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11.商売を始めました
03.陶芸家になりました。
しおりを挟む"ココ"の街を歩いていると陶芸教室の前でレディを見かけた。
「陶芸教室か。"ココ"の街にもこんな教室をやっているところがあるんだな。」
「そういえば、今日はアレスと一緒じゃないのか。」
「お姉さまは、陶芸に興味がありません。」
何か寂しそうだ。
「レディ、陶芸やってみるか。」
「よろしいのですか。」
「俺は、今日だけだが、レディがいいなら好きなだけ来ればいいよ。」
「ありがとうございます。」
2人で陶芸教室に入った。
俺は、1日体験なので楽しくわいわいやっていたが、レディがろくろを回す表情が真剣なのにはびっくりした。
俺は、ろくろを回すたびにぐちゃぐちゃの何か分からない物体ができた。
それでも何度かやっているうちにどうにか変に傾いた茶碗らしきものができた。
渾身の作品だ。
レディを見ると、ろくろの上には信じられない大きさの壺が出来上がっていた。
陶芸教室の先生も他の生徒もびっくりしていた。
あの大きさで全く歪みがないのには驚いた。
壺は、素焼きで焼かれることになった。
もちろん、俺の歪んだ茶碗?もちゃんと焼いてくれるようだ。
レディは、明日も陶芸教室に来ることになった。
次の日、レディはろくろを回していた。
実は、俺も来ている。別に暇な訳ではない。…暇だけど。
俺は、無言でろくろを回すレディを見て職人魂を見た気がした。
花瓶ができた。しかも全く同じ形のものが6個。
形こそ花瓶だが、陶芸教室にあったサンプルとは全く赴きの異なる優雅な形をしていた。
陶芸教室の先生が花瓶に絵付けをするのか、釉薬を掛けるのか聞いてきたので、3個は絵付け、3個は釉薬を掛けて仕上げるらしい。
とりあえず、花瓶を日陰で乾かして水分を抜くので今日はこれで終わりだ。
数日御、花瓶の素焼きが終わったので、レディは、3個の花瓶に絵付けを行っていた。
レディの絵付けがめちゃくちゃ早いのだ。あっという間に3個の花瓶に優雅な花の模様が施された。
残り3個の花瓶には、釉薬を掛けることになったが、陶芸教室にあった釉薬ではダメだとレディがダダをこね始めた。
レディは、自分のアイテムバックから何かの粉を取り出すと、自ら釉薬を作っていた。
3個の花瓶に自分で作った釉薬を掛けて乾いたところで6個の花瓶は窯で焼かれた。
さらに数日後、焼かれた花瓶6個が出てきた。
絵付けを行った3個の花瓶は、優雅な花文様が素晴らしかった。
レディが自ら作った釉薬を掛けた花瓶3個は、青白い色を放ち輝いて見えた。
陶芸教室の先生もあまりの出来栄えにびっくりしていた。
レディが作った花瓶6個は、陶芸教室の窓際に飾られることになった。
花瓶を窓際に飾ってまもなくだった。
陶芸教室の前を通りかかった商人が、陶芸教室に入るや飾ってあった花瓶6個を売って欲しいと言ってきた。
絵付けした花瓶は、ひとつ金貨15枚。
青白く光る花瓶は、ひとつ金貨30枚
陶芸教室の先生は、開いた口が塞がらなかった。
さらに商人は、この花瓶の独占販売契約をして欲しいと言ってきた。金貨300枚を出すと言うのだ。
陶芸教室の先生の目の色が変わった。
陶芸教室の先生とレディとの間で専属契約が結ばれた。
ただ、レディも毎日花瓶を作る気はないようで、3日に1回程度ならと了承した。
それと、レディが持っていた釉薬の原料になる鉱石は流通していないのと、採掘する場所が特殊で
かなり危険を伴うため、青白く光る花瓶の制作は殆どできないことを了承してもらった。
数日後、花瓶以外にも茶碗や皿など日用品使いできる物を作っては、レディお得意の花文様をあしらって窯で焼いた。
普段使いするつもりで作った茶碗や皿だったが、あの商人が来てまた高値で買っていった。
レディがろくろを回すと陶芸教室の先生や生徒が技を盗もうと躍起になっていたが、どう真似をしてもく同じ物はできなかった。
いつのまにか、王都から花瓶を仕入れたいという商人が他にも来るようになったが、販売契約を結んでいるので無理だと陶芸教室の先生が断っていた。
いつしか王都では、"ココ"の街に凄い陶芸家がいると評判になったが、作品の数が少ないので超高値で売られるようになってしまった。
レディは、陶芸教室の先生から"先生"と呼ばれるようになっていた。
うちの食卓で使う器は全てレディ印のものになった。
さらにレストランで使う器も全てレディ印もので統一した。
食卓やレストランで使っているレディ印の器だが、王都で買うととんでもない金額になる。
レストランで使う器は、使う頻度が違うので当然のように消耗してよく割れる。
この割れて捨てられていくレディ印の器を金額にしたらいったいどれくらいの金額になるか、うちの従業員もお客も誰もしらない。
レディには、そのうち釉薬の材料になる鉱石の採取に行くことを約束した。
鉱石が採掘できる場所は、飛龍などの魔獣が多く生息する所らしいので、経験値稼ぎにも良いかもしれない。
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