あなたの隣にいるために

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プロローグ

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 放課後、生徒会室の隅っこにある自分の机に荷物を置こうと視線を落とすと見覚えのない付箋が目に入った。
 たまに急ぎで頼まれる仕事がこんな風にされていることはあるからそこまで警戒心もなく何気なく手に取ってみた。

『放課後、委員会が終わったら広場に来てください。時間は何時でもいいです。あなたに伝えたいことがあります。待ってます。あゆ』

「え、わたしなんかしたっけ?」

 メッセージの最後に書いてあるのはよく知る先輩の名前。
 付箋に問いかけたその言葉に答えをくれる者はいなくて、ただゆっくりと空気に溶けていってしまった。


「急に呼び出してごめんね。話したいことがあって」

 広場に行ってみればそこにいたのは見知ったいつも通りの顔でちょっとだけ安堵のため息がこぼれ出た。
 私が何かしてしまって怒っているとかではなさそう。

「いえ!どうしたんですか?」

「あの日から、君の笑った顔から目が離せないんだ。ひとりじめしたいとおもってしまう」
「ふぇ?」

 いつもはそんな性的な雰囲気なんて一切感じさせない人がとろけるような瞳で息に濡れたような声で何か聞きなじのみないことを言っている。
 普段から大して回さない頭ははてなで埋め尽くされて大切な場面なのだろうにふざけたような間の抜けた声が出てしまった。

「あなたが好きだ。好きな人がいるのを聞いたにもかかわらずこんなことを言うのは迷惑だと分かっているけど、言わずにはいられなかった」

 先輩の口から出た言葉が私をこんなに混乱させたことは今までに一度もなくてもう何と答えたらいいのかもわからない。
 そもそも、先輩じゃなくたって私は告白されたことなんてない。
 真っ黒な艶やかな髪がふわりと風に運ばれるのを美しいだなんて現実逃避する思考回路を何とか引き戻してくる間にも整った端正な顔立ちで吸い込まれそうなほどの漆黒の瞳が私からそらされることはない。
 そのまっすぐな瞳にますます果てはが降り積もってくる。
 だってだって、あなたには好きな人がいるって昨日聞いたばかりなのに。
 いったいどういうこと!
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