異世界召喚され、話したこともないクラスメイトと冒険者になる。

きんさん

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第2章

2-9 救出

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「連絡が取れたようです。」

「了解、あの岩陰まで行くぞ」

「了解」

村があると思われる場所から、小さな明かりが漏れている。

フランは、岩にもたれるように座り、兜を脱いで、俺に渡した。

「アイ、どんな様子だ」

「あいつら、まだレベル1だから、電波を増幅して送れないから、何言ってるかよくわからない。」

「アイ!レベルがあるのか?」

「あるよ、この前17になった。」

「ステータスは?」

*********************************
アイの画面

名前  アイ LV17 JOB 寄生体

生命量  (H P)1(非破壊特性)
魔法量  (M P)0(魔石30/100)
体力   (VIT)0
物理攻撃力(STR)0
機敏性  (SPD)650
器用性  (DEX)650
魔力   (INT)  50
精神力  (MND) 0

魔法 寄生 魔道具制御 マルチタスク(並列思考)
**********************************

「なんだこの歪なステータスは」

「レベル14までは普通のスマホだったのですが、レベル15で寄生体のジョブが選べたので、フランの鎧に寄生しました。」

「アイはゴーレムみたいなものか?」

「今はそれに近い存在ですね」

「魔石30/100というのは?」

「アレク様が作ってくれた、魔石電池です。残量が残り30%です。0になると眠ってしまいます。」

「後、どれくらいはもつ?」

「1か月は大丈夫」

「非破壊特性というのは?」

「僕たちを壊すことはできません。」

「他にも聞きたいことはあるが、今は作戦中なので、終わったらまた後で聞かせてくれ」

「了解」

「後、どれくらい近づけば話せそうだ?」

「微弱電波なので、100mくらいまで近づかないと無理かな」

「わかった、俺とユウカが旅の冒険者を装って、村に侵入する。フランは顔がわれているので、ここで待機、立花さんも待っていてくれ。」

「了解」

「アイ、兜から取り外すことはできる?」

「今から、モニターに取り外し方表示するね」

「おう、とれたぞ、画面は消してくれ。」

「了解」

俺とユウカは熊の着ぐるみを脱いで、村に歩いて向かった。

村に入ろうとすると、見張りに

「こんな時間になんの用だ」

「すみません、狩りに夢中になってしまって、おそくなったので、どこかで泊めていただけませんか?」

「金はあるのか?」

「狩りに出る前に全部つかってしまって、銅貨1枚もないんです」

「それなら、泊まれる場所はない出ていけ」

「人食い熊の肉ならあります。お分けしますので、泊めていただけませんか?」

と言って、熊の死体を出した。

「僕たちにも、お酒を分けてくれたら、村全員に分けますよ。」

「そんな高価なものいいのか?」

「はい、僕たち5匹も狩ったので1匹くらいなら、そうだ村人全員で宴会しましょう。僕たち飲んで騒ぐの大好きなんです。」

「冒険者らしいや、ちょっと待っててくれ、村長に聞いてくる。」

「アイ、連絡着いたか?」

「はい、連絡着きました。ただ、村人全体で監視されているので、村から出ることはできないと言ってます。」

「今から村人全員と宴会を始める。ここを出る準備をしておいてくれ。
10tアイテムボックス2つ分なら、運び出せると伝えてくれ。」

「了解」

村長がやってきた。

「熊肉をごちそうしてくれるというのは、本当か?」

「はい、その代わりに酒飲ましてくださいよ」

「わかった、本当は3日後にする予定だった、祭りを前倒しでやることにするか。
熊肉みたいなごちそうは、祭りでも出せんからの。酒は祭り用に保管してある。
村人、全員呼んで来い」

「わかりました」

村の見張り役が村人を集めだした。

男性たちが熊の解体を始めて、女性たちが串にさして焼き始めた。肝は大鍋で煮て油を出す作業をしていた。

「油ももらっていいですか?」

「もって帰るビンが無いので、使ってください」

「おう、いいのか村としてはすごく助かる、その代わりにお前にはいいワインを飲ませてやる」

「そうですか、酒には目がないんですよ」

村長がコップにワインを注いでくれた。肉串も皿の上に並べられた。ワインを一口のんで、

「うめー」と言いながら、肉串を一口塩気が足りないので、アイテムボックスから塩を出して皿の端に出した。

肉串に塩をつけてたべると、最高にうまい。

「わしも付けていいかと」村長がきいてきたので、皆にも配ってくださいと塩1キロはいったの容器を渡した。

「この辺りは、海から遠いので、食塩は高価なのじゃ、
鞣し用は山で取れるから安いんじゃが、毒が混ざっていて食えないのだ。」

「俺たち塩の売買もやってるんで買ってもらえませんか安くしますよ。」

「いいのか?」

「いつもいくらで買っているの?1キロで金貨1枚だ」

「じゃあ、10キロで金貨5枚でどうですか」

「すぐに金を用意させるから売ってくれ」

「了解」と言って、塩10キロをだした。

「そこのお嫁さんも飲みなさい」とユウカにもワインをすすめたが。

「今はまだ、ヒーラーになるための修行中なのでお酒は控えております」と断った。

「ヒーラー様でしたか、村にケガ人がおりますので、治療してはいただけないですか」

「いいですよ」

村人に案内されてケガ人の住む家に向かった。

「小便したいのだけどどこでやっていい?」

「村外れの草陰でやってくれ」

「いってくる」

俺は、離れたところに移動して、

「アイ、向こうの状況を知らせてくれ。」

「もって行きたいものを集めている後1時間待ってくれと言ってます。」

「こっちも、村人を酔わせるからもう少し時間がかかると伝えてくれ。」

「了解」

俺は草陰で大量の水を飲んで、指を喉に突っ込み無理やり胃の中を空にした。

スタミナ茶には酔い覚ましの効果もあるので、口にした。ついでに小便もした。

戻ると、ケガ人の家族が何度もユウカにお礼を言っていた。

「この村には、ヒーラーいないのですか?」

「こんな田舎じゃと、年に2、3度巡回してくださるくらいです。」

「ユウカ、ほかにも腰や肘の痛いひとがいるかもしれない、直してやってくれ」

「いえいえ、お払いする金がそこまでありません。」

「いいですよ、修行の一環です。」

「ユウカもそういっているので、俺たちは飲んで楽しみましょう」

そうして、夜も深まり焚火の周りでは村人が酔ってごろ寝を始めた。
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