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純粋どくだみ茶

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16.オーガ族とエルフ族

03.オーガ族の神。(その3)

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それからが大変だった。

俺は、"ココ"の街の家まで転移石で戻り、市場から蒸留酒を樽で大量に買い込んだり、食材を大量に買い込んで調理を始めた。
いつもの事だが、レストランのコック達にも無理を言ってピッツァを大量に焼いてもらった。
うちの冷蔵倉に用意してあったハムやソーセージ、冷えたエールもも大量に放出した。
はっきり言うと大赤字だが、オーガ族と接する機会などこれを逃すと一生ないと思ったので、この出会いを大切にするため出し惜しみしない事にした。
宴が始まると、樽の蒸留酒があっという間になくなり、慌てて"ココ"の街の市場まで買い付けに戻った。
"阿行"さんも"吽行"さんも蒸留酒の樽を水のようにあおっていた。

宴が佳境に入ると、オーガ達が"阿行"さんと"吽行"さんに力試しを挑んできた。
"阿行"さんも"吽行"さんも了承してくれたので、殺し合いなしの試合をすることになった。
ハンデということで"阿行"さんと"吽行"さんには、オーガと同じ大きさになってもらった。



まずオーガ族で3番目に強いという者が"阿行"さんと対戦した。
オーガは、試合開始と同時に"阿行"さんに飛び掛かってきたが、払い腰でオーガは地面に倒されてしまった。
オーガは、何をされたのか理解できず、なぜ自分が地面に倒れているのかさえ分からないようだった。
オーガは立ち上がり、もう一度"阿行"さんに飛び掛かったがまた払い腰で地面に倒された。
オーガは立ち上がったが、さすがに3度目ともなると警戒してじりじりと"阿行"さんに近づいて阿行さんの腕を掴もうとした瞬間。
"阿行"さんが瞬時にオーガの懐に入りオーガを肩で持ち上げた。オーガは、肩車を決められあっという間に地面に叩きつけられた。
オーガは戦意を失い地面から立ち上がることができなかった。
地面に倒れたオーガに手を差し伸べてオーガに立つように促す阿行さん。

「阿行さん、あんた柔道の有段者かよ。」

俺は、そう言って思わず拍手をしてしまった。



今度は、オーガ族で2番目に強いという者が"吽行"さんと対戦した。
オーガは、"阿行"さんが放った見たことのない技を警戒して"吽行"さんになかなか近づかない。
それを見た"吽行"さんが自らオーガに近づき、オーガの腕を掴んだ瞬間にオーガの体を手前に引いて送り足払いでオーガを地面に転がした。
さらに"吽行"さんは、攻撃の手を緩めずに地面に倒れたオーガの腕を取り体に足を掛けて腕ひしぎ十字固めに入った。
オーガがいくら腕や体に力を入れても腕ひしぎ十字固めは外れない。もがけばもがくほど腕が赤く腫れあがっていく。
戦意を失ったオーガは力を抜き負けを認めた。
"吽行"さん、あんた渋い技かけるな。惚れてしまいそうだ。



最終戦は、オーガ族で最も強いという者が"阿行"さんと対戦した。
さすがにオーガ族で最も強いという者が負けたとあってはオーガ族の恥じだと思ったのか、なかなか"阿行"さんに近づかない。
"阿行"さんはあえて手を出さずにその場でオーガの出方を待った。
オーガはしめたと思い"阿行"さんの体に体当たりをしてきた。
ところが、オーガの体が宙を舞って地面に転がった。
"阿行"さんは、オーガの突進してくる力を利用して懐に入って巴投げでオーガを投げ飛ばしたのだ。
地面に転がったオーガは、頭に血が上ったのか直ぐに立ち上がり"阿行"さんに飛び掛かった。
冷静さを失ったオーガには、もう勝つ見込みはなかった。
しかも地味な送り足払いで"阿行"さんに何度も倒されるオーガ。
起き上がってはまた倒されるを返すこと数十回。
何度やっても勝てないオーガを惨めに思ったのか、"阿行"さんと戦うオーガをオーガ族の族長が止めに入った。
オーガ族で最も強い者が肩を落としながら族長に連れられて行くところは、さすがに可哀想に思ってしまった。



結局、オーガは誰も"阿行"さんと"吽行"さんには勝てなかった。
なんか急に場の雰囲気が盛り下がった気がしたが、オーガ達は今見た技を見よう見まねで覚えようと同じ動作を繰り返していた。
やっぱり強いやつらは違うと感心してしまった。
その後も"阿行"さんと"吽行"さんに対戦を申し込むオーガが続出して乱取稽古の様相を呈した。
結局、"阿行"さんと"吽行"さんには全く歯が立たず、オーガ全員がコテンパンにのされていた。
オーガ達にとってはそれが返って面白かったようで、神と戦って負けたと自慢ができると喜んでいた。


宴の中でオーガと人族とエルフ族である協定を結ぶことになった。
・この要塞の周辺では、狩りや殺し合いはしない。
・この要塞は、オーガ族、人族、エルフ族の出入りを自由とする。
・この要塞でオーガ族、人族、エルフ族で定期的に話し合いや宴を催してお互いの交流に場とする。
・森の外れにあるエルフの村をオーガ族は襲わない。
・オーガ族は、森の外れに住むエルフ族を襲わない。
・森の外れに住むエルフ族は、オーガ族を襲わない。
・森の中でオーガ族が人族を襲っても俺達は関与しない。代わりに森の外で人族を襲う事は控えてもらう。

エルフ族は、森でオーガ達と戦い村がオーガ族に襲われないように結界を張って村への侵入を防いでいたらしいがその労力がかなり大変だったようで、この取り決めが出来たことで泣いて喜んでいた。
そのお礼にとエルフの村へ招待されることになった。

エルフの村は、この廃墟の要塞から歩いて半日の場所にあるらしい。
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