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【第21話】ついに刺客が現れた
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「えー! やっぱり蹴ったんですね~」
深夜、風呂を済ませ、客間で寝る準備をしていたプラムとアローのもとに、ベルから電話がかかってきていた。
「はい、はい。・・・わっかりました~!」
やがて、電話を終えたアローはスマートフォンをポケットにしまい、貸出された布団に横たわって黙々とラリーカーの動画を見るプラムの方を向いた。
「ベル姉、取引蹴ったんだってさー」
「ふーん」
「それで、ALPHABETとは構図的に中立から対立に移ったから、警戒を強めてほしいだってさ」
「ういっす」
動画に夢中で、アローが話す重要事項に生返事をするプラム。すぐそばの布団の上で英単語帳を暗記していた翔斗は、身も凍る思いでふたりの会話を盗み聞きしていた。
無理もない。「明日の出張は、取引先の都合でキャンセルになりました」くらいのテンションで語っているが、その実アローが言っているのは「デカい取引先候補に喧嘩を売ってきたから、これから翔斗の命がもっと危なくなる」ということだ。
それほどまでに緊迫した状況の中で、プラムとアローの、いつもと変わらぬのんびりとした会話。翔斗の肝が冷えないわけはない。その日は、いつ襲われるか分からぬまま、怯えて寝るしかなかった。
翌日の早朝、支度を済ませた3人は学校に向かうため、いつものように庭に駐車してあるランサーエボリューションⅦに乗り込んでいた。
「うーし、出るぞ」
「りょーかい!」
「はい」
ギアをニュートラルから1速に入れ、素早くアクセルペダルを踏み、クラッチペダルを半分まで上げる。唸り声をあげて発進したランエボは、門を出てすぐ、一方通行の細い道に入った。
・・・その時だった。道路の真向かいから、1台の大型トラックがこの一本道に入ってきたのが見えた。
・・・!
その瞬間、脳内で言葉が生み出される遥か前に、プラムの危険予測が作動する。
「掴まれ!」
プラムの叫びを合図にしたかのように、トラックが一気にスピードを上げて突進してくる。巨体がランエボに迫る。プラムは素早くギアをRに入れ、アクセルペダルを蹴るように奥まで踏み込み、全速で一本道を後退し始めた。激しいスキール音。道路とタイヤが擦れる音が響き渡る。
突然バックを始めたランエボに、アローと翔斗の体が前に放り出される。
「うわぁっ!」
「なになに何なのあのトラック!」
ランエボめがけて一直線に猛突進するトラック。細い一本道を抜ける交差点まで、まだ距離がある。このままだと、ペシャンコに潰されてしまう。後部座席で怯える翔斗だが・・・彼が乗るのは、プラムのプラムによる、プラムのためにチューニングされたランサーエボリューションⅦ。そのスピードは凄まじいのひと言。バックだというのに、突進してくるトラックとの差がまるで縮まらない。ケツから交差点に差し掛かったランエボは、プラムの華麗なステアリング操作により、ブロック塀やガードレールに衝突することなく、軽快な動きで左に曲がり切った。
「うわっ!」
車体が大きく揺れ、経験したこともない横Gが翔斗の体に襲いかかる。交差点に出たランエボは突撃してくるトラックを置きざりにして、雄叫びのようなエンジン音と共に40キロ道路を爆走し始めた。数秒もしないうちに、3人の乗るランエボは街中に行方をくらませてしまうのであった。
小回りのきくランエボに、大型のトラックは不利だったか。突進して踏み潰すどころか置いて行かれてしまった。運転手は追跡を諦め、トラックを減速させると、交差点に入る寸前で道路のど真ん中に停車させてしまった。
それと同時に、トラックが停車した細い一本道に入ろうとする1台のRXー7と鉢合わせた。RXー7側からすれば、進路を妨害されたも同然。クラクションの音が閑静な住宅街に響く。しかし、どれだけ鳴らしても、大型トラックはぴくりとも動かない。まるで反応がないトラックの運転手に痺れを切らしたのか、RXー7からガラの悪い運転手が怒鳴りながら降りてきた。
「おい! ここ一方通行だぞ! 逆走してしかも停車なんぞしやがって!」
すると、大型トラックの運転席のドアが静かに開いた。降りてきたのは男のようだ。いかにも高級な生地で作られたであろうスーツに身を包み、ワックスで髪を塗り固めた、眼光の鋭い男。顔立ちからして、北欧を思わせる。RXー7の運転手は、思わず背筋が凍った。自身の身長は180センチメートル近く・・・そんな自分が、顎を上に上げて見上げなければ目を合わせることすらできない・・・。
