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11:告死天使と抗う者たち
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「うおおおおりゃあぁああぁぁあっ!!」
はい。
私が一振りすると、パキン、と木の枝が折れるように相手の剣が折れる。
「お覚悟おおおぉおぉ!!」
はいはい。
私が一振りすると、パキン、と木の枝が折れるように相手の剣が折れる。
「師匠ぉおおおおぉおっ!!」
私は師匠になった覚えはないっ!
私が一振り………(以下同文)。
「まだまだまだぁあああぁあああっっ!!」
君ら、叫ぶの好きだね。そして無駄に長い。聞いてるこっちが、喉痛めそうだよ。
あっちからもこっちからも、鋭利な刃が私をめがけて飛んでくる。だが、鋭利なのは刃だけだったようだ。剣の鋭さに反して、それらの主たちはその真価を出し切れていないように見受けられる。折角の逸品ぞろいなのに、もったいない。なんと持ち主たちのお粗末な事か。まこと、残念極まりない。
「これは鍛え直しだね」
私は溜息と同時にぼやく。数十人対一人なのに、私は未だ傷一つ付けられていないのはどういう事か。団の質が落ちるのも、限度というものがあるだろうに。ドルッセン・バルドロイ様は、カリスマ性がありすぎたようだ。
私は、今更にこんな仕事を引き受けたくなかったと思った。
会場には、剣の破片と私についでに吹き飛ばされた者が宙を舞う。これだけ刃物と刃物がぶつかり合っているにもかかわらず流血沙汰になっていないのは、それだけで奇跡としか言いようがなかった。―――――と、言えば聞こえはいいが、正直なところは、団員の誰も私の相手にならないのが原因だと推測できた。つまるところ、貧弱すぎる。
あー。観客の皆さんが、疑念の混じった視線をこちらに向けてきている。そりゃそうでしょうねぇ。ひ弱そうな私一人に、(見掛け倒しな)屈強な男たちが群がっても傷一つ付けられていないのだから。ドルッセン様が団長になられてから、周辺諸国で最強・無敗の騎士団と名高かった『葵ノ騎士団』の、こんな醜態をさらされては不安しかこみあげてこないだろう。
くどいようだが、かの前団長はカリスマ性がありすぎたようだった。少なくとも、神格化されるくらいには武人たちを酔心させていた。
私がそんな風に、今後の部下たちに決して小さくない失望感を抱いている内に、私の周りには死屍累々が山と積み上がっていった。
だんだんと騎士さんたちに勢いがなくなっていき、とうとう最後の一人が力尽きて倒れこむ。
「終わった、か………」
総評。
うん。予想以上に「ゲ・キ・ヨ・ワ」だったけど、夏場の蚊くらいにはしぶとかったかな。
こう結論を出し、私は剣を鞘に納めてから、一つ息を吐く。
改めて国王陛下と教皇聖下に向き直り、最敬礼を取りながら私は声を張って宣言した。
「改めまして―――私、ヴィアン・ソロディアは今後『葵』団長として部下たちの更生に努め、その結果を持ちまして、我が祖国への忠誠とさせていただきます」
地を揺るがすほどの歓声が、響き渡った。…………と、言えば聞こえはいいが、実際は「本当にそうしてくれよ、頼んだぞ………っ!!」的な歓声(?)だった。まぁ、ともかくものすごい音量だったとだけ伝えておこうか。
―――――そのために、私は気付かなかったのだから。
はい。
私が一振りすると、パキン、と木の枝が折れるように相手の剣が折れる。
「お覚悟おおおぉおぉ!!」
はいはい。
私が一振りすると、パキン、と木の枝が折れるように相手の剣が折れる。
「師匠ぉおおおおぉおっ!!」
私は師匠になった覚えはないっ!
私が一振り………(以下同文)。
「まだまだまだぁあああぁあああっっ!!」
君ら、叫ぶの好きだね。そして無駄に長い。聞いてるこっちが、喉痛めそうだよ。
あっちからもこっちからも、鋭利な刃が私をめがけて飛んでくる。だが、鋭利なのは刃だけだったようだ。剣の鋭さに反して、それらの主たちはその真価を出し切れていないように見受けられる。折角の逸品ぞろいなのに、もったいない。なんと持ち主たちのお粗末な事か。まこと、残念極まりない。
「これは鍛え直しだね」
私は溜息と同時にぼやく。数十人対一人なのに、私は未だ傷一つ付けられていないのはどういう事か。団の質が落ちるのも、限度というものがあるだろうに。ドルッセン・バルドロイ様は、カリスマ性がありすぎたようだ。
私は、今更にこんな仕事を引き受けたくなかったと思った。
会場には、剣の破片と私についでに吹き飛ばされた者が宙を舞う。これだけ刃物と刃物がぶつかり合っているにもかかわらず流血沙汰になっていないのは、それだけで奇跡としか言いようがなかった。―――――と、言えば聞こえはいいが、正直なところは、団員の誰も私の相手にならないのが原因だと推測できた。つまるところ、貧弱すぎる。
あー。観客の皆さんが、疑念の混じった視線をこちらに向けてきている。そりゃそうでしょうねぇ。ひ弱そうな私一人に、(見掛け倒しな)屈強な男たちが群がっても傷一つ付けられていないのだから。ドルッセン様が団長になられてから、周辺諸国で最強・無敗の騎士団と名高かった『葵ノ騎士団』の、こんな醜態をさらされては不安しかこみあげてこないだろう。
くどいようだが、かの前団長はカリスマ性がありすぎたようだった。少なくとも、神格化されるくらいには武人たちを酔心させていた。
私がそんな風に、今後の部下たちに決して小さくない失望感を抱いている内に、私の周りには死屍累々が山と積み上がっていった。
だんだんと騎士さんたちに勢いがなくなっていき、とうとう最後の一人が力尽きて倒れこむ。
「終わった、か………」
総評。
うん。予想以上に「ゲ・キ・ヨ・ワ」だったけど、夏場の蚊くらいにはしぶとかったかな。
こう結論を出し、私は剣を鞘に納めてから、一つ息を吐く。
改めて国王陛下と教皇聖下に向き直り、最敬礼を取りながら私は声を張って宣言した。
「改めまして―――私、ヴィアン・ソロディアは今後『葵』団長として部下たちの更生に努め、その結果を持ちまして、我が祖国への忠誠とさせていただきます」
地を揺るがすほどの歓声が、響き渡った。…………と、言えば聞こえはいいが、実際は「本当にそうしてくれよ、頼んだぞ………っ!!」的な歓声(?)だった。まぁ、ともかくものすごい音量だったとだけ伝えておこうか。
―――――そのために、私は気付かなかったのだから。
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