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14.魔王を討伐します
05.勇者を出迎えます。(その1)
しおりを挟む話は、勇者たちが魔王を倒しに魔族国へと旅立った後にさかのぼる。
勇者達は、魔王城まであと1日のところまでやってきた。
今日は、山間部で野営を行い明日の朝出発して魔王城へ突入する。
仲間が死ぬかもしれない。いや自分が死ぬかもしれない。
怖くないと言えばウソになる。
振える体に言い聞かせて、明日の闘いに挑むつもりだ。
仲間たちも死ぬ気で魔王に立ち向かうだろう。
記録では、セイランド王国から旅立った"勇者"で"魔王"を討伐したのは200年前が最後らしい。
古い記録には、数人の勇者が魔王討伐に向かったとあったが、魔王を倒したと記録にあったのは以外に少なかった。
王城の宝物庫には、200年前に魔王を倒した際に使用された"勇者の剣"があった。
王様に見せてもらったが、何の変哲もない普通の剣だった。
200年前に魔王を倒した勇者達は何を考えていたんだろう。
いろいろな考えが頭の中を駆け巡る。
何をどう考えても明日で全てが解決する。
今日は、ゆっくり寝よう。仲間に"おやすみ"と言って勇者は眠りについた。
朝、勇者は目覚めた。
少し冷たい風が心地よい朝だ。
朝食に干し肉と堅いパンを食べ、最後の準備を整える。
仲間に激を飛ばした。
みんなやる気満々だ。
飛龍に乗り野営地を出発した。
谷間を勇者とその仲間を乗せて飛龍が飛ぶ。
だんだん山が低くなってきた。
山間部も終わり、森の上空を飛ぶ。
あと少しで魔王城に到着する。
他の仲間にも合図を送る。
高度を下げて草原の上を飛ぶ。
遥か先に城が見える。
ん、草原の真ん中に門が立っているのが見えた。
しかし、今は魔王を倒すことだけを考えて進む。
魔王城がだいぶ大きく見えてきた。
城の前に数十人の魔族が見える。
"探査"で魔族の数を確認するが思っていた以上に数が少ない。
"探査"には人族らしき反応もあった。
"バーラ"の城塞都市の防衛戦で捕虜にでもなった人族が魔王城に連れてこられたのか。
このまま見過ごす訳にもいかず勇者たちは、魔王城の前にいる数十人の魔族と人族がいる場所へと降り立った。
"勇者"が来た。
上空から飛龍が地上に向かって降りて来る。
やがて飛龍が草原に着地した。
飛龍から勇者達が降り立ち、剣を抜いてこちらに向かって走り出した。
魔族の楽隊が演奏を始めた。
リズミカルなよい音楽だ。
俺達は、列の一番前で横断幕を広げた。
"熱烈歓迎。勇者様御一行、お疲れさまでした。"
魔族と俺達は拍手で出迎えた。
「勇者様ですね。以前、"バーラ"の城塞都市の防衛戦で一緒に戦った"榊"です。」
「長旅お疲れさまでした。お腹もすいていることでしょう。簡単ではありますが、食事の準備がしてあります。」
俺達は、笑顔で勇者達を迎えた。
「これはどういうことです。なぜあなた達が魔王城の前にいるのですか。」
何が起きているのか理解できていないようだが、勇者の顔から次第に緊張が抜けていくのが見てとれた。
勇者の仲間達も同様だ。
これから死ぬかもしれない闘いに挑むはずが、楽隊の出迎えが待っていたのだ。無理もない。
「話すと長いのですが、端的に言いいます。」
「魔王が倒されました。」
「現在、セイランド王国と魔族国との間で停戦協定を結ぶ準備をしています。」
勇者が地面に膝を付いた。
勇者の仲間も立ち尽くしたりしゃがみ込んでいた。
勇者はひとこと呟いた。
「なんてこった。」
勇者は地面に仰向けになって寝ころんだ。
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