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純粋どくだみ茶

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11.商売を始めました

05.混乱する王国、覚悟を決めた勇者。

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■混乱する王国
王国内はもめていた。
"バーラ"の城塞都市の防衛戦で全軍の指揮をとった国王の弟である公爵が死んだ。
そのことで、3万の兵の死の全責任を公爵に押し付けて全ての責任をうやむやにしようとした。
しかし、同じ国王派内からも不満が噴出した。
あの闘いでは、貴族も戦場で戦い多数の死者が出たのだ。
誰かが責任を取るべき時に、誰も責任を取らないことなどあってはならないのだ。
もう国王派が分裂するのも時間の問題だった。

さらに、王国内は、反国王派による内乱の可能性が高まっていた。
国王派は、"バーラ"の城塞都市の防衛戦で3万の兵と国王派の多多数の貴族を失い、それにより分裂の危機に瀕していた。
反国王は、"バーラ"の城塞都市の防衛戦に参戦しなかった10万の兵力を温存した。
国王派は、中間派への協力要請を行おうとしたが、分裂寸前の派閥では何も決めることができず、無用な罵声の押収だけが繰り返され時間だけが過ぎていった。

そんな時である。
魔族国で次の魔王が誕生した。
王国軍の諜報部隊が送ってきた情報だった。
大臣達は、息を飲んだ。

魔族国の軍勢が撤退したとはいえ依然として17万以上の兵力を温存したままだ。
魔族国には、同じ魔族でありながら敵対する別の魔族国と国境を接している。
その国境を守る魔族軍の総数は50万。
この兵力を王国への侵略に振り向けられたら王国は滅亡する。
"バーラ"の城塞都市が守られたのは、たまたまの偶然なのだ。
"勇者"達ですら敵わない敵にどうやって勝とうというのか。
大臣達は悩んだが答えは出なかった。

見かねた内務大臣は、国王に提案を行った。
"バーラ"の城塞都市を守ったという冒険者を、もう一度"バーラ"の城塞都市の防衛に充てる。
もし、冒険者が命令を無視した場合、"暗部隊"を使って冒険者の仲間を拉致してでも"バーラ"の城塞都市へ連れていくというものだ。
この件は、国王も了承した。
側近に国王の"使者"と"暗部隊"の両方を"ココ"の街へ向かわせるよう指示を出した。

内務大臣は、大事なことを見落としていた。
"バーラ"の城塞都市を守った冒険者チームで一番弱いのは、"榊"本人である。
榊は、女神様の武具を使うためにHPとMPは人並み外れているが、剣を使ったら一般兵にも劣る腕前だ。
だから榊は、人前では剣を振らない。いろいろだめなことが"ばれる"から。

逆に榊以外は神器が人化した者、火龍が人化した者、この世の物とは思えない魔法の武具を装備した者達ばかりだ。尋常ではないほど皆強いのだ。
それを誰も知らなかった。知っていたら榊を誘拐すれば簡単に事が運んだことを。



■覚悟を決めた勇者
"勇者"は、"バーラ"の城塞都市では何の活躍もできなかった。
国王の元で何不自由のない生活を保障され、国民からは"勇者"と褒め称えられていた。
が、そんな環境が我慢できなくなっていた。
自分の不甲斐なさがとても惨めでたまらなかった。

そんな折、魔族国で新しい魔王が誕生したと聞かされた。
バーラの城塞都市に攻めてきた魔族軍40万には勝てなかったが魔王には勝ちたい。
"勇者"である以上、魔王討伐は"夢"であり"悲願"であり"義務"なのだ。

"バーラ"の城塞都市で魔王を打ち破った冒険者がいた。
冒険者ですら魔王を打ち破ったのだ。
"勇者"の自分にできないはずがない。
"勇者"のスキルはなんのためにあるのか。

"勇者"は、仲間と共に城を出た。
魔王に対して闘いを挑む覚悟を決めたのだ。
城から飛龍に跨り、魔族国の魔王城へと向かった。
魔王と直接戦うため、魔族軍とは対峙しないよう遠回りではあるが山間いを縫うように飛龍に跨り飛んだ。

魔王城までの約7日間の工程は、勇者としての覚悟と死の恐怖との格闘の工程となった。
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