びっくりするジャン!」
俺の唐突なエックス発言にチャコの奴はびくん!と震えて半ギレ。
「今日からはスパルタンXだぜ!! 反抗的な態度を取ったら即折檻だ!! 覚悟しやがれ! このちんちくりんがぁ!!」
「なんだとぉ! お断りだ!! 溺愛しやがれ!! がおー!!」
半ギレからマジギレ?になって椅子から立ち上がり、両手を鎌首の如く持ち上げ威嚇のポーズで向かってくるチャコ。
ソレに対して、どこからともなく「第1ラウンド・ファイト!」とネイティブな感じのイングリッシュが聞こえて来た気がしたので、
「食らえ! 弧月斬!!」
バチコーーン!(チャコの股ぐらへとカチ上げ気味に調教鞭がヒットした音)
「どぅふ!!!!」
ぴくん、ぴくん。
咄嗟に腰の調教鞭を装備して、電気あんまなんざ比にならない一撃を股ぐらにかましてやった。
急所へのクリティカルヒットを受け、大口を開け白目を向いたまま棒立ちで悶絶するチャコ。
だがまだスパルタンでエックスなファイトはこれからだ!
「弧月斬!! 弧月斬!! 弧月ざぁーん!!」
バチコーン! バチコォーン! ブァチコォォォン!!
「あお! あおう!! あおおーん!!!」
股間に向かって右・下・右斜め下!のコマンド入力×4だ!
昔流行った格闘ゲームから拝借した技名と動き。すなわち格ゲーで言う所のカチ上げ対空攻撃を股ぐらにこれでもか!って言うぐらいに浴びせてやった。
最後の1発はジャンプで振りぬけ、空中で半回転した後に背中を見せてスチャっと華麗に着地。
程なくしてスローモーションでバタリと倒れ、ぴくぴくと痙攣するチャコ。ユーウィンと言う声が聞こえて来るぜ。
そんなスパルタン折檻の一部始終を見ていた者が一人。
チャコとはまた違ったベクトルの問題児、ミントだ。
アイスキャンディーを手に持ったまま、ぽかーんとした表情でこちらを見ている。
そのアホ面と目が合った瞬間、またもや頭の中にネイティブでイングリッシュな感じの「第2ラウンド・ファイト!」が聞こえて来たので、
「弧月・・・」
「どぅあー!! なんで!! なんで!! 私なんもしてないぢゃーん!!」
奴に向かって調教鞭を斜め下に構え、弧月斬の準備に取り掛かったのだが、それを見て即座に我に返ったミントは脱兎の如く走り出した。
「待ちやがれ!! ファイトだ! 折檻だ!! スパルタンだ!!」
「ぬぁぁぁ!! 長さんご乱心!!!」
失敬な奴だ。乱心などしておらぬ! これはスパルタンでエックスな躾けだ!
ノックアウトされて動かなくなったチャコを放置して、俺はミントを追いかける。
「ミントぉ! てめぇも今日からエックスだぞ! スパルタンだぞ!!」
「ノーサンキュー!! エスイーエックス的なスパルタンなら歓迎だけど!!」
などと問答しつつ2階の飼育小屋(自室)へと向かって逃げるミントだったが、
「へっぷす!」
ずがしゃーん!!
階段を登りきった先の廊下を曲がった所でなにかにつまずいて盛大にこけた。
「あたたた・・・って! おティヌちゃんどうしたのさー!」
何事かと見やれば、半開きになったドアから身を覗かせたリリィが、廊下を横切る形でぶっ倒れていた。
「あ、あ、あ、寒い、いえ、これはもう冷たい、わたくしはとうとう彼岸を渡ってしまったのでしょうか??」
妖怪ぶるぶるもびっくりな位、ガタガタブルブルと震えながら語るリリィ。
半人半蛇のモン娘であるリリィは、人なのか?蛇なのか?と問われた場合、生態的には蛇に近い。
なので普通なら冬眠させて寒暖の差による春先の発情を誘発させるのだが、故あってリリィは繁殖ラインから外れているので、起こしておいても特に問題ないからと、越冬の準備もせず室内を保温して通常飼育を続けていたのだが・・・。
ドアの隙間からリリィの部屋を覗けば、常時稼動させていたエアコンの電源がオフになっていた。
「おいおいおい・・・リリィ、お前エアコンの電源切ったのかよ?」
「はい・・・昨日、節約しろと、言われましたので・・・・せめて日当たりの良い場所に移動しようと思ったのですが、身体が動かず・・・申し訳ありません・・・」
なんという従順さ! 特に保温の必要も無い種であるミントやチャコは自室もリビングもガンガンにエアコン使って、意気揚々と普段通りに過ごしていたと言うのに!!
