誰にでもできる簡単なお仕事です。

純粋どくだみ茶

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11.商売を始めました

04.カリーナさん玉の輿へがんばる。

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美人受付嬢のカリーナさんが冒険者ギルドに来た榊を食事に誘おうとした。
クリスが氷のような顔をして会話の間に割り込んできた。

「主様は忙しいのです。」

「食事なら私が用意します。」

でも、クリスは料理をしたことは無かった。
させられないのだ。クリスがキッチンでナイフを使うとまな板が真っ二つになるのだ。
ナイフは、普通のナイフだ。料理にまで"技切姫"を使ったりはしないのだが、野菜を切っても肉を
切っても魚を切ってもまな板が真っ二つになるのだ。
こわいこわい。

ある時、美人受付嬢のカリーナさんがこっそりと小さな紙を渡してくれた。
そこには「"ココ"の街で最近流行っているお店に"2人"で食事に行きましょう」と書かれていた。
サクッと紙に書かれたメッセージを読みハンドサインで"OK"を出した。
幸いクリスは気が付いていないようだった。
当日は、何か理由を付けてクリスから逃げないと。

そして、カリーナさんとの初デートの日。
カリーナさんが最近"ココ"の街で流行っていると言っていたお店に来た。

"俺の店"だった。

最近オープンしたピザをメインにしたレストランだ。
最近"ココ"の街で"流行っている"という文言で気が付けよ俺。
既に予約済みということなので、仕方なく店に入ることにした。

「いらっしゃいませ。あっ、オー…」

「シー。」

入り口に立っている案内役の彼女が"オーナー"と言いそうになったので、口の前に人指し指を立て"静かに"の合図を送った。
従業員には"客については詮索しないこと"と教育しているので直ぐに理解したようだ。
従業員に案内されて奥のテーブル席に座った。
ここは、カップル専用のエリアになっているので、周りの目線を気にしなくてよい場所なのだ。
そう、そういう席をわざと作ったのだ。
さて、カリーナさんが事前に注文してあった、コース料理と冷えたエールが出てきた。
従業員は、黙って料理を運んできたが、カリーナさんが気になるようでチラチラと盗み見していた。
俺の額からは汗がにじみ出ていた。

「このお店、すごくお洒落で綺麗。それで従業員の制服が貴族様の屋敷で働くメイドの方と同じような服なんですよね。」

「でも、スカートがかなり短めで、少しかがむだけで下着が見えそうです。」

「このレストランのオーナーさん、少しエッチです。」

俺の額から出る汗が止まらない。

カリーナさんは満面の笑みで、食事を楽しみながら会話を弾ませていた。
デザートは、シュークリームとミルクアイスの盛り合わせ。
カリーナさん、美味しそうに食べてました。
気にいってもらえてよかった。

食事も終わり、会計を済ませる段になった。
俺は、会計係の従業員に手の平で合図を送り、従業員も軽い会釈で店の外へ送り出した。
店から少し離れた場所まで歩いてからカリーナさんが、俺が従業員へ送った合図の意味を聞いてきた。

「あの、お店の会計をしませんでしたが、ご存じのお店だったのですか。」

不思議そうな顔をしているカリーナさん。やっぱり美人はいいなあ。

「じ、実はね。あの店俺の店なんだ。」

「えー。」

カリーナさんと公園で会話を楽しんでいると、後ろの方から話声が聞こえる。

「榊さん、今日はとても楽しかったです。まさかあのレストランが榊さんがオーナーとは知りませんでした。」

「また、一緒に行っていただけますか。」

"はい"と言う前に唇をカリーナさんの唇で塞がれてしまった。

「今日は、これで帰ります。後ろの方々に"負けませんのでよろしく"とお伝えください」

そう言ってカリーナさんは夜の街へ消えていった。
俺は、後ろを振り向く。
クリス、アレス、レディの3人が公園の茂みの間からこちらを覗き込んでいた。

「やっぱりばれてましたか。まあ、普通なら分かりますよね。」

「分からないのは、鈍感な主様だけです。」

「おねーさま、私も主様と2人きりでレストランで食事がしたいです。」

お前達。

「主様。どうしてカリーナさんを押し倒さなかったんですか。カリーナさん今日は、勝負下着で来ていたんですよ。」

「いつでもOKという感じでしたのに。」

アレスが残念そうな溜息をついた。
残念なのは俺だ。

「その雰囲気を壊したのはお前達だろ。」

「そうでした。キャハ。」

可愛い素振りで誤魔化しやがって。
4人でベンチに並んで座って他愛ない話をしている。
隣りに座っているクリスは終始無言だった。が、いつの間にか俺の手を強く握っていた。
俺の顔をじっと見つめている。
これは、要求している顔です。"私以外の女を見るな"という無言の圧力の顔です。
クリスが強く握りしめた手をさらに強く握りしめて4人でベンチを立った。
右手はクリスの手、左手はアレスの手、その隣りにはレディ。
両手に花。
日本では、考えられなかった生活を異世界で満喫していた。
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