誰にでもできる簡単なお仕事です。

純粋どくだみ茶

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12.仲間が誘拐されました

06.王都へ迎えに行きます。(その2)

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俺達は、王国軍の兵士が隊列を組んでいる丘の手間で"風神"と"雷神"の雲から降り立った。
皆で街道を歩き王都へと向かう。

丘の上に王国軍5000人の隊列が見える。
騎士が騎乗した馬がこちらに向かって走ってくる。

「お前たちが"ココ"の街から来た冒険者か。」

「間もなく国王の使者が到着する。それまでここで待たれよ。」

馬に騎乗した騎士の一見紳士的な態度に安堵するが、考えてみれば仲間を誘拐されたのは俺達の方だ。
いちいち騎士の指示に従う必要もないのだ。

「悪いが国王が送ってきた使者とやらに仲間が2人誘拐された。」

「先ほどここを通った馬車で王都に連れていかれた。」

「騎士は、国王が誘拐を行ったことを許容するのか。返答やいかに!」

騎士は、国王がそのような事をするはずがないと驚愕するばかりだ。

「待たれよ。使者が到着するまでもう少し待って欲しい。これ以上進まれると敬らを捕らえなくてならないのだ。」

狼狽する騎士に向かって残念な顔を向ける。

「騎士さんも仕事でやっていることは理解している。だが、例え国王でも善悪の判断はできるはずだ。」

「誘拐は、"善"か"悪"か。返答やいかに!」

騎士は、何も言えず俺達へ道を譲った。

「アレス。"阿行"と"吽行"を召喚してくれ。」

「"阿行"と"吽行"には、俺達の護衛として行動してもらう。戦闘はなるべく避けたい。」

アレスは、頷き"阿行"と"吽行"を召喚した。


体長4mを越える筋肉の塊。
オーガおも一撃で葬る究極の肉体を前に隊列を組んだ兵士は誰も動かない。
"阿行"と"吽行"が一歩一歩進むたびに地面が揺れる。
振える兵士も少数ではない。
"バーラ"の城塞都市の防衛戦で"阿行"と"吽行"が万に達する魔族軍の魔獣を葬った話は、兵士達の中では公然の秘密なのだ。
それが兵士の前を公然と歩いている。
兵士の唾を飲み込む音があちこちから聞こえてくる。
兵士の中には、口から泡を吹いて倒れるものも少なくなかった。

「またれよ。」

ひとりの騎士が、騎乗していた馬から降りて俺達へと歩み寄ってきた。

「人違いなら許せ。わしは、"コナ"の城塞近くの国境の川でバルデ皇国の魔法攻撃に撃たれて死にかけたことがある。そこで冒険者らしき青年に"短剣"を代償に助けられたことがあっての。」
「あれは、お主ではないか。」

あー。あった。確かにあった。

「あの時の騎士隊の隊長さんですか。」

「やはりお主か。お主に渡した短剣を持ってから悪いことばかり起きての。」

「結局あのザマだ。お主にあの短剣を渡してから体調もよくなり、こうやって騎士隊の隊長にも復帰できた。」

こんなところで初めて女神様から依頼された武具の回収を行った時に、回収する武具を所持していた騎士隊の隊長に出くわすとは。
さて、この出会いは"吉"と出るか"凶"と出るか。

「我々は、国王に仇名す冒険者から王都を守るように命じられた。」

「しかし、こちらの御仁は"バーラ"の城塞都市を魔族軍から守った英雄のはず。」

「なぜ、そのような御仁が国王に仇名すと誹りを受けるのか理解できぬのでな。」

俺は、多少のウソを交えて"バーラ"の城塞都市での出来事を話した。
公爵は、無謀な作戦を実行して3万近い兵士を無駄死にさせたこと。
本来、その責任は自身が負うはずのものだが、自身の責任を全く理解せず全ての責任を俺達に押し付けようとしたこと。

心労がたたって倒れたことを俺の仲間のせいにして国王が仲間を誘拐したこと。
公爵も国王も国の長として何ひとつ正しい行いができないのであれば、それを正すのも臣民の務めと嘘くさい言葉を並べて騎士隊の隊長の心を揺さぶった。
騎士隊の隊長は、考え込んでいた。

世の中、正しいことが全てではない。それは子供でも分かる。
間違った事でも正しいと言い張る場合の方が多いかもしれない。

さあ、あんたはどう判断する。騎士隊の隊長さん。
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