誰にでもできる簡単なお仕事です。

純粋どくだみ茶

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11.商売を始めました

02.ナンパすると死にますよ。

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冒険者ギルドにアレスとレディを伴って3人で来ている。
俺は、ギルド長と話しがあったので、アレスとレディはカウンタ前のテーブル席に座って待ってもらっていた。

「お嬢様方。おふたりで暇を持て余すには少々不釣り合いな場所でないですか。」

「とてもお綺麗なドレスですが、これから貴族様のお屋敷のパーティにでも行かれるのですか。」

2人の冒険者がアレスとレディに話かけてきた。
いつもなら如何にでもといった風情の冒険者なのだが、今日は、にこやかに開いた口から見える歯がキラッと光って見えるようなイケメンのふたりだった。
アレスは"またか"といったウンザリした表情はしない。
こういう時は"ニッコリほほ笑んでいかにも気がありそう"という雰囲気を醸し出して次のとんでもない行動を正当化させる口実を作るのだ。

「貴族様のパーティーまで時間があるなら、お茶にお誘いしたいのですがいかがでしょうか。」

アレスもレディもにこやかな笑顔でいるが、男達に対して返答はしなかった。

「おふた方、黙っていてはわかりません。嫌でないのなら行きましょう。」

ひとりのイケメンがアレスの手をとってエスコートしようとした。
その光景を見ていた美人受付嬢のカリーナさんがとっさに叫んだ。

「そこの冒険者の方、今すぐアレスさんの手を放しなさい。これは警告です。今すぐにです。」

美人受付嬢のカリーナさんが血相を変えて冒険者のふたりの男に警告を促した。

「おや、冒険者ギルドのカリーナさん、こんなところで奇遇ですね。こちらのお嬢様方があまりにもお美しいのでカリーナさんに気が付きませんでした。」

イケメンは、カリーナさんが焼き餅を焼いていると"勘違い"してにやついた顔でカリーナさんの顔をチラ見した。

「本当に警告しましたよ。あなた達、これから起こる事は冒険者ギルドでは責任を持ちませんよ。」

冒険者ギルドのカウンター内にいるギルド職員は、あたふたし始め治療師の手配を始めた。

「とんだ邪魔が入りましたが、お嬢様方、まいりましょう。」

イケメンの男がアレスの手を強く引いたその時。
イケメンの男が壁へと飛んだ。
アレスは、テーブル席に座ったままだった。
だが、アレスの手には血の付いた塊が握られていた。
イケメンの男は、何が起きたか分からなかったが、下半身にとてつもない痛みを覚えた。
男は自分のズボンに大量の血が付いていることにようやく気が付いたのだ。
男は、アレスを見て理解した。
アレスの手に握られていたのは、イケメン男の"一物"だった。

「うわー、何しやがる。この女。ちきしょう。俺の大事なものを…。いてー。いてーよ。」

イケメン男は、自分の"一物"が無くなり、大量の血が付いたズボンを押さえて苦しんでいた。

「おい、お前ら、何をしている。早く治療師を呼べ。」

もうひとりのイケメンがギルドの職員に食って掛かっていた。

「治療師の方は、間もなく来ます。だから言ったんです。警告したんです。」

「これで何度目だと思っているんですか。」

美人受付嬢のカリーナさんが真っ赤な顔で怒鳴りちらした。
間もなく治療師がやって来た。
治療師は、またかという顔で股間を血だらけにして苦しんでいるイケメン男に治療魔法をかけた。
幸い、アレスは男からもぎ取った"一物"を"今回は"握り潰さなかったので、治療魔法で"付ける"ことができたのだ。
治療が終わるやいなやイケメン男は、アレスに向かって剣を抜いた。

「おんな。よくもやってくれたな。いくら冒険者ギルドの建物内とはいえ、ケガをさせられて黙っていると思うなよ。」

「いいですよ。その喧嘩、受けましょう。」

アレスは、冒険者ギルドの建物から通りへと出た。

「俺達は、Aランクの冒険者だ。丸腰の女には悪いが容赦しない。」

2人のAランクの冒険者は、アレスを取り囲むように立ち、今にも剣を振り切ってアレスを切り殺す体制をとった。

「ふん。そんな口上聞き飽きてます。」

「召喚"阿行"、"吽行"!」

冒険者ギルドの建物の前に霧がかかり周りが全く見えなくなった。
だんだんと霧が晴れると、そこには4mを超す筋骨隆々の巨人が2人そびえ立っていた。
イケメンの男達は、初めて見る"阿行"と"吽行"をただただ見上げることしかできなかった。

「"阿行"、"吽行"。いつもの様にそこのゴミを森に捨ててきなさい。オーガの巣の前がいいわね。運が良ければ万にひとつでも助かるかもね。」

"阿行"と"吽行"は、イケメンの冒険者をひとりづつ鷲掴みにして脱兎の如く飛び去っていった。

「みなさん。私に手を触れてよいのは主様ただひとりです。そのことをお忘れないようにお願いいたします。」

冒険者ギルド前で起きた出来事を見ていた通行人は、青い顔をしてひと言も発せずに散らばっていった。
アレスは、何事もなかったように冒険者ギルドの建物に入り、先ほど座っていたテーブル席へ座った。
ギルド職員も慣れたもので、テーブルと床にこびりついた血をさっと拭いて、何事もなかったかのように通常の仕事に戻っていた。

「ごめん。遅くなった。少々時間がかっかったからどこかで食事でもしようか。」

「主様。アレスはあそこのレストランがいいです。」

甘えた口調で話すアレスもいつもの事のように見て見ぬふりをするギルド職員だった。

「お姉さま、待ってください。レディもあそこのレストランがいいです。」

少し遅れてレディが2人の後についていった。
冒険者ギルドの建物内と外に多数の張り紙が張り出された。

「冒険者ギルド内外でのナンパお断り。"一物の保証ができません"。"絶対"に"絶対"にナンパしないでください。」
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