そう、トラックから降りてきたこの男、あまりにも大柄なのだ。2メートルは裕に超えていよう。そしてなにより、その肩幅ときたらなかった。スーツの下から見える山のような筋肉の輪郭。見ただけで分かる、圧倒的な筋肉量・・・。細胞が言っている。この男には勝てない。
巨漢を前にして、RXー7の運転手が立ちすくんでいると・・・。
「すまない」
「えっ?」
巨漢が、静かにお辞儀をした。
「私は日本に来てから1週間だ」
「えっ、えっ・・・」
「私は、うまく日本語が話せない」
「あの、えーと・・・」
「・・・さい」
「え? あ、はいっ?」
「貸してください」
「え? ン?」
「あなたの車を貸してください」
淡々と、習得したばかりであろう日本語で語る巨漢の要求を、RXー7の運転手はようやく理解した。同時に、グツグツと煮える溶岩のような怒りが湧き上がる。
「はぁっ?! 何勝手なこと・・・!」
怒鳴ろうとした矢先、巨漢が自身の顔ほどもあろうかという大きさの手をこちらに伸ばしてきた。そのまま、RXー7の運転手の右手を握り、一方的な握手を交わす。手のひらのあまりの大きさに、手を目一杯広げなければ握手さえできない。
「ありがとう。同志よ」
「イッ・・・!」
凄まじい握力。激痛が走る。まるで、プレス機に押しつぶされるかなような感覚。巨漢の要求を何ひとつ承諾していないのに、運転手は涙目でRXー7を譲り渡すことになってしまった。やがて街中に消えていく愛車を呆然と眺めながら、男は呟いた。
「なんだ、アレ・・・」
一方、大通りを爆走するランエボ。車内は騒然としていた。
「なんっだ今の!!」
「死ぬかと思ったわよぉ! ねえ翔斗くん! 怖かったわねえぇぇ~!!」
「う、うん・・・」
「何なんだよアイツは! 外国人っぽかったぞ!」
「分っかんないわよ~! もしかしたらALPHABETの人じゃない?!」
・・・翔斗は思った。今、この3人の中でいちばん冷静なのは、自分だと。
「ってかアイツ逆走して突っ込んできやがったぞ?! 道路交通法違反だろ!!」
それは、プラムさんがいちばん言っちゃダメなセリフ・・・。
現に今、60キロ道路を80キロオーバーで飛ばして、前の車をスイスイ追い抜いている。
「警察に通報しよーよ!」
それは、アローさんがいちばん言っちゃダメなセリフ・・・。あなた数日前、人殺してるから。
・・・と脳内でふたりにツッコむ翔斗。すると、背後からけたたましい音が聞こえてきた。アローは背後を見ると、目を大きくさせて驚いた。
「プ、プラム! なんか来てるわよ! イカつい車!」
「なにぃ?!」
プラムがバックミラーに視線を移すと、そこには猛烈な勢いでランエボに追い上げてくるスポーツカーが映っていた。
「FDじゃねえかッ!」
その運転席には、あの北欧人の姿が見える。
「やばいやばいやばい! どうすんのよプラム!」
「峠に入るぞ! 頭下げて掴まってろ!」
こうして2台のスポーツカーは、うねる峠道に突入していった。
深夜、風呂を済ませ、客間で寝る準備をしていたプラムとアローのもとに、ベルから電話がかかってきていた。
「はい、はい。・・・わっかりました~!」
やがて、電話を終えたアローはスマートフォンをポケットにしまい、貸出された布団に横たわって黙々とラリーカーの動画を見るプラムの方を向いた。
「ベル姉、取引蹴ったんだってさー」
「ふーん」
「それで、ALPHABETとは構図的に中立から対立に移ったから、警戒を強めてほしいだってさ」
「ういっす」
動画に夢中で、アローが話す重要事項に生返事をするプラム。すぐそばの布団の上で英単語帳を暗記していた翔斗は、身も凍る思いでふたりの会話を盗み聞きしていた。
無理もない。「明日の出張は、取引先の都合でキャンセルになりました」くらいのテンションで語っているが、その実アローが言っているのは「デカい取引先候補に喧嘩を売ってきたから、これから翔斗の命がもっと危なくなる」ということだ。
それほどまでに緊迫した状況の中で、プラムとアローの、いつもと変わらぬのんびりとした会話。翔斗の肝が冷えないわけはない。その日は、いつ襲われるか分からぬまま、怯えて寝るしかなかった。
翌日の早朝、支度を済ませた3人は学校に向かうため、いつものように庭に駐車してあるランサーエボリューションⅦに乗り込んでいた。
「うーし、出るぞ」
「りょーかい!」
「はい」
ギアをニュートラルから1速に入れ、素早くアクセルペダルを踏み、クラッチペダルを半分まで上げる。唸り声をあげて発進したランエボは、門を出てすぐ、一方通行の細い道に入った。
・・・その時だった。道路の真向かいから、1台の大型トラックがこの一本道に入ってきたのが見えた。
・・・!
