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家族になった人族のポムと魔族のポム
26.新しい配達先(その3)
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店の前には、いくつかのテーブルと椅子が並べられています。
テーブルを拭きながらポムくん達の帰りを待っていた榊さんでしたが、帰ってきたポムくん達の後ろには30人以上の女性の集団が連なってきたので、榊さんはびっくりしていました。
「榊さん、この女の人が榊さんに用があるそうです。」
ポムくんが申訳なさそうな顔で榊さんに女の人を紹介しました。
「申訳ありません!まさか水神様の怒りを買うとは考えてもみませんでした。」
「ばかもの!わしの街に魔族や悪魔が突然現れたら…現れたら…最悪戦争になっておったのじゃぞ。」
頭から角が生えた美人さんは、この街にある神殿の水神様だったのです。
水神様は、えらい剣幕で榊さんに怒鳴りちらしていますが、目には涙を浮かべています。
「しかし、お主の仲間はなんなのじゃ。火龍はおる。神器が人化した者が4人もおる。ましてや魔族や悪魔までおるとは。」
「ははは、この3人は、私のレストランで使う食材の配達を頼んでいるんですが、この新しい店への食材運びもお願いしようと思い店に連れてきたんです。」
「でも、せっかくここまで来たんだから観光くらいさせてやりたいという親心でつい。」
水神様は、頭を抱えて涙ぐんだ目を拭いています。
「この魔族と悪魔は"無害"なのじゃな。」
「しかしじゃ、今後、この街に魔族や悪魔をよこす時は、事前に連絡してくれ。そうでないと今度は本当に戦争になるのじゃ。わしもここまで大きくなったこの街を昔のような荒地にしたくはないのじゃ。」
水神様は、どうにかポムさんと悪魔さんの事を納得してくれたようです。
「じゃがな、もうひとつ言いたいことがあるのじゃ。」
「わしの神殿があるこの街に、新しい店を出すとひとことも相談しなかったのはなぜじゃ。」
「お主が、この街に店を出すなら一等地を提供してもよいのじゃぞ。」
「いやー。それをされると後々辛いので…」
榊さんは、地面に座り込んで水神様に頭を下げています。まるでいたずらをした子供がお母さんに怒られているようです。
「参道の脇に入ったこんな路地裏に小さな店など作りよって。」
「わしに遠慮しておるのか。それともわしへ当てつけか。わしへの頼み事はできんのか。何が不満なのじゃ。わしの腹にはお主の子がおるのじゃぞ。それくらいの事ができんと思っておるのか。わしは水神じゃぞ。」
ポムくんは、水神様の話に耳を疑いました。
榊さんは、お店にいっぱい女の人がいます。きっとそのうちの誰かと恋人か夫婦なのかと思っていました。
ところが、目の前の水神様のお腹には榊さんの赤ちゃんがいるって言ってます。
レストランにいる女の人はどうなるんだろう。まさか喧嘩になったりしないよね。
ポムくんは、女性に囲まれてすぎの榊さんがとても心配になりました。
「わかりました。水神様には、私からこれを進呈します。」
そう言うと榊さんは、ポケットから"無料ぱす"と書かれた札を水神様に手渡しました。
「"無料ぱす"。これはなんじゃ。」
「はい。この札を提示すれば、この店での飲食は全て"タダ"になります。」
「水神様にはお世話になっているので、何れお渡ししようと考えておりました。」
「ふん、わしも随分と安く見られたものじゃな。」
そう言った割には、"無料パス"の紐を首からぶら下げて何度も札を確認しています。以外と気に入ったようです。
「ときに榊殿、この"無料パス"には期限はあるのか。」
「お世話になっている水神様へ進呈した"無料パス"には期限などありません。」
「店が続くかぎり無料にて飲食が可能です。」
「そうか、そうか。ふん。まあよい。わしの怒りはこんな物では収まらんが、今夜の相手をすると言うのであれば我慢しても…よいぞ。」
「それって…。」
「二度は言わすな。」
「神官達よ。騒いですまなかった。脅威はさった。皆、神殿に戻るぞ。」
水神様が振り返り、神官達にそう言うと武具を持った神官達が参道を神殿へと戻っていきました。
「榊殿、お主はわしと一緒に神殿に来るのじゃ。埋め合わせをしてもらうのじゃ。明日の朝までみっちりじゃ。」
「お主は、この街に来ていることをなぜ知らせぬのじゃ。言ってくれればこんな事にならずに済んだのじゃ。おぬしは、わしが嫌いか。」
榊さんは水神様に首を掴まれて、ねちねちと小言を言われながら連れていかれました。
「なんだったのかしらね、夫婦喧嘩?それじゃポム様、私達も戻りましょう。」
悪魔さんが水神様と榊さんのやり取りを見て呆れていました。
僕達3人は、榊さんのお店の店員さんに事の次第を説明した後、転移石で"ココ"の街へ戻りました。
"ココ"の街のレストランに戻ってきた後も、レストランの事務所者にいた女の人に今あった出来事を説明して榊さんが明日の朝まで帰ってこない事を説明しました。
女の人達はあきれていましたが、村に榊さんと一緒に来たクリスさんという女の人だけは、転移石で何処かに行ってしまいました。
もしかしたら榊さんを迎えに行ったのかもとポムくんは思いました。
外はそろそろ日が傾きだしていました。
「さあ、ポム様、家に帰りますよ。」
悪魔さんが御者を務める荷馬車に乗ってポムくんとポムさんは、村への帰路につきました。
