精霊に転生した少女は周りに溺愛される

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騎士団の屯所に着いた三人は早速騎士達が訓練している所に行った。

そこでは、騎士達が剣を振るっていた。騎士団長が姿を確認すると、皆剣を振るう事を止めた。

「見たところ訓練をしっかりやっていて何よりだ。今日は何と火と闇の精霊王がお越しだ。」

「「「「「「「えっ、えー！！」」」」」」」

「すみません、今何と言いましたか？」

クリスの言葉で一斉に驚く騎士達。一人の騎士がみなの声を代弁して尋ねた。

「聞こえなかったのか？だから、今日は火と闇の精霊王の二人が見学にやって来たと言ったんだが…」

「「「「「「嘘じゃなかったのかー！？」」」」」」

やっと団長の言葉を正確に受け止めた騎士達は慌てふためく。そりゃ、滅多に会えない精霊王が二人にも会えるのだ。それに、つい最近誕生したばかりの闇の精霊王がそんなに直ぐに会えるとは誰も思わなかっただろう。

「折角来て下さったので、精霊王自ら訓練の相手をしてくれるそうだ。喜べ！」

「「「「「「まじか！？嘘だろ～！」」」」」」

ふん、存分に訓練を楽しめ。そして、今まで私か受けてきた苦労を思い知れ。
騎士達の悲鳴を聞きながら、内心そんな事を思っていたクリスだった。


「面白そうだから、参加することになった火の精霊王のザファールだ！！こっちが闇の精霊王のレリエルだ！！よろしく頼むな！」　

「あい、レリュエリュでちゅ！よろちくでちゅ！」

わ～、カワイイな～。レリエルちゃんって言うんだ～。
レリエルちゃんならいつでも大歓迎だな～。
騎士のほぼ全員が思った。

「そうだ！いい機会だしレリエルも参加してみたらどうだ？絶対面白いぞ？」

「そうなのでちゅか？ファールおにいちゃんがちょういうならやってみたいでちゅ！」

ザファールの一言で地獄に突き落とされる騎士達であった。心無しか騎士達の顔が真っ青である。自分の思った通りの展開に言ってくれたので、内心でほくそ笑むクリスであった。





騎士達の準備が整ったと判断したクリスは、ルールを説明した。

「今からルールを説明する。ルールは簡単だ。ザファール殿に一回でも一本取れたらそこで終了だ。ちなみに、もし誤ってレリエルに怪我でもさせた奴は、１ヶ月のトイレ掃除に今より倍の訓練を受けてもらう。では、初め！！」

クリスの合図で一斉に動き出した。皆さっきの脅しが効いたのか、ザファールの腕に抱かれているレリエルには一切触れようとせずザファールに集中攻撃をしていた。1対1では、勝ち目がないとわかっているのか連帯しながら戦っていた。一人はザファールの注意をこちらに向けさせ、もう一人はその隙をついて攻撃する様な戦い方でやっているが、流石は精霊王と言うべきかそんな攻撃を軽々と交わし、次いでに火の玉を飛ばして錯乱させている。
そんな光景を腕に抱かれながら見ていたレリエルは、何もせずに腕の中にいるのは退屈なのかタイミングを見計らって、騎士の影から出て来た闇は騎士の足を拘束するかのように巻きついてきた。
動きを制限された騎士はザファールの恰好の獲物だった。そこに容赦なく特大の火の玉を投げつけた。身動き出来る者までもが巻き込まれ、辺り一面焦げた跡が残った。誰一人動けるものはいなかった。ザファール達の完全勝利である。

「勝負はついたようだな。ザファール殿達の勝利！
よって、お前たちには今より何倍の訓練メニューを組んでもらうとするか。」

「ハッハッハ！頑張れよ！」

ザファールの応援の言葉など全く耳に届いていなかった。１ヶ月地獄を体験したもの達はそれ以降訓練にうつつを抜かす者がいなくなったとか。