誰にでもできる簡単なお仕事です。

純粋どくだみ茶

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14.魔王を討伐します

04.王国内で交渉中です。

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魔族国の臨時代表との交渉の後、簡単な食事がふる舞われた。
魔族国の料理は美味かった。
国は違えどさすが国を代表する者が口にする食べ物は美味い。
相変わらず皆、食いしん坊なのでなかなか席を立たない。仕方なく皆の手を引いて帰ることを告げた。
場の空気を読んでくれた魔族の方がお菓子やデザートを包んでくれた。
とても恥ずかしかった。
ありがとう魔族の方。

俺達は、いそいで転移門に向かいセイランド王国へと戻った。
転移門を通ると焼けた王都城下の街があった。
転移門の前に急造した豪で兵士達が剣や槍や弓を構えていた。

「おお。お帰りになりましたか。心配しておりました。」

部隊長が俺達の顔を見て安堵していた。

「あちらの戦況はいかがでした。」

やはり戦況が気になるらしい。

「ええ。魔族国との戦争はひとます終わりました。これから停戦に向けた交渉を行う予定です。」

俺が部隊長にそう告げると、部隊長の後ろにいた兵士達が一斉に歓喜の声を上げた。
少なくとも、この転移門から魔族や魔獣が大量に侵入することはない。
兵士達から歓喜の声で出迎えられる中、王都へ向かって歩き出す。
街にはまだ数多くの魔獣が残っているが、周辺の街からやってきた冒険者がいい仕事をしているらしく思いのほか魔獣討伐が進んでいるらしい。


城に入り、忙しく次の王政の準備をするリーガル伯爵様とオーレリアン伯爵様に挨拶をする。
リーガル伯爵様とは、武具回収時に"悪だくみ"について話し合った仲だ。
オーレリアン伯爵様とは、初対面だがリーガル伯爵様を通して"悪だくみ"に参加してもらっていた。
さらに中間派のロンギフローラム伯爵とその娘であるオフェリア嬢にも登城をお願いしていた。
ロンギフローラム伯爵とその娘であるオフェリア嬢には、呪われた武具の回収の時の顔見知りだ。
今回の政変では、オフェリア嬢に重大な依頼があるのだ。
これが今回の政変での目玉になる。

また、リーガル伯爵様とオーレリアン伯爵様が"悪だくみ"に数人の諸侯を引き込んでいた。
反国王派のうち数人の諸侯は、オーレリアン伯爵様の懐柔工作でこちら側に引き込むことができた。
協力者は多い方がやり易い。

俺は、リーガル伯爵様とオーレリアン伯爵様に魔族国での話し合いの詳細を伝えた。
"魔王"を倒しただけでなく魔族国との交渉まで行ったことに驚愕していた。
早急に魔族国に送る代表者と交渉役、交渉内容の精査を行って欲しい旨を伝えた。

リーガル伯爵様とオーレリアン伯爵様は、王国内の政務について協力者の諸侯と話し合いを何度となく行っていたが、まさか魔族国との交渉事までやる羽目になるとは思ってなかったらしく、部下に慌ただしく指示を飛ばしていた。

俺は、魔族国との交渉にひとつだけ注文を付けた。
それは"賠償問題を取り上げない"こと。
この世界では、戦勝国は敗戦国に莫大な賠償金を要求することで巨万の富を得ることが常習化していた。
今回の戦争では、魔族国には勝ったが魔族国は他の魔族国との国境沿いに50万以上の軍勢を配備している。
交渉が失敗した場合、その魔族軍50万を"バーラ"の城塞都市への攻撃へ回されたらもうこの国を守ることはできないと伝えた。
その変わり、王都近くに新しい村を作り、そこに転移門を移して魔族国との貿易の拠点にするという提案を行った。
人族の国で魔族国と国境を接しているのは、このセイランド王国だけなのだ。
これは、魔族国との貿易で巨万の富を生む可能性があることを意味している。
こんな美味しい地の利を利用しない手はないのだ。
通商税で得た資金で王都の復興は十分に賄えるし、それ以上の利益が出ることも想像に難しくない。
難しいことは、リーガル伯爵様とオーレリアン伯爵様に任せた。

よくある御伽話に出て来る勇が魔王を倒した話では、"勇者が魔王を倒して王様から褒美をもらい姫を嫁にして幸せに暮らしました。"とハッピーエンドになるのが定番だが、実際は勇者が魔王を倒してそれで終わる戦いなどあり合えない。
国同士の闘いの中で勇者と魔王が戦い、その闘いが終わった後も語られることのない国の代表者による戦後処理という面倒な交渉事が多々あり、それだけで数年を要するのが現実である。
ただ、国同士の交渉事ほどつまらない話はないので、語られることのない裏話になるわけだ。
誰も語らない話ほどつまらないものはないか。

俺達は、魔族国でやり残した事がある。
そう、魔族国へ向かった勇者様達を迎え入れる準備があるのだ。
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