一番必要な娘は節約の名の下に厳しい環境を自ら選んでいたとは・・・
「まったく無茶しやがって、消化不良でも起こしたらどうするんだ、弧月斬!!」
「あふん!!」
ガクガク震えるリリィを室内に戻そうとした所、ミントの奴がそろ~り、そろ~りと、抜き足差し足でこの場を離れようとしていたのを感じ取ったので、すかさず弧月斬。
んが、
「とってもま~ぶるぅ」
と、恍惚の表情でうっとりしていた。
しまった、どうやらM属性持ちのミントには半端な弧月斬ではご褒美になってしまったらしい。
尻を突き出して「もっと~」などと言い出す始末だ。いいだろう。そのリクエスト、答えてやるぜ!
でもその前にリリィを部屋に戻しておこう。爬虫類の飼育は温度管理が大事だからな。今の状態は非常に良くない。
こんな時、格好良くお姫様抱っこでもしてやれば絵になるんだろうが、下半身が蛇なリリィは純粋な人型種より体積があるのでワリと重い。
なので背後から両脇の下を抱え、後ろへと引きずる形で部屋へと戻す。
エアコンを起動させ、リリィをベッドへと放り込むのにえっちらおっちらと手間取っていたら10分程度は経ってしまった。
気を取り直して、ミントへのスパルタンXを再開すべく部屋を出ようとした矢先、
「ぎゃーす!!」
廊下からミントの悲鳴。
「おらー!! おらおらー! ここかぁ~! ここがいいのんかぁ~!! んっん~??」
「だぁぁぁ!! 良くない良くない!! 加減! 匙加減大事!! いぎゃあああ!!」
見れば、復活したチャコが容赦なくミントの乳尻太腿に先代の旧式調教鞭「黒の衝撃」でスパンキングしていた。
現在、俺が使ってる調教鞭は使い手の感情に応じた固定ダメージを与えるハイテク品だが、黒の衝撃は商品名の仰々しさに反して見た目も性能も際立った物がない、ぶっちゃけただのスティック型の鞭だ。
なので、調教鞭にカテゴライズされるもののダメージに上限はなく、使い手の腕力に応じて普通に痛い。
今のハリセンを購入した時に、物置の奥へとしまいこんだハズだったのだが、どうやらチャコの奴はこの数分でソイツを掘り出してきたようだ。
鬼の腕力でフルスイングされた鞭を身体のアチコチに食らい、程なくしてミントはアヘって昇天した。
真っ赤なスパンキング痕を残したまま悦顔でやや嬉しそうにピクピクしているさまを見るに、たぶんこれで次のステップへとランクアップしたに違いない。
まったくMって奴は厄介極まりねーなぁ・・・。
そんなミントを尻目に、ニタリと笑い邪悪な顔でこっちを振り向く鬼娘。
「よう、おっさん。見ての通りだ。新たな力を手に入れて地獄から舞い戻って来たぜ」
「抜かせ小童が。返り討ちにしてやるぜ!」
黒の衝撃をびゅんびゅんさせながらやる気まんまんなチャコ。それに対して迎え撃つ気もりもりな俺。
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はっきり言って、我が牧場内にコイツができる仕事はない。てか金銭を得るのが目的なので例えあったとしても採用する意味がない。
かと言って外に仕事を求めた場合、一体全体、チャコにできる事ってなんだろう?
・・・・・・・
いや、ホント、コイツなにができるんだろう?? なんでも屋と言いつつ何もできねーなぁ。と、こうして少し考えては振り出しに戻ってしまう。
腕力はあるが頭がバカなので、土木作業等の体力仕事でも迷惑しかかけないだろうし、使い道が思いつかない。
「おいおいセニョール。今なにか失敬な事を考えただろ? んっん~? 考えただろぉ~?」
その悩みの対象である鬼娘は、無駄な感の良さを発揮してこっちの思考を読み・・・いやそんな上等な芸は持ってないから、俺の表情にダメな感じが出過ぎてたか。
おかげでいやみったらしく難癖つけられてしまう事になってしまったが、そりゃこんだけ使い道がなければ、しょっぱい顔にもなるってもんだろ。
顔に出てしまった俺に非があるとしても、しつこいぐらいに周りでウロチョロネチネチし続けているから、しばき倒したい程にうっとおしい。
んが、朝の様にネイティブなアメリカンボイスでファイトが聞こえて来てしまえば、また話が進まなくなるので、ここは我慢だ。
そんなこんなで、しばき倒したいのを我慢しつつ、うんうん悩んでいると、
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と、なんの前触れもなしにどこかへと向かうため、玄関へと歩き出す鬼娘。
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「んあ? 仕事だけど??」
なに言ってるんだコイツ?? その仕事先が決まらないからこちとら悩みまくってるんだが?? ふかしこいてるんぢゃねーぞぉ、追求してやるぜ!
「え? どんな仕事? どこで働くんだ? 給料はいくら?」
「いや、なにするのかはしらねーし、給料もいくらかわかんねーけど、場所は竹左衛門の家だな」
竹左衛門?? 誰だそれ??
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