その瞬間、脳内で言葉が生み出される遥か前に、プラムの危険予測が作動する。
「掴まれ!」
プラムの叫びを合図にしたかのように、トラックが一気にスピードを上げて突進してくる。巨体がランエボに迫る。プラムは素早くギアをRに入れ、アクセルペダルを蹴るように奥まで踏み込み、全速で一本道を後退し始めた。激しいスキール音。道路とタイヤが擦れる音が響き渡る。
突然バックを始めたランエボに、アローと翔斗の体が前に放り出される。
「うわぁっ!」
「なになに何なのあのトラック!」
ランエボめがけて一直線に猛突進するトラック。細い一本道を抜ける交差点まで、まだ距離がある。このままだと、ペシャンコに潰されてしまう。後部座席で怯える翔斗だが・・・彼が乗るのは、プラムのプラムによる、プラムのためにチューニングされたランサーエボリューションⅦ。そのスピードは凄まじいのひと言。バックだというのに、突進してくるトラックとの差がまるで縮まらない。ケツから交差点に差し掛かったランエボは、プラムの華麗なステアリング操作により、ブロック塀やガードレールに衝突することなく、軽快な動きで左に曲がり切った。
「うわっ!」
車体が大きく揺れ、経験したこともない横Gが翔斗の体に襲いかかる。交差点に出たランエボは突撃してくるトラックを置きざりにして、雄叫びのようなエンジン音と共に40キロ道路を爆走し始めた。数秒もしないうちに、3人の乗るランエボは街中に行方をくらませてしまうのであった。
小回りのきくランエボに、大型のトラックは不利だったか。突進して踏み潰すどころか置いて行かれてしまった。運転手は追跡を諦め、トラックを減速させると、交差点に入る寸前で道路のど真ん中に停車させてしまった。
それと同時に、トラックが停車した細い一本道に入ろうとする1台のRXー7と鉢合わせた。RXー7側からすれば、進路を妨害されたも同然。クラクションの音が閑静な住宅街に響く。しかし、どれだけ鳴らしても、大型トラックはぴくりとも動かない。まるで反応がないトラックの運転手に痺れを切らしたのか、RXー7からガラの悪い運転手が怒鳴りながら降りてきた。
「おい! ここ一方通行だぞ! 逆走してしかも停車なんぞしやがって!」
すると、大型トラックの運転席のドアが静かに開いた。降りてきたのは男のようだ。いかにも高級な生地で作られたであろうスーツに身を包み、ワックスで髪を塗り固めた、眼光の鋭い男。顔立ちからして、北欧を思わせる。RXー7の運転手は、思わず背筋が凍った。自身の身長は180センチメートル近く・・・そんな自分が、顎を上に上げて見上げなければ目を合わせることすらできない・・・。
そう、トラックから降りてきたこの男、あまりにも大柄なのだ。2メートルは裕に超えていよう。そしてなにより、その肩幅ときたらなかった。スーツの下から見える山のような筋肉の輪郭。見ただけで分かる、圧倒的な筋肉量・・・。細胞が言っている。この男には勝てない。
巨漢を前にして、RXー7の運転手が立ちすくんでいると・・・。
「すまない」
「えっ?」
巨漢が、静かにお辞儀をした。
「私は日本に来てから1週間だ」
「えっ、えっ・・・」
「私は、うまく日本語が話せない」
「あの、えーと・・・」
「・・・さい」
「え? あ、はいっ?」
「貸してください」
「え? ン?」
「あなたの車を貸してください」
淡々と、習得したばかりであろう日本語で語る巨漢の要求を、RXー7の運転手はようやく理解した。同時に、グツグツと煮える溶岩のような怒りが湧き上がる。
「はぁっ?! 何勝手なこと・・・!」
怒鳴ろうとした矢先、巨漢が自身の顔ほどもあろうかという大きさの手をこちらに伸ばしてきた。そのまま、RXー7の運転手の右手を握り、一方的な握手を交わす。手のひらのあまりの大きさに、手を目一杯広げなければ握手さえできない。
「ありがとう。同志よ」
「イッ・・・!」
凄まじい握力。激痛が走る。まるで、プレス機に押しつぶされるかなような感覚。巨漢の要求を何ひとつ承諾していないのに、運転手は涙目でRXー7を譲り渡すことになってしまった。やがて街中に消えていく愛車を呆然と眺めながら、男は呟いた。
「なんだ、アレ・・・」
一方、大通りを爆走するランエボ。車内は騒然としていた。
「なんっだ今の!!」
「死ぬかと思ったわよぉ! ねえ翔斗くん! 怖かったわねえぇぇ~!!」
「う、うん・・・」
「何なんだよアイツは! 外国人っぽかったぞ!」
「分っかんないわよ~! もしかしたらALPHABETの人じゃない?!」
・・・翔斗は思った。今、この3人の中でいちばん冷静なのは、自分だと。
「ってかアイツ逆走して突っ込んできやがったぞ?! 道路交通法違反だろ!!」
それは、プラムさんがいちばん言っちゃダメなセリフ・・・。
現に今、60キロ道路を80キロオーバーで飛ばして、前の車をスイスイ追い抜いている。
「警察に通報しよーよ!」
それは、アローさんがいちばん言っちゃダメなセリフ・・・。あなた数日前、人殺してるから。
・・・と脳内でふたりにツッコむ翔斗。すると、背後からけたたましい音が聞こえてきた。アローは背後を見ると、目を大きくさせて驚いた。
「プ、プラム! なんか来てるわよ! イカつい車!」
「なにぃ?!」
プラムがバックミラーに視線を移すと、そこには猛烈な勢いでランエボに追い上げてくるスポーツカーが映っていた。
「FDじゃねえかッ!」
その運転席には、あの北欧人の姿が見える。
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