夏の獣

七里田発泡

文字の大きさ
2 / 11

2話

しおりを挟む
「俺も触っていいか?」

 小麦色に灼けたシュウ兄の腕が僕の半ズボンの中へと伸び、パンツの中をごそごそとまさぐり始めた。

「あっ、ふ、ぅ……んんッ……」

「思った通りだ。小さくて可愛い。まだ毛は生えてないんだ?」

 パンツの中でちんこを擦られる。ムズ痒さと気持ちよさが同居しているような初めての感覚に僕の頭はすぐに真っ白になった。シュウ兄は親指と人差し指で僕のちんこの皮を優しく摘まむとゆっくりと剝き始める。皮に包まれていたはずのちんこの先っぽが僅かに顔を覗かせた。

「んあっ……いっ――――!」

「ごめん。痛かったか?」

 三日月のような微笑みを口元に張り付けながらシュウ兄はむき出しになった僕のちんこの先端に親指を這わせている。全身をねっとりと舐め回すような視線に怯えながらも僕はシュウ兄から与えられる刺激を黙って受け入れていた。僕は無意識の内に押し寄せる快感の波に渡われそうになっていた。理性は目の前にいるシュウ兄を拒んでいた。その気持ち悪さは吐き気にも似ている。

「や、やめてよ。シュウ兄ぃ」

「おぉー、勃ってきた勃ってきた」

 気持ちが悪いはずなのに……。本機で抵抗しようと思えばシュウ兄を押し飛ばして逃げることもできるはずのに……。もっとして欲しいと思っている自分がどこかにいた。パンツの中で僕のちんこが大きく膨らんでいく。僕のちんこをやんわりと包み込んでいた手が再びゆったりと動き始める。さっきみたいに鋭い痛みは感じなかった。

「んッ……! あぁっ、あっ、んぅぅ……」
 
 自然と唇から女の子みたいな甘い声が洩れ出てしまう。こんな声出したくない。僕はシュウ兄が着ているジャージを思いっきり掴み、何とか声を押し殺そうとするが無駄な足掻きに終わった。シュウ兄の手が僕のちんこの皮をゆっくりと小さく上下に扱く度に、僕の背中は弓なりに反ってびくりびくりと痙攣した。とてもじゃないけど声なんて抑えられそうにない。

「腰もぞもぞ動いてる。本当は気持ち良いんだろ? なぁ?」

「あっ、んっ……しらない……わかんないよ」

 腰の奥が重たくなってる気がする。パンツの中でちんこが、はち切れんばかりに膨張していて、とても窮屈に感じた。

「俺1日に何回もオナニーしてるから、他人のちんこ扱くのもめっちゃ上手いと思うんだけどなぁ……」

 オナニーって何だろう。シュウ兄の口から急に聞きなれない単語が飛び出してきた。もう何も考えられなくなっていた。圧倒的な快楽が身体の内奥から谺(こだま)しながら、何層にも重なって増幅されていく。腰はうち震え、僕の股間からはちゅこちゅことした水音が聞こえ始めた。半ズボン越しにシュウ兄の手がもぞもぞと動いているのが分かる。長くて逞しい五指が執拗なまでに僕のちんこに絡みつき、圧迫感を与えている。まるで獲物を締め付ける蛇のようだ。

 シュウ兄は一旦扱くのを止めるとパンツの中から手を引き抜き、まるで僕に見せつけるように親指と人差し指を擦り合わせながら目の前に近づけてくる。

「ほら見て。俺と同じ。お揃いだね」

 擦り合わせていた指を離すと、その指間には銀色に光る糸が橋のように掛かっていた。オシッコとは違う謎の液体が僕のちんこから出てきたことに僕は軽いショックを受けた。シュウ兄も僕も変な病気にかかってしまったんだろうか。保険の授業で射精や精液という概念は知識として知っているけれども、精液は白く濁った色をしているらしいから、違うだろうし……。不安な表情を浮かべる僕を余所にシュウ兄は指先についた汁を丁寧に舐め取りながら、夕暮れの怪しげな光を湛えた熱っぽい視線を僕に向けている。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)

優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。 本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

飼われる側って案外良いらしい。

なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。 向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。 「まあ何も変わらない、はず…」 ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。 ほんとに。ほんとうに。 紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22) ブラック企業で働く最下層の男。顔立ちは悪くないが、不摂生で見る影もない。 変化を嫌い、現状維持を好む。 タルア=ミース(347) 職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。 最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…? 2025/09/12 1000 Thank_You!!

見ぃつけた。

茉莉花 香乃
BL
小学生の時、意地悪されて転校した。高校一年生の途中までは穏やかな生活だったのに、全寮制の学校に転入しなければならなくなった。そこで、出会ったのは… 他サイトにも公開しています

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

鬼ごっこ

ハタセ
BL
年下からのイジメにより精神が摩耗していく年上平凡受けと そんな平凡を歪んだ愛情で追いかける年下攻めのお話です。

処理中です...