ポムさんは、出店で買った飴が大きすぎたようで、まだ飴をなめていました。
いろいろあったけど、今日も楽しかったと思ったポムくんでした。
テーブルを拭きながらポムくん達の帰りを待っていた榊さんでしたが、帰ってきたポムくん達の後ろには30人以上の女性の集団が連なってきたので、榊さんはびっくりしていました。
「榊さん、この女の人が榊さんに用があるそうです。」
ポムくんが申訳なさそうな顔で榊さんに女の人を紹介しました。
「申訳ありません!まさか水神様の怒りを買うとは考えてもみませんでした。」
「ばかもの!わしの街に魔族や悪魔が突然現れたら…現れたら…最悪戦争になっておったのじゃぞ。」
頭から角が生えた美人さんは、この街にある神殿の水神様だったのです。
水神様は、えらい剣幕で榊さんに怒鳴りちらしていますが、目には涙を浮かべています。
「しかし、お主の仲間はなんなのじゃ。火龍はおる。神器が人化した者が4人もおる。ましてや魔族や悪魔までおるとは。」
「ははは、この3人は、私のレストランで使う食材の配達を頼んでいるんですが、この新しい店への食材運びもお願いしようと思い店に連れてきたんです。」
「でも、せっかくここまで来たんだから観光くらいさせてやりたいという親心でつい。」
水神様は、頭を抱えて涙ぐんだ目を拭いています。
「この魔族と悪魔は"無害"なのじゃな。」
「しかしじゃ、今後、この街に魔族や悪魔をよこす時は、事前に連絡してくれ。そうでないと今度は本当に戦争になるのじゃ。わしもここまで大きくなったこの街を昔のような荒地にしたくはないのじゃ。」
水神様は、どうにかポムさんと悪魔さんの事を納得してくれたようです。
「じゃがな、もうひとつ言いたいことがあるのじゃ。」
「わしの神殿があるこの街に、新しい店を出すとひとことも相談しなかったのはなぜじゃ。」
「お主が、この街に店を出すなら一等地を提供してもよいのじゃぞ。」
「いやー。それをされると後々辛いので…」
榊さんは、地面に座り込んで水神様に頭を下げています。まるでいたずらをした子供がお母さんに怒られているようです。
「参道の脇に入ったこんな路地裏に小さな店など作りよって。」
「わしに遠慮しておるのか。それともわしへ当てつけか。わしへの頼み事はできんのか。何が不満なのじゃ。わしの腹にはお主の子がおるのじゃぞ。それくらいの事ができんと思っておるのか。わしは水神じゃぞ。」
ポムくんは、水神様の話に耳を疑いました。
榊さんは、お店にいっぱい女の人がいます。きっとそのうちの誰かと恋人か夫婦なのかと思っていました。
ところが、目の前の水神様のお腹には榊さんの赤ちゃんがいるって言ってます。
レストランにいる女の人はどうなるんだろう。まさか喧嘩になったりしないよね。
ポムくんは、女性に囲まれてすぎの榊さんがとても心配になりました。
「わかりました。水神様には、私からこれを進呈します。」
そう言うと榊さんは、ポケットから"無料ぱす"と書かれた札を水神様に手渡しました。
「"無料ぱす"。これはなんじゃ。」
「はい。この札を提示すれば、この店での飲食は全て"タダ"になります。」
「水神様にはお世話になっているので、何れお渡ししようと考えておりました。」
「ふん、わしも随分と安く見られたものじゃな。」
そう言った割には、"無料パス"の紐を首からぶら下げて何度も札を確認しています。以外と気に入ったようです。
「ときに榊殿、この"無料パス"には期限はあるのか。」
「お世話になっている水神様へ進呈した"無料パス"には期限などありません。」
「店が続くかぎり無料にて飲食が可能です。」
「そうか、そうか。ふん。まあよい。わしの怒りはこんな物では収まらんが、今夜の相手をすると言うのであれば我慢しても…よいぞ。」
「それって…。」
「二度は言わすな。」
「神官達よ。騒いですまなかった。脅威はさった。皆、神殿に戻るぞ。」
水神様が振り返り、神官達にそう言うと武具を持った神官達が参道を神殿へと戻っていきました。
「榊殿、お主はわしと一緒に神殿に来るのじゃ。埋め合わせをしてもらうのじゃ。明日の朝までみっちりじゃ。」
「お主は、この街に来ていることをなぜ知らせぬのじゃ。言ってくれればこんな事にならずに済んだのじゃ。おぬしは、わしが嫌いか。」
榊さんは水神様に首を掴まれて、ねちねちと小言を言われながら連れていかれました。
「なんだったのかしらね、夫婦喧嘩?それじゃポム様、私達も戻りましょう。」
悪魔さんが水神様と榊さんのやり取りを見て呆れていました。
僕達3人は、榊さんのお店の店員さんに事の次第を説明した後、転移石で"ココ"の街へ戻りました。
"ココ"の街のレストランに戻ってきた後も、レストランの事務所者にいた女の人に今あった出来事を説明して榊さんが明日の朝まで帰ってこない事を説明しました。
女の人達はあきれていましたが、村に榊さんと一緒に来たクリスさんという女の人だけは、転移石で何処かに行ってしまいました。
もしかしたら榊さんを迎えに行ったのかもとポムくんは思いました。
外はそろそろ日が傾きだしていました。
「さあ、ポム様、家に帰りますよ。」
悪魔さんが御者を務める荷馬車に乗ってポムくんとポムさんは、村への帰路につきました。
ポムさんは、出店で買った飴が大きすぎたようで、まだ飴をなめていました。
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