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16.オーガ族とエルフ族
05.エルフの村で。(その2)
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「ははは。矢もなしに弓を射るつもりか。人族と行動を共にしているから頭がおかしくなったとみえる。」
宴で酒を飲みかわし余興と笑いながら弓を見ていた皆が突然黙った。
サティの頭上に矢が6本浮いていたからだ。
「あれはなんだ。」
「なぜ矢が頭上で浮いているのだ。」
頭上に6本の矢が浮いているのは酒を飲んで酔っているせいではない。
サティが弓の弦を放った。
瞬間、頭上に浮いていた6本の矢が矢とは思えない速さで的の中央に当たった。
6本とも全て的の中央に当たっていた。
サティは、さらに弓の弦を引き、勢いよく弦を放った。
矢は次々と的の中央に当たった。
矢は的の中央以外に外れることなく中央にのみ存在した。
そして静かに矢は的の中央から消えていった。
「…なんだ、あの矢は。なんだあの弓は。」
「…こんな弓があるのか。」
皆が酒を飲むのを忘れて弓を引くサティに釘付けとなった。
サティは、弓を的ではなくエルフの男に向けた。
エルフの男は、しりもちを付きながら後づさりした。
「やめろ、罵ったことは詫びる。殺さないでくれ。」
サティはエルフの男へ向けて弓の弦を放った。
サティの頭上から6本の矢が飛び出した瞬間、矢は瞬間的に軌道を変えて的へ向かって飛んで行き、的の中央に命中した。
皆が見て居る前で矢が軌道を変えて飛んでいったのだ。
誰も言葉を発せずただ唖然と見ているだけだった。
こんどは、宴の中央に向かって矢を放った。
しかもサティは、目を閉じていた。
放たれた矢は大きく弧を描いて的めがけて飛んでいき、的の中央に命中した。
サティが矢を後ろ向きに放とうが空に向かって放とうが矢は的の中央に当たった。
サティは、"覇者の弓"を地面に置いた。
エルフの男がさっきまで使っていた弓に持ちかえて矢を構えた。
集中して的を狙い矢を放つと、矢は的の中央に当たった。
サティは、"覇者の弓"だから当たったと言わせないため、あえてエルフの男が使っていた弓で的を射たのだ。
唖然と見守る皆に向かって手を振ってお辞儀をして弓の競演が終了したことを知らせた。
皆から大声援が巻き起こった。
拍手が鳴りやまない。
「すごい。あんた弓の名手だよ。」
「あんな弓は初めてみた。」
「どの方向へ矢を放っても矢が的に当たるってどういうことだ。」
「目を閉じても矢が的に当たるのか。」
サティが質問攻めにあっていたが、適当にあしらって俺達のところに戻ってきた。
エルフの長老がひと言いっていた。
「あやつは、この村で弓の技量が一番なのをいいことに傲慢になっておっての。」
「ちょうどよい薬になったろう。」
「世界は広いということが少しは理解できたじゃろうて。」
エルフの男は、宴のすみで仲間のエルフに励まされていた。
"覇者の弓"は、誰でも使える弓ではない。
弓に的を射るというイメージを送り、弓と一体になることで初めて的を射ることができるのだ。
俺は、弓へ的を射るというイメージを送るのが下手らしく、"覇者の弓"を使うと変な方向に矢が飛んでいったり矢を放った途端に地面に矢が突き刺さったりした。
それは、俺の弓が下手くそだからなんだが…思い出しただけでも落ち込む。
森の奥深にあるエルフ族の村での宴は、夜遅くまで続いた。
宴で酒を飲みかわし余興と笑いながら弓を見ていた皆が突然黙った。
サティの頭上に矢が6本浮いていたからだ。
「あれはなんだ。」
「なぜ矢が頭上で浮いているのだ。」
頭上に6本の矢が浮いているのは酒を飲んで酔っているせいではない。
サティが弓の弦を放った。
瞬間、頭上に浮いていた6本の矢が矢とは思えない速さで的の中央に当たった。
6本とも全て的の中央に当たっていた。
サティは、さらに弓の弦を引き、勢いよく弦を放った。
矢は次々と的の中央に当たった。
矢は的の中央以外に外れることなく中央にのみ存在した。
そして静かに矢は的の中央から消えていった。
「…なんだ、あの矢は。なんだあの弓は。」
「…こんな弓があるのか。」
皆が酒を飲むのを忘れて弓を引くサティに釘付けとなった。
サティは、弓を的ではなくエルフの男に向けた。
エルフの男は、しりもちを付きながら後づさりした。
「やめろ、罵ったことは詫びる。殺さないでくれ。」
サティはエルフの男へ向けて弓の弦を放った。
サティの頭上から6本の矢が飛び出した瞬間、矢は瞬間的に軌道を変えて的へ向かって飛んで行き、的の中央に命中した。
皆が見て居る前で矢が軌道を変えて飛んでいったのだ。
誰も言葉を発せずただ唖然と見ているだけだった。
こんどは、宴の中央に向かって矢を放った。
しかもサティは、目を閉じていた。
放たれた矢は大きく弧を描いて的めがけて飛んでいき、的の中央に命中した。
サティが矢を後ろ向きに放とうが空に向かって放とうが矢は的の中央に当たった。
サティは、"覇者の弓"を地面に置いた。
エルフの男がさっきまで使っていた弓に持ちかえて矢を構えた。
集中して的を狙い矢を放つと、矢は的の中央に当たった。
サティは、"覇者の弓"だから当たったと言わせないため、あえてエルフの男が使っていた弓で的を射たのだ。
唖然と見守る皆に向かって手を振ってお辞儀をして弓の競演が終了したことを知らせた。
皆から大声援が巻き起こった。
拍手が鳴りやまない。
「すごい。あんた弓の名手だよ。」
「あんな弓は初めてみた。」
「どの方向へ矢を放っても矢が的に当たるってどういうことだ。」
「目を閉じても矢が的に当たるのか。」
サティが質問攻めにあっていたが、適当にあしらって俺達のところに戻ってきた。
エルフの長老がひと言いっていた。
「あやつは、この村で弓の技量が一番なのをいいことに傲慢になっておっての。」
「ちょうどよい薬になったろう。」
「世界は広いということが少しは理解できたじゃろうて。」
エルフの男は、宴のすみで仲間のエルフに励まされていた。
"覇者の弓"は、誰でも使える弓ではない。
弓に的を射るというイメージを送り、弓と一体になることで初めて的を射ることができるのだ。
俺は、弓へ的を射るというイメージを送るのが下手らしく、"覇者の弓"を使うと変な方向に矢が飛んでいったり矢を放った途端に地面に矢が突き刺さったりした。
それは、俺の弓が下手くそだからなんだが…思い出しただけでも落ち込む。
森の奥深にあるエルフ族の村での宴は、夜遅くまで続いた。
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