精霊に転生した少女は周りに溺愛される

紅葉

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国王から連絡を受けた騎士団長は今、執務室に向かっている途中である。

_一体陛下は何んの用事で私を呼んだのか全く予想がつかん。それに何故か嫌な予感がするのはきっと気の所為のはずだ。

そんなことを歩きながら考えていた騎士団長は、いつの間にか執務室の前までに着ていた。
意を決して執務室のドアをノックした。

「入れ。」

中から陛下の声がして、入ってみれば驚きの光景が目に入った。
何と精霊王がいるではないか、それも二人も。予想出来なかったことに思わず目を見開いたまま固まってしまった騎士団長であった。

滅多に動揺しない騎士団長に不思議に思ったのかザファールが聞いた。

「どうかしたか、騎士団長?」
 
もしザファールだけがいたならそれほど驚きもしなかったであろうが、そのザファールの腕の中に抱かれているものを見ればそりゃ驚くわな。
騎士団長に同情する国王と宰相。

「いえ、なんでもありません。ザファール殿。」

すぐさま思考を切り替えたのであった。 

「お前を呼んだのはそこの精霊王二人を城の中を案内して欲しくて呼んだんだ。頼めるか?」

「はい。もちろんです。」

「よし、では頼んだぞ。」

「承知しました。」

「話も終わったみたいだな。じゃあ、行くぞ!」

「わーい、たんけんのちゅぢゅきでちゅ!」

ザファールの合図と共にはりきるレリエル。騎士団長を置き去りにして執務室を出ていくのであった。それを慌てて追いかけていく騎士団長であった。
その後ろ姿を哀れみの視線を向けたまま送り出した国王と宰相であった。



「お待ちください!2人とも!」

直ぐ様追いかけて、二人の元に追い付いた騎士団長が声をあげた。

「あん?どうしたんだ?」

「どうしたではありません。勝手に置いていかないで下さい!それと何処に行くんですか!?」

「それは、悪かった。宛はないがレリエルが気に済むまでそこら辺を歩こうかと考えてたところだ。」

「そうだったんですか。それはいいですが、私を置いていかないでください。それとまだ、闇の精霊王に私のこと紹介してもらってないんですが。」

「あ~、すっかり忘れてたわ。だって、俺知ってたから、頭から抜け落ちてたわ。」

ザファールの言葉に一理あるとは思ったが、闇の精霊王は自分の事を知らないから疑問だらけだろうと思った騎士団長だった。
そのレリエルはというと、先程王が騎士団長と呼んでいたのでそういう仕事をしている人なんだな~とは思ったが、大して名前は気にしなかった。それよりも探求心の方が勝ち全然気にしなかったのである。

「あ~、レリエルこいつはこの国の騎士団長をしているクリス・ホリックだ。」

「クリス・ホリックです。よろしくお願いします、闇の精霊王。私の事は気軽にクリスとでもお呼びください。」

ザファールの簡潔の紹介を気にしない事にしたクリスであった。

「わかったでちゅ!!クリス!じゃあ、わたちのことはレリュエリュとよんでくだちゃい!」

笑顔で答えたレリエルに癒されて、思わず口元を緩ませるクリスだった。

「はい、では喜んでそのようにお呼びします。ところで、行くあてがないのなら是非騎士団の屯所はどうですか?実は、今ちょうど騎士達が訓練中でしてその様子を見に行きませんか?」

そう提案してきたクリスは、ちょっとした思惑があった。最近の騎士達は根性がたるみガチなやつが多いので、この際、精霊王を使ってでも根性を叩き直してやろうと考えていた。精霊王を利用するのはどうかと思うがバレなきゃ大丈夫だろうと思うのであった。

「おっ、それいいな。この頃、退屈気味で丁度面白いことを探していたところだ。なっ、いいよな、レリエル?どうせ城の中を回るより、そっちの方が絶対楽しいと思うぜ!」

クリスの思惑を知ってか知らずか、その提案にのるザファールだった。

_うーん、確かにただ城の中を回るのも面白みがない。
それに、隠し通路を探すなら1人の方がいいし。ここは素直に言うこと聞いといて、隙を見て1人で探検しに来ようっと!我ながらいい考えが浮かんだな~。

「いいでちゅよ!そっちのほうがたのちちょうでちゅ!!」

快く賛成したレリエルだった。

「賛成していただいて良かったです。では、私が案内します。」

そう言われて、快くクリスの後をついて行く二人であった。
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