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第10章 氷の間とルベイの町
第205話 もう一つの氷の間②(side アレックス)
しおりを挟む父上達が飛び立ち、その姿が見なくなると、ナリシアが僕に向き直った。
「さて……。ルイスに良く似た坊ちゃん。名は何という?」
ルイス。僕にその名を呼ぶのは、二人目だ。
僕はアリスを抱えたまま身構えた。僕の気配を察知したレオンが素早く僕の前に周る。
「そう警戒するな。さっき共に戦ったであろう」
「何故、僕をルイスと呼んだ。僕の姿がルイスと似ていると知っているのは、八百年前に生きていた者だけだ」
「私は八百年前も、そうやってルイスに睨まれた」
そう言って、ナリシアは小さく笑う。
「私は氷の精霊と魔女の間に生まれた。その為に、寿命は普通の人間よりも少々長いのだよ」
僕が困惑しながらナリシアを見つめていると、彼女の表情から笑みが消え真剣な面持ちで僕を見据えた。
「今回のダリアが求めていた一番の目的であるモノを、其方に見せよう。神獣殿と私について来なさい」
ナリシアは箒を出すと、それに跨って僕を見る。
「大丈夫だ。其方達に危害は加えない。私を信じろ」
レオンを見遣る。レオンは、オオカミ達の声に耳を傾けていた様で、僕に『信じても大丈夫そうだ』と伝えて来た。
「わかった。その代わり、どこへ行くのか教えてくれ」
「【氷の間】だよ」
「【氷の間】?」
「ガブレリア王国側にもあるんだ」
そういえば、コレットは【氷の間】が二箇所あると言っていたと思い出した。
僕はレオンの背にアリスを乗せて、自分も飛び乗った。
「では、行くぞ」
「はい」
「ところで、其方の名は? 何と呼べばいい」
「……アレックスだ」
「アレックス。良い名だ。では行くぞ、アレックス」
「ああ」
僕はまだ少し、胸の奥に疑念を持ちながら、ナリシアの後について、ガブレリア王国側にあるという【氷の間】へと、飛び立った。
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